建設業で特定技能を受け入れた後にやることは?受入報告・受入れ後講習・巡回指導・計画変更を解説

建設分野の特定技能は、就労開始から原則1か月以内に国土交通省へ受入報告。その後も講習・巡回指導が続く 建設業

建設分野で特定技能の外国人を受け入れるには、入管に申請する前に国土交通省の「建設特定技能受入計画」の認定が要ります。ここまでは 建設業で特定技能の外国人を受け入れるには?入管に出す前に国交省の受入計画認定がある で説明しました。

では、外国人が来日して働き始めた後は何が必要なのでしょうか。建設分野では、ほかの分野にはない国土交通省側の手続きが、受入れ後も続きます。最初の期限は、就労開始から原則1か月以内の「受入報告」です。

この記事では、国土交通省のオンライン申請の手引き・FAQと、建設技能人材機構(JAC)の案内をもとに、受入れ後にやることを時系列で整理します。2026年10月時点の情報です。

受入れ後にやることの全体像

時期やること相手
就労開始から原則1か月以内受入報告(外国人就労管理システム)国土交通省
就労開始の翌月10日まで(雇用保険に入る場合)外国人雇用状況の届出(資格取得届で兼ねる)ハローワーク
受入れ後概ね3〜6か月受入れ後講習を受講させるFITS(適正就労監理機関)
原則1年に1回以上巡回指導を受け入れるFITS
毎月受入負担金(1号1人あたり月12,500円)JAC
毎年4月1日〜5月31日前年度分の定期届出出入国在留管理庁
賃金・人数などが変わるとき変更申請(事前)または変更届出国土交通省
退職・2号移行のとき退職報告・2号移行報告国土交通省

国土交通省の手続きと、入管の手続きは別物です。どちらか片方を出せば済むわけではありません。

1. 受入報告:就労開始から原則1か月以内

国土交通省の手引きは、「この建設特定技能受入計画で認定された特定技能外国人が入国(就労開始)したら、原則として1か月以内に受入報告を行うことが必要です」としています。

国土交通省「建設特定技能受入計画のオンライン申請について【受入報告・退職報告・2号移行報告】」1ページ。特定技能外国人の就労開始後は受入報告を忘れずに。建設分野の受入れには国土交通大臣の建設特定技能受入計画の認定が必要で、認定された特定技能外国人が入国(就労開始)したら原則として1か月以内に受入報告を行うことが必要。準備する情報:在留カード番号、在留期間満了年月日、CCUS技能者ID、上陸年月日、特定技能従事開始年月日。添付書類:建設キャリアアップシステム(CCUS)カードの写し(受入計画認定申請時に未登録の場合)。出典:国土交通省 PDF https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/content/001603431.pdf 掲載ページ https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/tochi_fudousan_kensetsugyo_tk3_000001_00005.html 2026年10月18日閲覧

出典:国土交通省「建設特定技能受入計画のオンライン申請について【受入報告・退職報告・2号移行報告】」(2025年4月4日)1ページ(PDF:https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/content/001603431.pdf/掲載ページ:https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/tochi_fudousan_kensetsugyo_tk3_000001_00005.html)2026年10月18日閲覧

受入報告で必要なもの中身
在留カード番号・在留期間満了年月日在留カードから
CCUS技能者ID建設キャリアアップシステムの技能者ID
上陸年月日パスポートに貼られている直近の証印の日付
特定技能従事開始年月日新規入国なら在留資格「特定技能」の付与日(在留カードの発効日)。転職なら雇用開始日
添付書類CCUSカードの写し(認定申請時に未登録だった場合)

報告は「外国人就労管理システム」で行います。入力後に「報告完了」まで押さないと報告が終わらない点に注意してください。

海外から来た人はCCUSの技能者登録が来日後になるため、受入報告の期限までにIDが出ないことがあります。国土交通省は、その場合も期限内に受入報告を出すよう求めています(IDが出たら後で変更する扱い)。

なお、就労予定だった外国人が来日を取りやめた場合は、受入報告の画面で「取下」を選びます。

2. 受入れ後講習:概ね3〜6か月の間

受入企業は、1号特定技能外国人の受入れ後概ね3〜6か月の間に、適正就労監理機関であるFITS(一般財団法人国際建設技能振興機構)の受入れ後講習を受けさせる必要があります。日時や場所はFITSから通知されます。

確認点国土交通省FAQなど
誰の義務か外国人本人ではなく受入企業の義務(受入計画の認定要件)
勤怠の扱い業務の一環として扱う(移動時間を含め出張と同様。休暇扱いにしない)
受講料2023年3月以降の講習は1人15,400円をJACが全額負担
転職した人1回受講すればよく、転職のたびに受け直す必要はない

3. 巡回指導:原則1年に1回以上

FITSは、JACの委託を受けて、全ての受入企業を原則1年に1回以上巡回します。国土交通省のFAQは「企業は、巡回指導を受入れる義務があります」とし、結果は国土交通省とJACに報告されます。

巡回指導で行われること
役員・受入れ責任者との面会
賃金台帳などの書類で、認定された計画どおりに働いているかを確認
外国人本人との面談(企業は同席しない)
受入れに関する助言

正当な理由なく巡回に協力しない、質問に不誠実に答えるといった対応は、国土交通大臣による報告徴収や指導の対象になり得ます。賃金台帳・出勤簿は、いつ見せても計画どおりと説明できる状態にしておくことが大切です。

4. JACの受入負担金:1号1人あたり月12,500円

受入企業は、JACに間接的に(JAC正会員の建設業者団体に加入)または直接的に(JACの賛助会員になる)加入する必要があります。

加入の形JACに払う年会費受入負担金
正会員団体の傘下(団体に加入)なし(団体の会費は別)1号1人あたり月12,500円(年額15万円)
賛助会員(直接加入)年24万円1号1人あたり月12,500円

受入負担金は、特定技能1号の外国人を受け入れている間、毎月かかります。この負担金を外国人本人に負担させることはできません。2号の外国人は受入負担金の対象外です。

5. 計画を変えるとき:変更申請と変更届出

認定を受けた受入計画の内容が変わるときは、国土交通省に変更申請か変更届出をします。

区分主な例注意
変更申請(事前)基本賃金の総額が減る、所定労働時間が増える、業務区分が変わる、受入人数の増加(外国人の追加とセット)、受入期間、所属団体・商号・本店所在地・建設業の許可番号や許可期間・CCUS事業者IDの変更認定されるまでは変更前の計画どおりに実施する。原則として不利益変更は認められない
変更届出代表者の氏名、連絡先、責任者、就業規則・36協定、昇給(不利益変更に当たらない基本賃金の変更)、賞与・手当、在留カード番号、CCUS技能者IDなど送信と同時に受理。後で基準を満たしていないと分かれば是正を指導されることがある

建設業許可を更新したときも、許可期間が変わるので変更申請の対象です。許可の更新と受入計画の変更をセットで管理しておくと漏れません。

6. 退職・2号移行・全員がいなくなったとき

場面国土交通省への手続き
退職した退職報告(再雇用申請をする予定なら退職報告はしない)
2号に移行した2号移行報告(2号の在留カードの交付年月日を入力)
1号の外国人が一人もいなくなった受入計画は取り消されるまで続く。計画取消申請をして承認されるまで、JAC加入や巡回指導の受入れなどの義務は続く

「全員辞めたから終わり」ではありません。今後受け入れる予定がないなら、計画取消申請を忘れないようにしてください。

入管の届出・ハローワークの届出との関係

建設分野の特定技能では、次の3つが並行して動きます。

手続き出し先期限・頻度
受入報告・変更申請・退職報告国土交通省(外国人就労管理システム)就労開始から原則1か月以内ほか
定期届出・随時届出出入国在留管理庁定期届出は年1回(4月1日〜5月31日)。随時届出は事由発生から14日以内
外国人雇用状況の届出ハローワーク雇用保険に入るなら翌月10日まで

入管の届出は 特定技能の届出とは?定期届出と随時届出6種の出し方、ハローワークの届出は 外国人雇用状況届出(企業) で確認してください。

よくある質問

Q. CCUSの技能者IDが受入報告の期限までに出ません

国土交通省は、IDが出ていなくても期限内に受入報告を出すよう求めています。IDが発行されたら変更の手続きをします。

Q. 受入れ後講習の日は、有給休暇を使ってもらってもよいですか

いいえ。講習を受けさせるのは受入企業の義務なので、業務の一環として扱い、移動時間を含めて出張と同様に扱います。

Q. 昇給したときも国土交通省に何か出しますか

不利益変更に当たらない基本賃金の変更は、外国人就労管理システムから変更届出をします。基本賃金を下げる変更は原則として認められません。

Q. 受入負担金を給与から差し引いてもよいですか

できません。受入負担金は受入企業が負担するもので、直接・間接を問わず外国人本人に負担させてはいけません。

Q. 受け入れていた外国人が全員退職しました。何か手続きは要りますか

今後受け入れる予定がなければ、国土交通省に計画取消申請をします。承認されるまでは計画が続き、JACへの加入や巡回指導の受入れなどの義務も続きます。

受入れの費用に使える助成金

外国人の従業員向けに就業規則の多言語化や相談体制を整える場合や、正社員化を進める場合は、助成金が使えることがあります。キャリアアップ助成金とは?正社員化コースは外国人雇用にも使えるか を確認してください。

この記事で扱った手続き

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まとめ

  • 就労が始まったら、国土交通省へ原則1か月以内に受入報告(CCUSのIDが未発行でも期限内に)
  • 受入れ後概ね3〜6か月で受入れ後講習(受講料はJAC負担・業務扱い)、FITSの巡回指導は原則年1回以上
  • JACの受入負担金は1号1人あたり月12,500円。外国人本人に負担させない
  • 賃金・人数・許可期間などの重要な変更は事前の変更申請、それ以外は変更届出
  • 全員退職しても計画取消申請をするまで義務は続く。入管の届出・ハローワークの届出は別に必要

この記事は制度の内容を整理したものです。個別の計画変更が申請・届出のどちらに当たるかは、国土交通省の手引き・FAQで確認してください。

免責事項

この記事は、行政書士試験の受験生(行政書士登録はしていません)が、公的機関の公開資料をもとに制度の内容を整理したものです。個別の案件についての相談・書類作成の代行はお受けしていません。最新の情報は各行政機関の案内で確認してください。

参考資料(一次資料)


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