飲食店がPayPay等のキャッシュレス決済を導入するには?期間・手数料・必要書類を解説

飲食店のPayPay導入は1週間程度、マルチ決済端末は2週間〜2か月、手数料は1.6〜3.74% 飲食店

飲食店を開くとき、キャッシュレス決済は「あとで考えること」になりがちです。

ただ、申し込んでもすぐには使えません。 審査に2週間から2か月かかることがあり、しかも審査で営業許可証を求められることがあります。営業許可が下りていなければ、そこで止まります。

この記事では、決済サービスの比較ではなく、開業の流れのどこで、何を、どの順番でやるのかを整理します。手数料の比較は決済会社のサイトのほうが詳しいので、ここでは触れる程度にします。

※ この記事は2026年9月14日時点の情報です。手数料・キャンペーン・補助金の締切は変わります。申込前に各社の公式サイトでご確認ください。

結論:営業許可より先には進めません

順番はこうなります。

順番やること目安
1営業許可の申請・許可証の受領大阪市は標準処理期間の公表なし(オープン予定日の2〜3週間前に手続き)
2開業届(個人)または設立登記・法人設立届出書—
3決済サービスへ加盟店申込—
4加盟店審査・利用開始まで数日〜2週間(⚠️マルチ決済端末は2週間〜2か月)
5端末の到着・設定・テスト数日
6営業開始—

3の申込で、1と2の書類を出します。 ここが逆になっていると、書類がそろわず審査に進めません。

「内装が終わったら決済を申し込もう」と考えていると、オープン日に決済が使えないことになります。

⚠️ 審査にかかる期間は、入れる決済手段で大きく変わります

ここがいちばん誤解されやすいところです。「1週間あれば入る」と思って直前に申し込むと、オープン日に間に合いません。

サービス利用開始までの期間(公式)
PayPay審査完了から 1週間程度でキット到着・利用開始
Squareフォーム送信後 1〜2営業日以内に審査結果
Airペイ申込から利用開始まで 通常2週間程度
stera pack申込完了から 約2週間〜2か月

PayPayやSquareのように単一の決済手段なら、数日から1週間程度で使えるようになります。

一方、飲食店で一般的な「クレジットカード(複数ブランド)+交通系IC+QRコード」をまとめて入れるマルチ決済端末は、決済ブランドごとに審査が順に行われるため、最短でも2週間、長ければ2か月かかります。

⚠️ オープンに合わせるなら、少なくとも1か月前には動く必要があります。

加盟店審査で何を出すのか

決済サービスによって違いますが、共通して求められるのは次のものです。

書類内容
本人確認書類運転免許証・マイナンバーカード・パスポート等から1点
店舗の写真外観1枚・内観1枚が一般的
法人番号(法人の場合)登記情報
営業許可証⚠️飲食店は追加で求められることがある
開業届の控え⚠️求められることがある(無くても申し込めるサービスもある)

ここで見落としやすいのが店舗の写真です。内装が終わっていないと撮れません。つまり、工事の完了が審査のタイミングを決めます。

飲食店営業許可の申請手順は食品衛生法に基づく営業許可申請(飲食店営業)に、開業届は個人事業の開業・廃業等届出書、法人の場合は法人設立届出書(国税・府税・市税)にまとめています。

どの決済手段を入れるか

日本の決済手段は、大きく3つに分かれます。

種類例特徴
クレジットカードVisa・Mastercard・JCB等優先度が最も高い。客単価の高い会計で使われる
QRコード決済PayPay・楽天ペイ・au PAY等少額決済で使われる。導入のハードルが低い
交通系IC・電子マネーSuica・iD・QUICPay等決済が速い。回転率が要る業態で効く

まずクレジットカード、次に客層に合わせてQRと電子マネーを足すというのが、上位記事に共通した順序です。

手数料と入金サイクルの相場

相場を幅で言うと、決済手数料は1.6%〜3.74%、初期費用は0円〜4,980円、月額は0円〜3,300円です。ただ幅だけでは選べないので、代表的な4サービスの公式の数字を並べます。

サービス別の実例(2026年9月時点・各社公式)

PayPaySquareAirペイstera pack
QR決済の手数料1.60%(ライトプラン)/1.98%(制限プラン)※税別———
クレジットカード—3.25%(⚠️条件付き 2.50%)3.24%(⚠️条件付き 2.48%)Visa/Mastercard 2.70%/その他 3.24%
初期費用0円(キット無料)4,980円(Square リーダー・税込)0円(カードリーダー無償貸与)0円(端末代無料)
月額0円(制限プラン)/1,980円(ライトプラン・税別)0円0円3,300円(税込・13か月目まで無料)
入金サイクルプランによる翌営業日(三井住友・みずほ)/他行は週1回月6回(三菱UFJ・三井住友・みずほ)/他行は月3回月6回・月2回から選択
振込手数料—すべての銀行で0円すべての銀行で0円⚠️三井住友は0円/他行は220円(税込)
利用開始まで1週間程度1〜2営業日で審査結果通常2週間2週間〜2か月

⚠️ 振込手数料は「回数 × 単価」で効きます。stera pack を三井住友銀行以外で使うと1回220円(税込)で、月6回入金なら月1,320円。月額3,300円と合わせて月4,620円になります。入金回数を減らせばその分下がるので、資金繰りに余裕があるなら回数を絞るという選び方もあります。

⚠️ 優遇料率には審査条件があります。「中小企業だから自動的に2.50%」ではありません。

主な条件
Square 2.50%日本政府が定める中小企業の定義に当てはまる/上場企業や企業グループと関連がない/キャッシュレス決済の年間総取引額が3,000万円未満
Airペイ 2.48%中小企業庁の定める中小企業者(飲食なら資本金5千万円以下または従業員50人以下等)/上場会社やその子会社等でない/決済ブランドごとに審査(例:Mastercardは直近1年の決済額1,000万円以下)
stera pack中小企業者向けのスモールビジネスプランがあり、Visa/Mastercard 1.98%/JCB・Amex 2.48%。⚠️直近1年のVisa/Mastercard売上が2,500万円超でスタンダードへ移行

振込手数料は見落としやすい差です。 stera packで三井住友以外を使うと1回220円かかります。月6回なら年間で約15,840円です。

⚠️ PayPayだけを入れる場合と、クレジットカードも入れる場合では、話が別です。

PayPayはQRコード決済のサービスなので、クレジットカードや交通系ICを使いたいなら、Square・Airペイ・stera packのようなマルチ決済端末を別に検討することになります(これらはPayPayも扱えます)。

PayPayを入れる場合、実際いくらかかるか

月商300万円のうち、PayPayでの決済が2割(60万円)だとします。

プラン月額決済手数料(60万円分)合計
制限プラン(月額0円)0円⚠️料率はプランにより異なる—
ライトプラン1,980円(税別)9,600円(1.60%・税別)11,580円(税別)

⚠️ これはPayPay決済分だけの試算です。 クレジットカードや電子マネーを入れるなら、その手数料が別途かかります。

制限プラン(月額0円・1.98%)なら、60万円の手数料は11,880円。ライトプランとの差は300円です。 → ⚠️ 月額1,980円を料率差(0.38%)で取り返すには、月52万円以上のPayPay決済が要ります。 開業直後の見込み決済額で計算してから決めてください。

※ 料率とプランは改定されます。申込前に必ず公式でご確認ください。

⚠️ 手数料だけで選ぶと、運用が合わないことがあります。 レジカウンターで会計する店と、席で会計する店では、必要な端末が違います。据置型・モバイル型・QRのみ、のどれにするかは会計の動線で決まります。

また、入金サイクルは開業直後の資金繰りに直結します。月2回入金のサービスだと、売上が手元に来るまで最大で半月かかります。

レシートは「適格簡易請求書」になります

飲食店は、不特定多数の客に販売する事業として、適格簡易請求書(簡易インボイス)を交付できます。レシートをそのままインボイスとして使える、ということです。

ただし、レシートに次の記載が必要です。

#記載事項
1適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
2取引年月日
3取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
4税率ごとに区分して合計した対価の額
5税率ごとに区分した消費税額等 または 適用税率(どちらか一方でよい)

通常の適格請求書との違いは2つです。交付を受ける相手の氏名・名称が不要なことと、5で消費税額と適用税率のどちらか一方でよいことです。

⚠️ レジを選ぶときに関係します

ここが決済端末・POSレジの選定に効いてきます。登録番号を印字できないレジだと、簡易インボイスになりません。

テイクアウトがある店では、軽減税率(8%)と標準税率(10%)が混ざるため、税率ごとに区分して印字できることも必要です。

「安い端末にしたら登録番号が入らなかった」という形で後から効いてくるので、適格請求書発行事業者の登録をするなら、レジ選定の前に決めておくほうが手戻りがありません。

レジや端末に補助金は使えるか

使えますが、枠を間違えると対象外になります。

デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)で、ハードウェアが対象になるのはインボイス枠(インボイス対応類型)だけです。通常枠では、レジも決済端末も対象になりません。

経費補助上限補助率
ソフトウェア(50万円以下の部分)—3/4以内(小規模事業者は4/5以内)
PC・タブレット等10万円以下1/2以内
レジ・券売機等20万円以下1/2以内

⚠️ ハードウェアだけでは申請できません

公式サイトには、こう明記されています。

ハードウェアのみの申請は不可である。

「決済端末だけを補助金で買う」ことはできません。 補助対象として登録されたソフトウェアを導入し、そのソフトウェアを使うために必要なハードウェアとして、はじめて対象になります。

⚠️ 発注の順番を間違えると、全部が対象外です

“` ❌ レジを買う → 補助金を申請する → 対象外 ✅ 申請する → 交付決定を受ける → レジを買う “`

通常枠・インボイス枠とも、6次締切は2026年10月30日(金)17:00、交付決定は2026年12月10日(木)予定です(5次は9月29日で終了)。

11月までにオープンする店は、この補助金でレジを入れるのは間に合いません。 補助金に合わせて開業を遅らせるか、補助金を使わずに進めるかを、早い段階で決めることになります。

制度の詳細はデジタル化・AI導入補助金2026とは?通常枠6次締切10月30日・POSレジも対象になる枠を解説にまとめています。

開業前に終わらせておく手続き

決済の話は開業準備の後半に出てきますが、その前に終わっていないと営業できない手続きがあります。

全体の流れと期限は大阪市で飲食店を開業するには?必要な手続きの流れ・費用・期間を解説で整理しています。

よくある質問

Q. 営業許可が下りる前に、決済を申し込めますか

サービスによります。飲食店の場合、加盟店審査で営業許可証の提出を求められることがあるため、許可が下りてから申し込むのが確実です。また、審査には店舗の写真(外観・内観)が必要で、内装が終わっていないと撮れません。

Q. 申し込んでから、どのくらいで使えるようになりますか

入れる決済手段によって大きく違います。 PayPayやSquareのような単一サービスなら数日〜1週間程度ですが、クレジットカード各社や電子マネーをまとめて審査するマルチ決済端末(Airペイ・stera packなど)は2週間〜2か月かかります。⚠️オープンに合わせるなら、少なくとも1か月前には動いてください。

Q. 開業届を出していなくても申し込めますか

申し込めるサービスもあります。ただし開業届の控えを求められることがあるため、事前に提出しておくほうが審査が滞りません。個人事業の開業届は、事業開始の日から1か月以内に提出することとされています。

Q. PayPayの決済端末だけを、補助金で買えますか

できません。公式サイトに「ハードウェアのみの申請は不可である」と明記されています。補助対象として登録されたソフトウェアの導入とあわせて、そのソフトウェアを使うために必要なハードウェアとして申請する形になります。

Q. PayPayだけ入れれば足りますか

PayPayはQRコード決済のサービスです。クレジットカードや交通系ICも使いたいなら、Square・Airペイ・stera packなどのマルチ決済端末を別に検討することになります(これらはPayPayも扱えます)。⚠️客単価の高い店ほど、クレジットカードの優先度が上がります。

Q. PayPayの手数料はいくらですか

プランによって変わります。月額0円の「制限プラン」は1.98%、月額1,980円の「ライトプラン」は1.60%です(いずれも税別)。⚠️料率差は0.38%なので、月52万円以上PayPayで決済されないと、月額1,980円を取り返せません。開業直後は制限プランから始めるほうが無難です。

Q. 手数料がいちばん安いサービスを選べばいいですか

手数料だけでは決まりません。入金サイクル(翌営業日か、月2回か)は開業直後の資金繰りに直結します。また、レジカウンターで会計する店と席で会計する店では、必要な端末の形が違います。会計の動線を先に決めてから選ぶことになります。

Q. レシートをインボイスとして使うには、何が要りますか

適格請求書発行事業者の登録番号をレシートに印字する必要があります。あわせて、取引年月日・取引内容(軽減税率対象である旨)・税率ごとに区分した合計額・税率ごとの消費税額または適用税率のどちらかの記載が必要です。⚠️登録番号を印字できないレジでは、簡易インボイスになりません。

まとめ

  • ⚠️キャッシュレス決済は、営業許可より先には進められません。加盟店審査で営業許可証を求められることがあります
  • ⚠️審査期間は入れる決済手段で大きく変わります。単一サービスは数日〜1週間、マルチ決済端末は2週間〜2か月。オープンの1か月前には動くこと
  • 店舗の写真(外観・内観)が必要なので、内装の完了が審査のタイミングを決めます
  • 優先順位はクレジットカード → 客層に合わせてQR・電子マネー
  • ⚠️手数料だけで選ばない。入金サイクル(翌営業日〜月2〜6回)は開業直後の資金繰りに効きます
  • レシートは適格簡易請求書として使えますが、登録番号を印字できるレジが必要です
  • 補助金でレジを買えるのはインボイス枠のみ。⚠️ハードウェア単体では申請できません
  • ⚠️6次締切は2026年10月30日、交付決定は12月10日予定。11月までの開業には間に合いません

この事業に必要な手続きの一覧

飲食店の開業に必要な手続きは、許認可を探すで確認できます。この記事で扱った手続きは次のとおりです。

免責事項

本記事は情報提供を目的としています。筆者は行政書士試験の受験中であり、行政書士として登録していません。個別のご相談・手続きの代理は承っておりません。

記載内容は2026年9月14日時点の公表情報にもとづいています。手数料・キャンペーン・補助金の要件と締切は変わります。各決済サービスの公式サイト、および補助金の公募要領で最新の情報をご確認ください。税務の取扱いについては税務署または税理士にご確認ください。


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