大阪市の飲食店営業許可、保健所の検査で落ちるのはどこか|施設基準と事前相談【2026年9月版】

飲食店

飲食店の開業でいちばん高くつく失敗は、内装が完成してから保健所の検査に落ちることです。

手洗いの位置が違う、シンクの数が足りない、食器棚に扉がない。どれも図面の段階なら数万円の話ですが、施工が終わってからだと配管からやり直しになります。オープン日も動きます。

この記事では、大阪市で飲食店営業許可を取るときに、内装の着工前に戻って確認したい項目を整理します。2026年9月時点の情報です。

施設基準は「国の共通ルール+自治体の上乗せ」でできている

2021年6月の食品衛生法改正で、営業許可の施設基準は政令で全国共通の形に整理されました。これによって、どの自治体でも土台は同じになっています。

正確にいうと、標準化されたのは 食品衛生法施行規則 別表第19 です。それまでは「2槽シンク必須」といった基準が自治体の条例ごとに違っていましたが、これが国の省令の形に統一され、自治体の条例はそれを参酌する形に変わりました。

ここで注意したいのが、ネット上の情報の多くが改正前で止まっていることです。「飲食店には2槽シンクが必須」と書いてある記事は、いまも大量に残っています。

そして、標準化されたとはいえ、具体的にどう作れば基準を満たすかは、自治体が示す設備例・図面例で確認する必要があります。大阪市は設備例と図面例を公開しているので、そちらが実質の答え合わせになります。

検査で止まりやすい6か所

1. 手洗い設備

もっとも指摘が多いのがここです。ポイントは3つあります。

  • 従業員専用の手洗いが、厨房内にあるか(客用トイレの手洗いと兼ねることはできません)
  • 手を洗ったあと、蛇口に触らずに済むか
  • 石けん・消毒液・ペーパータオルが置けるスペースがあるか

手を洗ったあとに再び汚染されない構造が求められます。具体的には、レバー式・センサー式など、手指で直接ハンドルを操作しない水栓です。よくある三角ハンドルの水栓は、これを満たしません。

2. シンクの数

「2槽必要」と書いているサイトが多いですが、2021年6月の改正で、画一的な2槽義務は撤廃されています。現在の基準は「使用目的に応じた大きさ及び数の洗浄設備」です。

大阪市でも、食器洗浄機を設置して「1槽シンク+食器洗浄機」の構成にすることが認められます。ただし、食品を洗う用途と器具を洗う用途の交差汚染を防げるかは確認されます。

先に決めておくべきなのは、槽の数より場所です。シンクを増やす余地を残さずに厨房のレイアウトを固めてしまうと、後から足せません。

3. 食器・器具の保管棚

扉付きの食器戸棚等が必要です。じんあい(ほこり)や飛沫による汚染を防げる構造であることが条件なので、オープンシェルフは認められません。見せる収納にしたい気持ちは分かりますが、食器を置く棚については塞ぐ前提で考えてください。

4. 冷蔵・冷凍設備の温度計

外から庫内温度が読めること。業務用の機材なら標準装備ですが、家庭用の冷蔵庫を流用しようとすると引っかかります。

5. 更衣スペース

専用の更衣室(個室)までは求められません。必要なのは、従事者の数に応じた十分な広さがあり、作業場への出入りがしやすい位置にある更衣場所です。更衣ロッカーや仕切りで対応できます。

6. 区画

調理場は営業専用とし、住居など作業場以外の場所と明確に区画します。客席と調理場の間も、カウンターやスイングドア(ウェスタンドア)等で区分が必要です。カウンターだけの小さな店でも、この考え方は問われます。

居抜き物件でも、前の許可はそのまま使えません

「前の店が通ったのだから大丈夫」は通りません。営業許可は施設と営業者の組み合わせに出るもので、営業者が変われば取り直しです。しかも前の許可が何年も前なら、その間に基準が変わっている可能性があります。

居抜きで契約する前の確認点は 居抜き物件の造作譲渡で失敗しないために にまとめています。

事前相談を、内装の着工前に入れる

施設基準でもめないための方法は1つしかありません。平面図ができた段階で、保健所に持っていくことです。

これは 営業許可申請に係る事前相談(保健所指導) として整理しています。法律で義務づけられた手続きではなく、行政指導・助言の位置づけです。だから「やらなくてもいい」のですが、やらないと後で高くつきます。

持っていくもの:

  • 店舗の平面図(レイアウトがわかるもの)
  • 厨房設備の配置図(シンク・手洗い・冷蔵庫・棚の位置)
  • 扱うメニューの概要(菓子の製造や食肉の処理が入ると許可の種類が増えます)

窓口を間違えないでください。大阪市の飲食店営業許可は、区役所の保健福祉センターではありません。各区を所管する大阪市保健所の 生活衛生監視事務所(北部・城東・東南部・南部など)が窓口です。

食品衛生責任者は、先に押さえる

施設とは別に、食品衛生責任者を1店舗に1人置く必要があります。

調理師・栄養士などの資格があればそのまま就任できます。資格がない場合は養成講習会を受けます。大阪では 公益社団法人 大阪食品衛生協会 が養成講習会を実施しています。受講料は10,500円(税込)、6時間の集合型のほか、eラーニングでも受けられます。

この講習会は 満席で先まで取れないことがある ので、物件が決まった時点で予約してしまうのが安全です。

手続きの位置づけは 食品衛生責任者の設置(選任) にあります。

許可までの流れ

順番やることタイミング
1物件を決める前に用途・面積・消防を確認契約前
2平面図で事前相談内装の着工前
3内装工事—
4食品衛生責任者の講習会並行して
5営業許可の申請工事完了の見込みが立ったら
6施設の検査申請後
7許可証の交付 → 営業開始—

手数料と期間(大阪市)

申請手数料(新規・一般の固定店舗)16,000円
申請手数料(更新)12,800円
標準処理期間15日(閉庁日を除く)

窓口で申請する場合、手数料は現金納付のみです(電子申請ならオンライン決済が使えます)。オープン予定日の2〜3週間前には申請しておきたいところです。

検査の日にちは自分で選べません。申請してから検査日が決まるので、オープン日を先に告知してしまうと身動きが取れなくなります。

この記事で扱った手続き

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まとめ

  • 施設基準は2021年6月改正で全国共通の土台になったが、運用は自治体で差が出る
  • 止まりやすいのは手洗い・シンク・棚の扉・温度計・更衣スペース・区画の6か所
  • 居抜きでも許可は取り直し。前の店が通ったことは根拠にならない
  • 事前相談は義務ではないが、内装の着工前に入れると手戻りが消える
  • 食品衛生責任者の講習会は埋まる。物件が決まったら先に予約する

この記事は制度の内容を整理したものです。施設基準の個別の判断は、店舗の所在地を所管する生活衛生監視事務所でご確認ください。


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