経審の評点を上げるならW点から|加点項目の一覧と令和8年7月の改正【2026年版】

建設業

公共工事の入札に入るには、経営事項審査(経審)を受けて総合評定値(P点)を取る必要があります。

P点を上げたいと思ったとき、多くの会社がまず財務を見ます。ただ、財務は決算が終わらないと動かせません。今期の数字はもう決まっています。

そこで見るのが W点(社会性等) です。W点は、自社の取り組みで積める部分が多く、しかも決算とは独立して動きます。この記事では、W点で何がどう効くのかを整理します。2026年9月時点の情報です。

経審そのものの流れは 経営事項審査(経審)とは?公共工事に入るまでの流れと年1回の落とし穴 にまとめています。

P点の中でW点はどれくらい効くか

総合評定値P点は、5つの評点を重みづけして足したものです。

P = 0.25×X1 + 0.15×X2 + 0.20×Y + 0.25×Z + 0.15×W

記号中身係数
X1完成工事高0.25
X2自己資本額・利益額0.15
Y経営状況(分析機関が算出)0.20
Z技術職員数・元請完成工事高0.25
W社会性等0.15

W点そのものは、次の式で出します。

W =(W1 + W2 + … + W8)× 10 × 190 ÷ 200

ここを勘違いしている人が多いところです。「建退共に入ったから15点上がる」わけではありません。素点の15点に 10×190÷200(=9.5)を掛けてW評点になり、そこにさらに0.15が掛かってP点に乗ります。

それでも、素点を1つ積むごとに効果はあります。しかも次に挙げる項目は、お金をかけずに積めるものが混じっています。

W点の項目は8つ

記号中身主な加点・減点
W1担い手の育成・確保建退共+15/退職一時金等+15/法定外労災+15/社会保険未加入は各−40/若年技術者の育成/CPD単位/技能レベル向上 最高+10/CCUS就業履歴蓄積+10〜15/自主宣言(令和8年7月新設)
W2営業継続の状況営業年数 最高+60/再生・更生手続 −60
W3防災活動への貢献防災協定の締結+20
W4法令遵守指示処分 −15/営業停止 −30
W5建設業の経理監査の受審 最高+20/公認会計士等の数 最高+10
W6研究開発研究開発費
W7建設機械の保有保有台数 最高+15
W8ISOの登録ISO9001・ISO14001 各+5

まず確認すべきは、加点より「マイナスがないか」

W1で目を引くのは加点のほうですが、効き方が大きいのはマイナス側です。

社会保険の未加入は、健康保険・厚生年金・雇用保険それぞれで−40点。加点をいくつ積んでも追いつきません。W点の対策は、マイナスをゼロにするところから始まります。

同様に、W4の法令遵守も、指示処分で−15、営業停止で−30です。

今期から積める加点

1. 建退共・退職一時金・法定外労災(各+15)

W1のなかで、加入すればその年から効くタイプです。

  • 建設業退職金共済(建退共) +15
  • 退職一時金制度または企業年金制度 +15
  • 法定外労働災害補償制度(法定外労災) +15

3つとも取れば素点で45点分です。すでに実質的に同等の制度を持っているのに、経審で加点される形になっていない会社がよくあります。まず自社の現状を棚卸ししてください。

2. 防災協定(+20)

W3です。自治体や建設業協会との防災協定に参加していると加点されます。単独で協定を結べなくても、加入している団体が協定を締結していて、その構成員として位置づけられていれば対象になる場合があります。

素点20は単独項目では大きいほうです。団体に入っているなら、防災協定の有無を確認する価値があります。

3. CCUSの活用(+10〜15)

建設キャリアアップシステムの活用は、2つの角度で効きます。

中身加点
民間工事を含むすべての建設工事で就業履歴を蓄積15点
すべての公共工事で就業履歴を蓄積10点
技能者のレベル向上(審査基準日以前3年間の割合に応じて)最高10点

「登録した」ではなく「蓄積した」が条件です。カードリーダーを現場に置いて、実際に就業履歴が積まれている必要があります。準備に時間がかかるので、来期の経審を見て今から動く項目です。

なお、CCUSは特定技能で外国人を受け入れるときにも必須になります(建設業で特定技能の外国人を受け入れるには?)。人材確保と評点対策が同じ仕組みに乗っています。

4. ISO(各+5)

W8。取得コストと維持コストがかかるので、5点のためだけに取りにいく項目ではありません。すでに持っているなら確実に申告してください。

令和8年7月1日から、新しい加点が増えました

令和8年2月6日公布・令和8年7月1日施行の改正(国土交通省告示第262号)で、W1に 「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」 の加点が新設されました。

あわせて、社会保険未加入の減点算式が改定され、確認書類の合理化(労働保険料の領収済通知書の提出廃止など)も行われています。

改正の施行が7月1日なので、審査基準日がそれ以降の会社から順に影響します。自社の審査基準日(決算日)がいつかを確認して、どちらの基準で受けるのかを把握しておいてください。

資本性借入金は、W点ではなくX2とYに効く

W点の話ではありませんが、評点対策としてよく出るので触れておきます。

日本政策金融公庫の資本性ローンなど、一定の要件を満たす劣後ローンは、負債から控除して自己資本に加算することが認められています。これは X2(自己資本額) と Y(経営状況分析) に効きます。

借入なのに自己資本として見てもらえるので、財務側の評点を動かしたいときの選択肢になります。ただし要件があるので、対象になるかは金融機関と確認してください。

大阪府で経審を受けるときの実務

流れ①登録経営状況分析機関に分析申請(Y点)→ ②結果通知書を受領 → ③大阪府知事へ経営規模等評価申請・総合評定値請求
手数料(大阪府知事許可)1業種 11,000円(経営規模等評価10,400円+総合評定値600円)。2業種13,500円、以後1業種増すごとに2,500円加算
受付咲洲庁舎1階の会場。完全事前予約制(予約票で日程調整)。電子申請も可

※経営状況分析機関に払う手数料は別途かかります。

建設業許可の窓口と混同しないでください

建設業許可の申請は予約不要ですが、経審は完全事前予約制です。ここを間違えると当日に受け付けてもらえません。

また、経審の前提として決算変更届が出ている必要があります。未提出のまま経審に行くことはできません(建設業の決算変更届は毎年必要)。

この記事で扱った手続き

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まとめ

  • W点の係数は 0.15。素点はそのまま乗るのではなく ×10×190÷200 を経てW評点になる
  • まずマイナスを消す。社会保険の未加入は各 −40
  • 今期から積めるのは 建退共・退職一時金・法定外労災(各+15) と 防災協定(+20)
  • CCUSは「登録」ではなく「蓄積」で加点。全工事で15点、全公共工事で10点
  • 令和8年7月1日施行の改正で「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の加点が新設された
  • 大阪府の経審は 完全事前予約制。手数料は1業種 11,000円

この記事は制度の内容を整理したものです。加点の可否や点数は審査基準日時点の状況によります。最新の取扱いは国土交通省および大阪府の手引でご確認ください。


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