現場の廃材を下請が運ぶと無許可になる?産業廃棄物収集運搬業許可が要る境界線と大阪府の申請

建設廃棄物の排出事業者は元請。下請が許可なしで運べるのは5つの条件をすべて満たすときだけ 建設業

内装やリフォームの現場では、「ついでにガラも積んで帰っておいて」という指示がよく出ます。下請の職人が自分のトラックで廃材を処分場へ運ぶ。長年そうしてきた会社も多いはずです。

ところが、廃棄物処理法の上では、この運搬は原則として「他人の産業廃棄物の運搬」になります。産業廃棄物収集運搬業の許可を持たない下請が運べば、無許可営業にあたるおそれがあります。

この記事では、建設工事の廃棄物について「誰が排出事業者か」「下請が許可なしで運べるのはどんな場合か」「大阪府で許可を取るには何が要るか」を整理します。2026年9月時点の情報です。

建設工事の廃棄物は「元請のもの」

まず前提です。建設工事で出る廃棄物について、排出事業者は元請業者とされています(廃棄物処理法 第21条の3第1項)。

環境省の「建設廃棄物処理指針」は、はっきりこう書いています。

環境省「建設廃棄物処理指針(平成22年度版)」5ページ。建設工事における排出事業者には元請業者が該当すると書かれている。出典:環境省 PDF https://www.env.go.jp/recycle/waste_law/kaisei2010/attach/no110329004.pdf 掲載ページ https://www.env.go.jp/recycle/waste_law/kaisei2010/ 2026年9月27日閲覧
出典:環境省「建設工事から生ずる廃棄物の適正処理について(通知)」別添「建設廃棄物処理指針(平成22年度版)」5ページ(PDF/掲載ページ「平成22年改正廃棄物処理法について」)2026年9月27日閲覧

要点は次の3つです。

  • 実際の施工を下請が行っていても、発注者から直接請け負った元請が排出事業者になる
  • 元請は、自らの責任で建設廃棄物を適正に処理しなければならない
  • 以前は「一括下請の場合は下請が排出事業者になることもある」という解釈があったが、平成22年の法改正で、その場合も元請が排出事業者とされた

つまり、現場の廃材は、法律上は元請の廃棄物です。下請から見れば「自分が出したゴミ」ではなく、「元請のゴミ」ということになります。

だから、下請が運ぶと「他人の廃棄物の運搬」になる

ここから次の結論が出ます。

誰が運ぶか法律上の扱い収集運搬業の許可
元請が自社で運ぶ排出事業者の自己運搬不要(処理基準は守る)
下請が運ぶ他人(元請)の産業廃棄物の運搬原則として必要
許可業者に委託する委託による運搬委託先が許可を持っていること。元請は書面で委託契約を結び、マニフェストを交付する

下請が許可なく運び、それが例外(次の節)に当たらなければ、無許可で産業廃棄物の収集運搬業を行ったことになり得ます。無許可営業は、廃棄物処理法で最も重い部類の罰則(5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその併科。法人には最高3億円の罰金)が定められている違反です。

さらに、許可のない下請に運ばせた元請の側も、委託基準の違反を問われるおそれがあります。「下請が勝手にやった」では済まない構造です。

例外:下請が許可なしで運べる5つの条件

ただし、小規模な工事については例外があります(廃棄物処理法 第21条の3第3項)。次のすべてに当てはまる場合に限り、下請が自ら運ぶ廃棄物は元請の廃棄物とみなされ、下請は許可なしで運搬できます。

#条件
1次のいずれかの工事から出た廃棄物であること ア:解体・新築・増築以外の維持修繕工事で、請負代金500万円以下のもの イ:引き渡した建物などの瑕疵の補修工事で、請負代金相当額500万円以下のもの
2特別管理廃棄物ではないこと
31回あたりの運搬量が1立方メートル以下であること(巻尺などで簡易に測れる、または1立方メートル以下と明らかな容器で運ぶ)
4現場のある都道府県または隣接する都道府県の、元請が所有するか使う権原を持つ施設へ運ぶこと
5運搬の途中で保管をしないこと

加えて、下請が運ぶ場合は、運ぶ廃棄物の種類・数量などを記載した書面と、この例外による運搬であることを証する書面を備え付ける必要があります。また、下請が運ぶことを請負契約(書面)で定めておくことも求められています。

解体工事・新築工事・増築工事の廃棄物は、金額にかかわらずこの例外に入りません。内装解体の廃材を下請が運ぶなら、原則どおり許可が必要です。

「うちは少量だから大丈夫」が危ない理由

例外の5条件は、1つでも外れれば使えません。現場でよくある外れ方はこうです。

  • 内装の解体工事だった(維持修繕ではない)
  • 1回の積載が1立方メートルを超えた
  • 自社の資材置場にいったん置いた(途中保管)
  • 元請ではなく下請の自社置場に運んだ
  • 書面を備え付けていなかった

「量が少ない」だけでは例外になりません。工事の種類・運び先・書面まで揃っているかを、元請と下請の両方で確認する必要があります。

アスベストを含む廃材や、解体時に出る特定の廃棄物については、さらに別の規制がかかります。解体工事そのものの登録は 解体工事業登録(大阪府知事登録) で確認してください。

許可を取るなら:大阪府の産業廃棄物収集運搬業許可

下請として廃材の運搬まで請け負うことが多いなら、許可を取ってしまうのが確実です。

積替え・保管をしない収集運搬業の許可は、運ぶ範囲によって許可を出す行政庁が変わります。大阪府の手引では次のように整理されています。

直送の範囲大阪府の許可政令市(大阪市など)の許可
大阪府内の一の政令市の区域を越える(例:大阪市の現場から堺市や府内他市の処分場へ)必要取得不可(不要)
一の政令市の区域内で完結する(例:大阪市内の現場から大阪市内の処分場へ)不要必要(例:大阪市長の許可)

※大阪府内の政令市等=大阪市・堺市・東大阪市・高槻市・豊中市・枚方市・八尾市・寝屋川市・吹田市。積み降ろしをする自治体の許可が必要で、通過するだけの自治体の許可は不要です。

大阪市内だけで仕事が完結するなら、大阪府ではなく大阪市の許可になる点に注意してください。以下は大阪府の許可の要点です。

内容
手数料(新規)産業廃棄物収集運搬業 81,000円/特別管理産業廃棄物収集運搬業 81,000円
手数料(更新)産業廃棄物 73,000円/特別管理 74,000円
提出部数正本1部・副本1部
有効期間5年(優良認定を受けると7年)
更新の受付有効期限の3か月前から。府から更新の案内は来ない
事前審査郵送または大阪府行政オンラインシステムで任意に受けられる

更新の案内は届きません。有効期限を過ぎると新規申請からやり直しになるので、期限は自社で管理してください。

手続きは 産業廃棄物収集運搬業許可(積替え・保管を含まない) にまとめています。

申請の前に:講習会の修了証が要る

許可の申請には、日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)の講習会の修了証が必要です。受講するのは、法人なら代表者・役員など、個人事業なら申請者本人などです。

大阪府は、新規許可申請では修了証の添付がなければ受け付けないとしています。講習の日程は先まで埋まることがあるので、許可を取ると決めたら、まず講習の申込みから動いてください。

講習については 産廃処理業の許可申請講習会の受講・修了 にまとめています。

車両・保管場所・特別管理の扱い

申請では、運搬に使う車両の書類(車検証または自動車検査記録事項の写しなど)も必要です。借りている車両を使うなら、貸借を証明する書類も求められます。

また、次の場合は許可の種類が変わります。

ケース必要な許可
自社の置場で積み替え・保管をする積替え保管を含む収集運搬業の許可(保管場所が大阪市内なら大阪市など、所在地の行政庁。事前協議が必要)
吹付け石綿などの廃石綿等、PCB廃棄物などを運ぶ特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可

詳しくは 産業廃棄物収集運搬業許可(積替え・保管を含む)、特別管理産業廃棄物収集運搬業許可 にまとめています。

元請がやっておくこと

排出事業者である元請には、下請に運ばせない場合でも、やるべきことがあります。

場面元請の義務
処理を業者に委託する収集運搬業者・処分業者とそれぞれ書面で委託契約を結ぶ
廃棄物を引き渡すマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付する
下請に運ばせる(例外の範囲)請負契約で定め、書面を備え付けさせる
現場ごと廃棄物の処理方法を整理する(建設廃棄物処理指針では処理計画の作成を求めている)

下請に「ついでに運んで」と口頭で頼むのが、いちばん危ない形です。建設業許可の要件全体は 建設業許可とは?取得に必要な要件をわかりやすく解説 で確認できます。

よくある質問

Q. 下請が自分の工事で出た端材を持ち帰るのもだめですか

建設工事の廃棄物は、原則として元請の廃棄物です。下請が持ち帰って処分場に運ぶなら、例外の5条件をすべて満たさない限り許可が必要です。「自分で切った端材」でも、法律上の扱いは変わりません。

Q. 元請として自社のトラックで運ぶのに許可は要りますか

元請が自ら運ぶのは排出事業者の自己運搬なので、収集運搬業の許可は不要です。ただし、運搬の基準(飛散・流出の防止、車両への表示など)は守る必要があります。

Q. 大阪府の許可があれば、大阪市内の現場でも運べますか

積替え・保管を含まない収集運搬業で、大阪市の区域を越えて運ぶ(大阪市内の現場から府内の他市の処分場へ運ぶなど)なら、大阪府知事の許可で大阪市内でも積み込み・荷降ろしができます。大阪市内だけで完結する運搬は、大阪市長の許可が必要です。積替え・保管をする場合は、保管場所を所管する市の許可も必要になります。

Q. 兵庫県の現場から大阪府の処分場へ運ぶ場合は

積み込む場所と荷降ろしする場所の両方の都道府県の許可が必要になるのが原則です。この場合は兵庫県と大阪府の許可を確認してください。

Q. 講習会の修了証に有効期限はありますか

修了証には有効期限があり、更新申請の際にも有効な修了証が求められます。大阪府は、更新・変更の申請で有効な修了証を添付できない場合の扱い(受講の申込みが分かる資料と誓約書)を定めています。

この記事で扱った手続き

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まとめ

  • 建設工事の廃棄物の排出事業者は元請(廃棄物処理法 第21条の3第1項)
  • 下請が運ぶと、原則として他人の産業廃棄物の運搬になり、収集運搬業の許可が必要
  • 例外は500万円以下の維持修繕・瑕疵補修/特別管理以外/1回1立方メートル以下/元請の施設へ/途中保管なしの5条件すべて+書面の備付け
  • 解体・新築・増築の廃棄物は、金額にかかわらず例外に入らない
  • 大阪府の許可は新規81,000円。講習会の修了証がないと新規申請は受け付けられない
  • 大阪市内だけで完結する運搬は大阪市長の許可。市域を越えるなら大阪府知事の許可
  • 更新の案内は来ない。有効期限は自社で管理する

この記事は制度の内容を整理したものです。個別の工事や運搬が許可の対象になるかは、大阪府 環境農林水産部 循環型社会推進室 産業廃棄物指導課など所管の窓口にご確認ください。

参考資料(一次資料)


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