飲食店の食品衛生責任者、講習が取れないときどうする?大阪の講習会・eラーニングと資格で免除される人

食品衛生責任者になる2つの道と、大阪の養成講習会は約6時間 飲食店

飲食店の営業許可を取るとき、店の図面や設備と同じくらい大事なのが「人」の要件です。営業許可を受ける施設には、施設ごとに1名以上の食品衛生責任者を置かなければなりません(食品衛生法 第51条)。

食品衛生責任者は、特別な学歴がなくても講習を受ければなれます。ただ、講習は日程が決まっていて、申込期限もあります。物件や内装の段取りに追われて後回しにすると、開業の予定日に間に合わないことがあります。

この記事では、大阪で飲食店を開く人向けに、食品衛生責任者に「誰が」「どうやって」なるのか、講習が間に合わないときに大阪市ではどう扱われるのかを整理します。2026年9月時点の情報です。

食品衛生責任者とは

食品衛生責任者は、営業者の指示に従って、施設の衛生管理にあたる人です。大阪市の案内では、次のように説明されています。

  • 営業者の指示に従い、施設における衛生管理にあたる
  • 食品衛生に関する新しい知識を得るため、実務講習会を定期的に受講するよう努める
  • 営業者に対し、食品衛生上の危害を防ぐために必要な意見を述べるよう努める

営業者(オーナー)本人がなる必要はありません。店長や調理担当のスタッフを選任することもできます。ただし、その施設に常に関わる人を選ぶのが前提です。複数店舗を持つ場合は、店ごとに1名ずつ必要になります。

位置づけは 食品衛生責任者の設置(選任) にもまとめています。

講習を受けなくてもなれる人

次の資格を持っている人は、養成講習会を受けなくても食品衛生責任者になれます。

区分主な資格・経歴
調理・栄養の資格調理師・製菓衛生師・栄養士・管理栄養士・船舶料理士
食品衛生監視員・食品衛生管理者の資格要件を満たす人医師・歯科医師・薬剤師・獣医師、医学・歯学・薬学・獣医学・畜産学・水産学・農芸化学の課程を修めて卒業した人 など
と畜場・食鳥処理の資格と畜場法の衛生管理責任者・作業衛生責任者、食鳥処理衛生管理者になる資格を持つ人
講習修了者食品衛生責任者養成講習会を修了した人

スタッフの中に調理師や栄養士がいないか、まず確認してください。いれば講習の予約を取る必要がなく、段取りが一つ減ります。その場合は、資格を証明する免許証などの写しを手元に用意しておきます。

なお、食品衛生責任者の資格に有効期限はありません。一度講習を修了すれば、別の店を開くときにも使えます。

選任しなくてよい営業もある

原則として、営業許可や営業届出の対象になる施設には食品衛生責任者が必要です。ただし、公衆衛生への影響が少ない次の営業は、選任しなくてよいとされています。

  • 食品または添加物の輸入業
  • 食品または添加物の貯蔵または運搬のみをする営業(冷凍・冷蔵倉庫業を除く)
  • 常温で長期間保存しても危害の発生のおそれがない包装食品の販売業
  • 器具または容器包装の製造業・輸入業・販売業

客に料理を出す飲食店は、ここに当たりません。飲食店を開くなら、必ず1名が必要です。

大阪府内の養成講習会は2種類

大阪府内では、公益社団法人 大阪食品衛生協会が食品衛生責任者養成講習会を実施しています。受講するには、同協会への申込みが必要です。

講習は教室型とeラーニング型の2つがあり、どちらも約6時間で、講義の内容は同じです。

教室型eラーニング型
時間約6時間(1日)約6時間(動画12本)
受け方指定日に会場で受講視聴期間内に自宅等で動画を視聴
申込み協会のサイトで受講日を選ぶ(郵便申込もあり)視聴月ごとの申込期間内に申し込む
受けられる人制限なし大阪府内に勤務している人、または勤務していない大阪府在住の人
修了証書受講当日に受け取るか、サイトからダウンロード発行日以降にサイトからダウンロード

eラーニングは、1本の動画は続けて視聴する必要がありますが、12本を別々の日に分けて見ることはできます。仕事をしながら準備する人には向いています。

ただし注意点があります。

  • 教室型からeラーニングへの振替はできません
  • eラーニングは1人に1つのメールアドレスが必要(複数人で共用できない)
  • テキストは宅配で届き、視聴用のURL・ID・パスワードはメールで届く
  • 修了証書のダウンロードは、可能になってから14日以内に行う

受講料は、協会の実施要綱では養成講習(6時間)10,500円(税込)です。支払方法(クレジット・コンビニ・ペイジーなど)によっては別途事務手数料がかかる場合があるので、申込前に実施要綱で確認してください。

「予約が取れない」ときに、実際に起きること

eラーニング型は、視聴月ごとに申込期間が区切られています。2026年10月12日時点で申し込める11月視聴分は、協会の案内では次のとおりです。

区分視聴期間申込期間修了証書の発行
11月・全日受講11月1日〜30日10月25日まで11月13日夕刻または12月2日夕刻
11月・月末受講11月13日〜30日10月20日〜11月11日12月2日夕刻

全日受講は視聴月の前月25日ごろが締切、月末受講は視聴月の中旬まで申し込めます(コンビニ払いは締切より早く締まります)。12月以降の回は、協会のページで最新の日程を確認してください。

教室型は、協会の講習会の予約ページで受講日と残席を選びます。2026年10月12日時点では、大阪市内(京橋)の会場で11月5日・11日・19日・25日の回が出ており、申込締切はそれぞれ開催の1週間前です。

申込みから修了証書が出るまで、1か月前後かかるのが分かります。教室型も、受講日の空きがなければ先の日程になります。

開業の2か月前には申し込むつもりで動くのが現実的です。内装業者との打合せより先に、講習の日程を押さえておきましょう。

講習が間に合わないとき:大阪市では「後から報告」ができる

では、営業許可の申請までに講習が修了しなかったらどうなるのか。

大阪市の案内では、営業許可の申請時などに選任した食品衛生責任者が資格者でない場合は、速やかに講習会を受講し、受講したことを管轄の保健所生活衛生監視事務所に報告するよう求めています。そのための様式が「食品衛生責任者養成講習会受講報告書」です。

大阪市「食品衛生責任者養成講習会受講報告書」の様式。食品衛生責任者として届け出た者に講習会を受講させたことを報告する書式。出典:大阪市 PDF https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/cmsfiles/contents/0000515/515620/jyukou2.pdf 掲載ページ https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000515620.html 2026年9月27日閲覧
出典:大阪市「食品衛生責任者養成講習会受講報告書」(PDF/掲載ページ「食品衛生責任者について」)2026年9月27日閲覧

この様式は「食品衛生責任者として届出した者について、講習会を受講させたので報告する」という書き方になっています。つまり、選任の届出が先、講習の修了が後という順番が、様式の上でも想定されているということです。

報告の方法は次のいずれかです。

  • 窓口で修了証を提示する
  • 修了証の写しを郵送する(受講報告書を添える)
  • 修了証の画像データ(PDFまたは写真)を電子メールで送る
  • 食品衛生申請等システムで申請している場合は、同システムで変更届出をする

ただし、これは「講習を受けなくてよい」という意味ではありません。速やかな受講と報告が前提です。申請の時点で受講の予定がどうなっているかは、事前相談の段階で保健所に伝えておくと話が早く進みます。事前相談については 営業許可申請に係る事前相談 にまとめています。

責任者が辞めたとき・変わるとき

開業後に食品衛生責任者だったスタッフが退職することもあります。

食品衛生責任者を変更したときは、保健所への届出が必要です。大阪市では「食品衛生責任者(設置・変更)届出書」の様式が用意されています。後任が資格を持っていない場合は、上と同じく講習を受けて報告します。

1人しか資格者がいない店は、その人が辞めた時点で困ります。開業時点で、2人目の資格者を育てておくと安心です。

開業までのスケジュールに落とし込む

ここまでを開業日から逆算すると、次のようになります。

時期やること
開業の2〜3か月前スタッフに調理師・栄養士などの有資格者がいるか確認/いなければ講習を申し込む
開業の1〜2か月前講習を受講(教室型)またはeラーニングを視聴
営業許可の申請時食品衛生責任者を記載して申請(修了前なら、受講の予定を保健所に伝える)
修了証書の発行後受講報告書と修了証の写しを保健所へ
開業後実務講習会を定期的に受講するよう努める

営業許可の全体の流れは 大阪市で飲食店を開業するには?必要な手続きの流れ・費用・期間を解説 に、保健所の検査で見られる設備は 大阪市の飲食店営業許可、保健所の検査で落ちるのはどこか にまとめています。

よくある質問

Q. オーナーが食品衛生責任者にならないといけませんか

いいえ。営業者本人でなくても、店長や調理スタッフを選任できます。施設ごとに1名以上を置くことが求められているので、その店に常に関わる人を選ぶのが現実的です。

Q. 大阪府外に住んでいて、大阪府内の店で働く予定です。eラーニングは受けられますか

大阪食品衛生協会のeラーニングは、大阪府内に勤務している人、または勤務していない大阪府在住の人が対象と案内されています。勤務先が大阪府内であれば対象になります。申込時に条件を確認してください。

Q. 他の都道府県で取った食品衛生責任者の資格は大阪でも使えますか

大阪市は、大阪食品衛生協会以外が実施した講習会を受講した場合も、資格を有する者と認められることがあるとしています。修了証を用意して、保健所生活衛生監視事務所に確認してください。

Q. 資格に更新はありますか

食品衛生責任者の資格に有効期限はありません。ただし、実務講習会を定期的に受講して新しい知識を得るよう努めることが求められています。

Q. 修了証書をなくしました。再発行できますか

大阪食品衛生協会で受講した場合は、協会で再発行できます。ホームページから手続きすると再発行手数料2,500円(税込)、インターネットが使えず郵送で申し込む場合は振込用紙の発行手数料500円が加わり合計3,000円です。手順は協会の「修了証書再発行のご案内」(PDF)にまとまっています。

Q. 食品衛生責任者が替わったら、何を出しますか

大阪市では、施設を担当する生活衛生監視事務所に「食品衛生責任者(設置・変更)届出書」と、新しい責任者の資格を証する書類(調理師免許や講習の修了証書など)を出します。様式は大阪市の「飲食店等の食品衛生法に基づく営業許可」のページからダウンロードできます。

Q. 講習が満席で、開業日までに受けられそうにありません

まず、スタッフに調理師・栄養士などの有資格者がいないか確認してください。いなければ、eラーニングの申込期間と修了証書の発行日を見比べて、最も早いものを押さえます。そのうえで、営業許可の申請前に保健所へ受講の予定を伝えて相談してください。

この記事で扱った手続き

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まとめ

  • 飲食店には、施設ごとに1名以上の食品衛生責任者が必要
  • 調理師・製菓衛生師・栄養士・管理栄養士などは、講習なしでなれる
  • 大阪府内の養成講習会は大阪食品衛生協会が実施。教室型とeラーニング型、どちらも約6時間・受講料10,500円(税込)
  • eラーニングは大阪府内勤務または大阪府在住(無職)の人が対象。申込期間が視聴月ごとに区切られている
  • 大阪市では、選任した責任者が資格者でない場合、速やかに受講して保健所に報告する様式が用意されている
  • 申込みから修了証書までは1か月前後。開業の2か月前には申し込む

この記事は制度の内容を整理したものです。個別の店舗の扱いは、店舗を管轄する大阪市保健所の生活衛生監視事務所にご確認ください。講習の日程・受講料は大阪食品衛生協会の最新の案内をご確認ください。

参考資料(一次資料)


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