外国人を雇い入れたときと、離職したときには、ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」が必要です。厚生労働省は「外国人の雇入れ及び離職の際に、全ての事業主が届け出る必要があります」としています。正社員だけでなく、留学生のアルバイト1人でも対象です。
ややこしいのは、その外国人が雇用保険に入るかどうかで、使う様式と期限が変わることです。雇用保険に入る人は資格取得届・喪失届で兼ねられますが、入らない人は別の様式(様式第3号)で出します。
この記事では、厚生労働省の案内とリーフレット「外国人雇用はルールを守って適正に」(令和8年6月版)をもとに、期限・届出事項・出し方を整理します。飲食店の留学生アルバイト、建設現場の特定技能など、現場でよくある場面にあてはめて説明します。2026年10月時点の情報です。
外国人雇用状況の届出とは
根拠は、労働施策総合推進法(正式名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」)第28条です。事業主は、外国人を雇い入れたとき・離職したときに、氏名・在留資格・在留期間などを確認して届け出なければなりません。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 届け出る人 | 全ての事業主(独立行政法人・国立大学法人・公社等も含む) |
| 届け出るとき | 外国人の雇入れと離職 |
| 届出先 | ハローワーク(公共職業安定所) |
| 対象外の人 | 特別永住者、在留資格「外交」「公用」 |
| 罰則 | 届出を怠った・虚偽の届出をした場合は30万円以下の罰金 |
ハローワークは、この届出をもとに事業主への助言・指導や、離職した外国人の再就職支援を行います。
入管(出入国在留管理庁)に出す届出とは別の手続きです。特定技能の受入れ機関が入管に出す定期届出・随時届出は 特定技能の届出とは?定期届出と随時届出6種の出し方 で整理しています。
雇用保険の有無で、様式と期限が違う
| 雇用保険の被保険者になる外国人 | 雇用保険の被保険者にならない外国人 | |
|---|---|---|
| 使う様式 | 雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)・資格喪失届(様式第4号) | 外国人雇用状況届出書(様式第3号) |
| 雇入れの期限 | 翌月10日まで | 翌月の末日まで |
| 離職の期限 | 離職の翌日から起算して10日以内 | 翌月の末日まで |
| 届出先 | 雇用保険の適用を受けている事業所を管轄するハローワーク | その外国人が勤務する事業所(支店・店舗・工場など)の住所を管轄するハローワーク |
| 電子申請 | e-Gov | 外国人雇用状況届出システム |
| よくある例 | 正社員、週20時間以上の社員、特定技能の従業員 | 昼間学生の留学生アルバイト、雇用保険の対象にならない短時間のアルバイト |
雇用保険に入る人は、資格取得届(17〜23欄)や資格喪失届(表面の住所欄・裏面の14〜19欄)に国籍・地域や在留資格などを書いて出すことで、外国人雇用状況の届出をしたことになります。別に様式第3号を出す必要はありません。
雇用保険に入らない人は、様式第3号で届け出ます。期限は雇入れ・離職ともに翌月の末日までです。たとえば10月15日に雇い入れた留学生アルバイトなら、11月30日が期限です。

出典:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「外国人雇用はルールを守って適正に」(令和8年6月版)8ページ(PDF:https://www.mhlw.go.jp/content/001261965.pdf/掲載ページ:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/todokede/index.html)2026年10月18日閲覧
届出期限内に雇い入れて離職した場合は、雇入れ年月日と離職年月日を両方書きます。期限内に複数回雇入れ・離職があった場合はまとめて書けます。
届け出る事項
届出事項は、外国人の在留カード(またはパスポート)を見て確認し、そのとおりに書きます。
| 届出事項 | 書き方のポイント |
|---|---|
| ① 氏名 | 通称名ではなく本名(在留カードどおりのローマ字) |
| ② 在留資格 | 在留カードの「在留資格」のとおり。特定技能は分野(例:特定技能1号(建設)、特定技能1号(外食業))、特定活動は活動類型まで書く |
| ③ 在留期間 | 在留カードの「在留期間(満了日)」 |
| ④〜⑥ 生年月日・性別・国籍・地域 | 在留カードから転記 |
| ⑦ 資格外活動許可の有無 | 「留学」などで資格外活動許可を受けて働く人の場合に記入(雇入れ時のみ) |
| ⑧ 在留カード番号 | 12桁(英字2桁・数字8桁・英字2桁)。2020年3月1日以降の雇入れ・離職で必要 |
| ⑨⑩ 雇入れ・離職年月日、事業所 | 勤務する店舗・支店など。派遣の場合は派遣元の事業所 |
在留カードのコピーをハローワークに出す必要はありません。提示を受けて確認するだけです。
2026年6月14日からのカードと様式
2026年6月14日から、在留カードの券面が変わり、マイナンバーカードと一体になった特定在留カードの運用も始まりました。届出事項を確認する位置が従来のカードと違うので、リーフレットの見本で確認してください。
様式第3号も2026年6月14日版(R080614)に変わっています。さらに厚生労働省のページには、2027年4月1日から使う新様式(R090401)が掲載されています。2026年10月時点では、提出日に合った様式を使ってください。
在留カードが偽造・変造されていないかは、出入国在留管理庁の在留カード等読取アプリケーション(無料)でICチップの情報と券面を見比べて確認できます。
飲食店:留学生アルバイトを雇うとき
飲食店でいちばん多いのが、留学生のアルバイトです。昼間学生の留学生は原則として雇用保険の被保険者にならないため、様式第3号で翌月末日までに届け出るのが一般的な形です。
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| 在留カードの裏面の「資格外活動許可欄」 | 「留学」は原則として就労できない。資格外活動許可を受けているかを確認する |
| 許可の範囲(時間の上限など) | 許可されている活動の内容と期限を在留カードや資格外活動許可書で確認する |
| 雇入れ日と離職日 | 短期間で辞めた場合も届出が要る。期限内なら雇入れと離職を1枚に書ける |
アルバイトの出入りが多い店では、月末に「先月入った人・辞めた人」をまとめて出す運用にすると漏れにくくなります。
外国人が自分で飲食店を開く場合の順番は 外国人が大阪で飲食店を開く順番|経営・管理ビザと営業許可 にまとめています。
建設業:特定技能の従業員を雇うとき
建設分野の特定技能の外国人は、フルタイムの直接雇用が前提なので、通常は雇用保険の被保険者になります。この場合は資格取得届に在留資格(特定技能1号(建設))などを書くことで届出を兼ね、翌月10日までに出します。
建設分野では、ハローワークへの届出のほかに、国土交通省の受入計画(受入報告・変更申請)と入管への届出が並行して動きます。
| 手続き | 出し先 | 記事 |
|---|---|---|
| 外国人雇用状況の届出 | ハローワーク | この記事 |
| 建設特定技能受入計画の認定・受入報告 | 国土交通省 | 建設業で特定技能の外国人を受け入れるには? |
| 特定技能所属機関の届出 | 出入国在留管理庁 | 特定技能の届出とは? |
電子申請の注意点
雇用保険に入る人はe-Govから、入らない人は「外国人雇用状況届出システム」からインターネットで届け出られます。
注意したいのは、過去に一度でも紙で外国人雇用状況の届出をしたことがある事業主です。この場合、電子申請を使うには「外国人雇用状況届出電子届出切替・変更申請書」を出す必要があります。初めて電子申請を使うときは、管轄のハローワークで手順を確認しておくと確実です。
また、事業主は「事業所別外国人雇用状況届出一覧(写)交付請求書」を出すことで、過去に届け出て現在在職中として登録されている外国人の一覧を受け取れます。届出漏れがないか確かめるのに使えます。
よくある質問
Q. 週に数時間だけの留学生アルバイトも届出が要りますか
要ります。厚生労働省は全ての事業主に届出を求めており、労働時間の長短で対象から外れることはありません。雇用保険に入らないなら様式第3号で、翌月末日までに出します。
Q. 在留カードのコピーを付ける必要はありますか
ありません。在留カードやパスポートの提示を受けて届出事項を確認し、届出書に書き写します。
Q. 特別永住者の従業員も届出が要りますか
要りません。特別永住者と、在留資格「外交」「公用」の人は届出の対象外です。
Q. 雇い入れてすぐ辞めた場合はどうしますか
雇用保険に入らない人なら、期限内であれば雇入れ年月日と離職年月日を同じ様式第3号に書いて出せます。雇用保険に入る人は、資格取得届と資格喪失届をそれぞれの期限で出します。
Q. 届出をしないとどうなりますか
届出を怠ったり、虚偽の届出をしたりすると、30万円以下の罰金の対象になります。
人材の定着に使える助成金
外国人の従業員を正社員にする場合や、賃上げと設備投資を組み合わせる場合は、助成金が使えることがあります。キャリアアップ助成金とは?正社員化コースは外国人雇用にも使えるか と 最低賃金が上がる前に使える支援策は3つ を確認してください。
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まとめ
- 外国人の雇入れ・離職のときは、全ての事業主がハローワークに届け出る(特別永住者・外交・公用は対象外)
- 雇用保険に入る人=資格取得届・喪失届で兼ねる。雇入れは翌月10日、離職は翌日から10日以内
- 雇用保険に入らない人(留学生アルバイトなど)=様式第3号で、雇入れ・離職とも翌月末日まで
- 届出事項は在留カードで確認(コピーの提出は不要)。特定技能は分野、特定活動は活動類型まで書く
- 紙で出したことのある事業主が電子申請を使うには切替申請が要る。違反は30万円以下の罰金
この記事は制度の内容を整理したものです。個別の事情での届出方法は、管轄のハローワークで確認してください。
免責事項
この記事は、行政書士試験の受験生(行政書士登録はしていません)が、公的機関の公開資料をもとに制度の内容を整理したものです。個別の案件についての相談・書類作成の代行はお受けしていません。最新の情報は各行政機関の案内で確認してください。
参考資料(一次資料)
- 厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」(2026年10月18日閲覧)
- 厚生労働省ほか「外国人雇用はルールを守って適正に」(PDF)(2026年10月18日閲覧)
- 厚生労働省「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」(PDF・R080614)(2026年10月18日閲覧)


