不動産の売買や賃貸、融資、会社の手続きでよく求められるのが登記事項証明書です。今でも「登記簿謄本」と呼ばれることが多いですが、登記所(法務局)はすべてコンピュータ化されているので、今取れるのは登記事項証明書です。
この記事では、取り方(窓口・郵送・オンライン)と手数料、どの種類を取ればいいかを整理します。2026年10月14日時点の法務省・法務局の案内にもとづいています。
取ったあとの読み方は、登記事項証明書(登記簿謄本)の見本と読み方 で、法務省の見本を使って説明しています。
誰でも、どこの登記所でも取れる
土地・建物・会社の登記事項証明書は、誰でも請求できます。自分の家や会社でなくてもかまいません。理由を書く必要もありません。
また、不動産の登記事項証明書は、その不動産を管轄する登記所でなくても請求できます(不動産登記法119条5項)。近くの法務局で、遠くの土地の証明書を取ることができます。
取り方は3つ、手数料は受け取り方で変わる
| 取り方 | 手数料(1通) | 払い方 |
|---|---|---|
| 窓口で申請書を出す | 600円 | 収入印紙 |
| 郵送で申請書を送る | 600円+返送の郵便代 | 収入印紙・切手を貼った返信用封筒 |
| オンライン請求して郵送で受け取る | 520円(普通郵便代込み) | ネットバンキング・電子納付対応ATM |
| オンライン請求して窓口で受け取る | 490円 | 同上 |
- 手数料は不動産も会社も同じです
- 1通が50枚を超えると、50枚ごとに100円が加わります
- オンライン請求で書留・簡易書留・速達を指定すると、その料金が加わります
一番安いのは、オンラインで請求して、登記所や法務局証明サービスセンターの窓口で受け取る方法(490円)です。窓口で申請書を書く時間も省けます。
オンライン請求のやり方
法務省の「登記・供託オンライン申請システム」を使います。
| 手順 | やること |
|---|---|
| 1 | システムで申請者情報を登録する(1年間使わないと自動で削除される) |
| 2 | ブラウザの「かんたん登記・供託申請」で、取りたい証明書の情報を入力して送る |
| 3 | 発行された電子納付情報で、ネットバンキング・モバイルバンキング・電子納付対応ATMから手数料を払う |
| 4 | 指定した住所に郵送で届く/指定した登記所・証明サービスセンターの窓口で受け取る |
| 利用できる時間 | |
|---|---|
| 平日 | 8:30〜23:00 |
| 休日 | 8:30〜18:00 |
| 使えない日 | 12月29日〜1月3日 |
注意点が2つあります。
- オンラインで請求しても、届くのは紙の証明書です。PDFの証明書がメールで届くわけではありません
- 「かんたん登記・供託申請」は、以前「かんたん証明書請求」という名前でした。古い解説を見て探すと見つからないことがあります
土地・建物は「住所」ではなく「地番・家屋番号」で請求する
ここが一番つまずくところです。
ふだん使う住所(住居表示)と、登記で使う地番・家屋番号は別のもので、一致しないことが多くあります。法務局は「住居表示番号では、土地・建物の特定ができず、登記事項証明書の交付や閲覧をすることができません」と案内しています。
地番・家屋番号は、次のもので確かめます。
| 確かめる方法 | 内容 |
|---|---|
| 権利証(登記済証)・登記識別情報通知書・登記完了証 | 所有者が持っている書類に書いてある |
| 法務局の窓口 | 地番対照表や住宅地図で調べられる |
| 周りの地番から探す | 周辺の地番が分かれば、公図や住宅地図を頼りに探せる場合がある |
会社の登記事項証明書は、会社名(商号)と本店の所在地で請求します。
どの種類を取ればいいか
土地・建物(不動産)
| 種類 | 載っていること | こんなときに |
|---|---|---|
| 全部事項証明書 | 登記記録の全部(抹消された過去の記録も含む) | 迷ったらこれ。売買・融資・相続など、ほとんどの場面 |
| 現在事項証明書 | 今効力のある登記だけ | 今の所有者と権利だけ分かればよいとき |
| 何区何番事項証明書 | 権利部の一部(請求した部分) | 特定の抵当権だけなど |
| 所有者事項証明書 | 今の所有者の氏名・住所 | 所有者だけ確かめたいとき |
| 閉鎖事項証明書 | 合筆・滅失などで閉じられた登記記録 | 昔の記録を調べるとき |
不動産には「履歴事項証明書」という種類はありません。過去の記録まで見たいときは「全部事項証明書」を取ります。
会社・法人
| 種類 | 載っていること | こんなときに |
|---|---|---|
| 履歴事項証明書 | 今の登記事項+請求日の3年前の年の1月1日以降に抹消された事項 | 迷ったらこれ。許認可・ビザ・融資・取引先への提出で一番よく求められる |
| 現在事項証明書 | 今効力のある登記事項(会社の成立年月日・役員の就任年月日などを含む) | 今の状態だけでよいとき |
| 閉鎖事項証明書 | 閉じられた登記記録(本店移転前の記録など) | 昔の記録を調べるとき |
| 代表者事項証明書 | 代表者の代表権に関する事項 | 代表者の資格を証明するとき |
提出先から「全部事項」か「一部事項」かを指定されることもあります。指定がなければ、全部事項の証明書を取るのが無難です。
「登記情報提供サービス」は証明書にならない
インターネットで登記の内容をPDFで見られる「登記情報提供サービス」もあります。
| 登記事項証明書 | 登記情報提供サービス | |
|---|---|---|
| 料金(全部の情報) | 490〜600円 | 330円(2026年4月1日から) |
| 形 | 紙の証明書 | 画面・PDF |
| 証明書として使えるか | 使える | 使えない(登記官の認証文・職印がない) |
| 向いている使い方 | 役所・銀行などに出す | 中身を確かめるだけ |
登記情報提供サービスは、中身を確かめるためのサービスです。印刷しても登記官の認証文や職印がないので、提出用の証明書にはなりません。ただし、行政機関へのオンライン申請では、このサービスで取った「照会番号」を登記事項証明書の代わりに使える場合があります。使えるかどうかは申請先に確かめます。
よくある質問
Q. 他人の土地の登記事項証明書も取れますか
取れます。法務局は「土地・建物・会社等の登記事項証明書は、どなたでも請求することができます」と案内しています。地番や会社名など、どの登記かを特定する必要はあります。
Q. 登記簿謄本と登記事項証明書は違うものですか
中身は同じ役割の書類です。コンピュータで管理している登記記録を証明したものが登記事項証明書で、紙の登記簿を写したものが登記簿謄本です。今は全ての登記所がコンピュータ化されているので、取れるのは登記事項証明書です。
Q. 提出先に「3か月以内のもの」と言われました
登記事項証明書そのものに有効期限はありませんが、提出先が「発行から3か月以内」などと決めていることがよくあります。取るのは、出す日の直前にします。
Q. 外国人を雇うときの申請でも使いますか
在留資格認定証明書(COE)の申請では、会社のカテゴリーが3・4の場合に登記事項証明書を出します。詳しくは 在留資格認定証明書(COE)とは にまとめています。
まとめ
- 登記事項証明書(登記簿謄本)は誰でも・どこの登記所でも取れる
- 手数料は窓口600円/オンライン+郵送520円/オンライン+窓口490円。不動産も会社も同じ
- オンラインは「かんたん登記・供託申請」。平日8:30〜23:00・休日8:30〜18:00。届くのは紙の証明書
- 土地・建物は住所ではなく地番・家屋番号で請求する。権利証や法務局の地番対照表で確かめる
- 迷ったら、不動産は全部事項証明書、会社は履歴事項証明書
- 登記情報提供サービス(330円)は証明書として使えない
この記事は法務省・法務局の案内を整理したものです。手続きの細かな点は、請求先の法務局で確認してください。
参考資料(一次資料)
- 法務省「登記手数料について」(2026年10月14日閲覧)
- 法務省「オンラインによる登記事項証明書等の交付請求」(2026年10月14日閲覧)
- 登記・供託オンライン申請システム/利用時間・運転状況(2026年10月14日閲覧)
- 法務省「商業・法人登記Q&A」(2026年10月14日閲覧)
- 法務省「登記情報提供サービスの利用料金等一覧」(2026年10月14日閲覧)
- 松山地方法務局「よくある質問」(2026年10月14日閲覧)
- e-Gov法令検索「不動産登記法」第119条(2026年10月14日閲覧)
- e-Gov法令検索「不動産登記規則」第196条(2026年10月14日閲覧)


