建設業許可でつまずくのは、要件そのものより 「要件を満たしていることを、書類でどう見せるか」 です。
なかでも毎回こじれるのが 常勤性 です。常勤役員等(いわゆる経管)と営業所の専任技術者は、「その会社に常勤していること」を書類で示さなければなりません。
そして、ここで 「健康保険証のコピーを出せばいい」と思っている方が多いのですが、大阪府ではそれで常勤性は証明できません。
この記事では、大阪府知事許可を前提に、常勤性を何で証明するのかを整理します。2026年9月時点の情報です。
そもそも「常勤性」とは何を見られているのか
建設業許可では、次の2つのポジションについて常勤であることが求められます。
| 役割 | 根拠 | どこに常勤するか |
|---|---|---|
| 常勤役員等(経営業務の管理責任者等) | 建設業法第7条第1号 | 会社に常勤 |
| 営業所専任技術者 | 建設業法第7条第2号 | その営業所に専任・常勤 |
常勤とは、ざっくり言えば 「原則として毎日その営業所に出勤し、所定の時間をその職務に充てている」 状態です。名前だけ貸してもらう、他社と掛け持ちする、といったケースは認められません。
常勤性は「資格があるか」とは別の話です
1級の資格を持っていても、常勤だと示せなければ専任技術者にはなれません。逆に、資格要件を実務経験でクリアする人でも、常勤性の書類が揃えば問題ありません。
手続きの位置づけは 常勤役員等及び営業所専任技術者の設置 に、要件の中身は 建設業許可の「経営業務の管理責任者」とは にまとめています。
健康保険証の廃止で変わったのは「本人確認」のほう
健康保険証は新規発行が終了し、マイナンバーカードを健康保険証として使う仕組みへ移行しました。大阪府もこれに合わせて手引を改定しています(令和6年12月2日施行。令和7年12月1日まで旧証の経過措置がありました)。
ただし、変わったのは申請者の本人確認書類のほうです。大阪府は本人確認書類の一覧から健康保険証等を削除しました。
常勤性の確認書類は、もともと健康保険証ではありませんでした。大阪府が指定しているのは、次の2つです。
- 健康保険被保険者標準報酬決定通知書
- 住民税特別徴収税額通知書
どちらも「その会社から、いくらの給与を継続して受けているか」が分かる書類です。保険証は「保険に入っている」ことしか示さないので、常勤性の証明としては最初から採用されていません。
他府県の情報をそのまま使わないでください
常勤性の確認書類は行政庁ごとに指定が違います。「保険証の写しでいい」と書かれた解説は、別の行政庁の話か、古い情報です。
大阪府で常勤性を示す書類(区分別)
法人の役員・従業員
次の①か②のどちらか1組を、直近年のもので用意します。
| 書類 | |
|---|---|
| ① | 健康保険被保険者標準報酬決定通知書 |
| ② | 住民税特別徴収税額通知書(特別徴収義務者用) + 府民税・住民税特別徴収税額通知書(納税義務者用) |
②は2枚セットです。片方だけでは足りません。なお、後期高齢者医療の被保険者になっている方は、②のみで対応します。
個人事業主本人
市町村長が発行する 住民税課税証明書(直近年のもの・発行から3か月以内)を出します。
まだ課税証明書が発行されない期間にかかる場合は、直近の所得税確定申告書 第一表(税務署の受付印または受信通知つき。令和7年以降分は受付印不要)で代えます。
個人事業の専従者
所得税確定申告書 第一表(専従者欄などに氏名と金額が記載されているもの)+ 住民税課税証明書 の組み合わせです。
就任直後・雇用直後で、まだ通知書が出ない場合
ここが実務でいちばん多いパターンです。新しく役員を迎えた、技術者を採用した、というときは通知書が間に合いません。
その場合は、
- 直近3か月分の賃金台帳等
- + 市町村の受付印がある「住民税特別徴収切替申請書」の控え
を出します。3か月目の給与がまだ支給されていない場合は、役員会議事録、または労働条件明示書・雇用契約書と切替申請書の控えの組み合わせになります。
月額報酬が10万円未満などの場合
被保険者記録照会回答票、住民税課税証明書、申請者の確定申告書類 で確認されます。
まとめると、見られているのは1つ
書類の種類は分かれますが、審査側が見たいことは共通しています。
「その人が、その会社から、継続して給与を受け取っているか」
だから、通知書が出ない時期は賃金台帳と切替申請書で代える、という置き換えが成り立ちます。自分がどの区分に当たるかを先に決めてから、書類を集めてください。
大阪府への申請(2026年9月時点)
| 申請先 | 大阪府 都市整備部 住宅建築局 建築指導室 建築振興課 建設業許可グループ(大阪市住之江区南港北・咲洲庁舎1階の申請会場) |
| 受付時間 | 平日 9時30分〜17時(昼時間も開設) |
| 事前予約 | 不要(完全予約制ではありません) |
| 標準処理期間 | 30日(土日祝を含む。年末年始の閉庁日・大型連休を除く) |
手数料(大阪府知事許可)
| 区分 | 金額 | 一般・特定の両方を同時に |
|---|---|---|
| 新規 | 9万円 | 18万円 |
| 許可換え新規 | 9万円 | 18万円 |
| 般・特新規 | 9万円 | — |
| 業種追加 | 5万円 | 10万円 |
| 更新 | 5万円 | 10万円 |
般・特新規は9万円です
「般・特新規=5万円」と書かれた情報を見かけますが、新規の区分なので9万円です。5万円なのは業種追加と更新です。ここを間違えると、当日その場で足りません。
なお、待ち時間を減らすために、大阪府は郵送または会場の投函ボックスによる「許可申請事前チェックサービス」を案内しています。不備を先に潰してから来庁日を調整する形です。電子申請(JCIP)も使えます。
経審とは受付方法が違います
建設業許可の申請は予約不要ですが、経営事項審査は完全事前予約制です。同じ咲洲庁舎でも扱いが違うので、混同しないでください(経審の評点を上げるならW点から)。
許可を取ったあとも、常勤性はついてまわる
経管や専任技術者が退職・交代したときは、事由の発生から14日以内に変更の届出が必要です。このとき、新しく就任する人の常勤性を、また同じ形で示すことになります。
「常勤性を示せる人がいなくなった」状態が続くと、許可の要件を欠くことになります。役員や技術者の異動は、許可の話とセットで考えてください。
毎年の決算変更届も忘れずに(建設業の決算変更届は毎年必要)。
よくある質問
Q. 出向してきている人を専任技術者にできますか
出向元との関係次第です。その営業所に常勤していることに加えて、給与の負担関係が確認できる資料を求められます。
Q. 経管と専任技術者を1人が兼ねられますか
同一営業所であれば、どちらの要件も満たす人が兼ねることは可能です。ただし専任技術者はその営業所に専任なので、別の営業所と兼ねることはできません。
Q. 遠方に住んでいる役員でも大丈夫ですか
通勤が現実的かどうかを見られます。書類が揃っていても、居住地と営業所の距離から常勤性を疑われることがあります。
この記事で扱った手続き
あわせて読みたい
- 建設業許可の「経営業務の管理責任者」とは|要件と、証明できずに止まる理由
- 建設業許可とは?取得に必要な要件をわかりやすく解説【2026】
- 建設業の決算変更届は毎年必要|4か月の期限・出さないとどうなるか【2026年版】
- 管理部門の事務負担を減らす設備・ソフトの導入には デジタル化・AI導入補助金2026 が使える場合があります。
まとめ
- 大阪府では、常勤性の確認書類は 健康保険被保険者標準報酬決定通知書 または 住民税特別徴収税額通知書(2枚セット)
- 健康保険証は、もともと常勤性の確認書類ではない。廃止で削除されたのは本人確認書類のほう
- 個人事業主は住民税課税証明書、就任直後は賃金台帳+特別徴収切替申請書の控え
- 大阪府知事許可の標準処理期間は30日、新規(般特新規を含む)は9万円、更新・業種追加は5万円
- 建設業許可の窓口は予約不要(経審は完全予約制)
- 経管・専任技術者が変わったら 14日以内に変更届
この記事は制度の内容を整理したものです。個別の申請で何が受理されるかは、大阪府の建設業許可の窓口および最新の「建設業許可申請の手引」でご確認ください。


