建設現場の安全設備に使える補助金は?高度安全機械等導入支援補助金とエイジフレンドリー補助金の違いと締切を解説

建設現場の安全設備に使える補助金は2つ。重機の安全装置は1台上限100万円、エイジフレンドリーは11月20日まで 補助金・助成金

建設現場の労働災害を減らすための設備投資には、使える補助金があります。代表的なのが、建設業労働災害防止協会(建災防)の高度安全機械等導入支援補助金と、厚生労働省のエイジフレンドリー補助金です。

2つは対象者も対象設備もまったく違います。前者は建設業許可を持つ中小企業が重機に安全装置を付けるためのもの、後者は60歳以上の従業員がいる中小企業が高年齢の労働者の安全対策をするためのものです。

2026年10月時点で、どちらも締切が近づいています。建災防の補助金は受付期間内でも予算の残りが少なく、エイジフレンドリー補助金は2026年11月20日までです。この記事では、それぞれの公式資料をもとに、対象・補助額・申請の流れを比べます。

2つの補助金の違い

項目高度安全機械等導入支援補助金エイジフレンドリー補助金
実施建設業労働災害防止協会(建災防)厚生労働省(事務局:日本労働安全衛生コンサルタント会)
対象者中小企業で、申請時に有効な建設業許可を持つ者1年以上事業を行い、60歳以上の労働者(役員除く)が常時1名以上いる中小企業
対象重機(積載形トラッククレーン、油圧ショベル、ホイールローダー、締固め用機械)の安全装置高年齢労働者の転倒・墜落防止、熱中症対策などの設備・装置、専門家の指導
補助率見積金額の1/2コースにより1/2〜4/5
上限安全装置1台あたり100万円(監視モニターは50万円)、1申請者あたり年度内500万円100万円(コラボヘルスコースは30万円)
受付Web仮申請 2026年5月15日〜2027年1月28日(予算に達し次第終了)2026年5月20日〜11月20日(10月31日から延長)

建設業許可を持っていない事業者は、建災防の補助金は使えません。一方、エイジフレンドリー補助金は業種を問わないので、建設業許可のない解体業者などでも、60歳以上の従業員がいるなど条件を満たせば対象になります。

高度安全機械等導入支援補助金(建災防)

車両系建設機械などに付ける、高度な安全性能を持つ特定の安全装置を購入する中小企業に、費用の一部を補助する制度です。

建設業労働災害防止協会「令和8年度 高度安全機械等導入支援補助金」パンフレット。申請期間:令和8年5月15日(金)〜令和9年1月28日(木)まで(予算を上回る申請があった場合は期間の途中でも公募を中止することがある)。対象者:(1)中小企業である者、(2)申請時において建設業許可を有して期限内であること。補助対象機械及び補助額概要:積載形トラッククレーン(過負荷防止装置、補助対象経費の1/2、1台当たりの上限1,000,000円)、油圧ショベル・ホイールローダー・締固め用機械(近接センサー上限1,000,000円、監視モニター上限500,000円)、同一申請者当たりの年度内申請上限5,000,000円。左面に申請書類の注意事項と、補助金が支出されない留意事項(Web仮申請後7日以内に書類を提出しなかった、建設業許可なしで登録した、交付決定前に売買契約を締結した等)。出典:建設業労働災害防止協会 PDF https://www.kensaibou.or.jp/support/subsidy/files/08_pamphlet.pdf 掲載ページ https://www.kensaibou.or.jp/support/subsidy/ 2026年10月18日閲覧

出典:建設業労働災害防止協会「令和8年度 高度安全機械等導入支援補助金」パンフレット(PDF:https://www.kensaibou.or.jp/support/subsidy/files/08_pamphlet.pdf/掲載ページ:https://www.kensaibou.or.jp/support/subsidy/)2026年10月18日閲覧

対象になる機械と補助額

補助の対象は、建災防の「補助対象機械一覧」に載っている型番だけです(令和8年度は717台)。一覧にない機械は申請できません。

機械安全装置1台あたりの上限
積載形トラッククレーン過負荷防止装置(基準を上回る追加安全措置)100万円
油圧ショベル・ホイールローダー・締固め用機械自動減速・停止機能を伴うもの(近接センサー)100万円
同上監視・警告機能を伴うもの(複数カメラの監視モニター)50万円

補助額は安全装置の見積金額の1/2です。たとえば安全装置が80万円なら40万円、250万円なら1/2の125万円が上限の100万円を超えるため100万円です。同じ申請者からの申請は年度内500万円までです。

対象になる事業者

建災防のページでは、「建設業許可を有する」次の企業が対象とされています。

業種資本金・出資の総額常時使用する従業員数
建設業・その他の業種3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下

いずれかを満たせば中小企業に当たります。パンフレットの「補助金が支出されない例」には、解体工事業の登録だけで建設業許可がないまま登録したケースが挙げられています。

申請の流れと、交付決定前に買わないこと

順番やること期限
1対象機械一覧で型番を確認し、見積書(建設機械の型番と安全装置の名称を明記)を取る—
2建災防のホームページからWeb仮申請2027年1月28日まで
3申請書類を提出Web仮申請から7日以内
4交付決定通知書を受け取る(書類提出から1か月〜1か月半後)—
5交付決定の後に機械を購入し、納品・所有権の移転—
6支給請求書類を提出2027年2月18日必着

交付決定通知書を受け取る前に購入した機械や、契約した機械は対象外です。割賦で買う場合は、2027年2月18日までに完済して所有権の移転を証明する必要があります。申請には、地方労働局長が発行する労働保険料の納付証明書も要ります。

残高が少なくなっている

建災防のページには補助金の残高が公表されていて、2026年9月末時点で約1,020万円(5月の開始時は約1億8,500万円)でした。「申請額が現在の補助金残高に到達した時点で、即時受付終了」とされています。受付期間は2027年1月28日までですが、それより前に終わる可能性が高いので、検討しているなら早めに残高を確認してください。

エイジフレンドリー補助金(厚生労働省)

高年齢の労働者が安全に働けるように、設備改善や専門家による指導の費用の一部を補助する制度です。交付申請時に出した計画が審査され、交付決定された対策を実施します。全ての申請者に交付されるわけではありません。

厚生労働省「令和8年度エイジフレンドリー補助金のご案内」(令和8年度改訂版)1ページ。補助金申請受付期間 令和8年5月20日(水)〜11月20日(金)、10月31日(土)から申請受付期間を延長。初めて申請する場合は専門家総合対策コースの第2段階から申請可能。予算額に達した場合は受付期間の途中でも終了することがある。対象:1年以上事業を実施していること、役員を除き自社の労災保険適用の高年齢労働者(60歳以上)が常時1名以上就労していること。Ⅰ 専門家総合対策コース(第1段階 リスクアセスメント 補助率4/5、第2段階 設備・装置の導入等 補助率1/2、上限100万円)、Ⅱ 熱中症対策コース(補助率1/2 上限100万円)、Ⅲ コラボヘルスコース(補助率3/4 上限30万円)。出典:厚生労働省 PDF https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001715767.pdf 掲載ページ https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09940.html 2026年10月18日閲覧

出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署・日本労働安全衛生コンサルタント会「令和8年度エイジフレンドリー補助金のご案内」(令和8年度改訂版)1ページ(PDF:https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001715767.pdf/掲載ページ:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09940.html)2026年10月18日閲覧

コースと補助額

コース補助対象補助率上限(税抜)
Ⅰ 専門家総合対策 第1段階外部の専門家による高年齢労働者向けのリスクアセスメント4/5100万円(第2段階との合計)
Ⅰ 専門家総合対策 第2段階リスクアセスメントの結果を踏まえた設備・装置の導入(転倒・墜落防止など)、転倒・腰痛予防の運動指導1/2100万円(第1段階との合計)
Ⅱ 熱中症対策体を冷やす機能のある服、スポットクーラー、深部体温を推定できるウェアラブル機器による健康管理システムなど1/2100万円
Ⅲ コラボヘルス健康診断結果の保険者への提供など、健康保持増進の取組3/430万円

第1段階の申請期間は2026年9月30日で終わっています。初めて申請する場合は、第2段階から申請できます(自社の安全衛生担当者がリスクアセスメントをして、その結果をもとに申請する形)。

建設業で使いやすいのは、熱中症対策コース(屋外作業の空調服・スポットクーラーなど)と、第2段階の転倒・墜落防止の設備です。熱中症対策の「屋外作業等」には、屋外のほか、温湿度を調整しても室温31℃またはWBGT 28℃を超える屋内作業場が含まれます。

申請の期限と出し方

項目内容
交付申請2026年11月20日(当日消印有効)
支払請求2027年1月31日(当日消印有効)
申請先エイジフレンドリー補助金事務センター(日本労働安全衛生コンサルタント会)
申請方法郵送またはJグランツ(メールでは申請できない)

こちらも交付決定より前に発注・購入した経費は対象外です。予算額に達すれば、11月20日より前でも受付が終わることがあります。

どちらを使うか

こんなとき合う補助金
建設業許可があり、油圧ショベルに近接センサーやカメラを付けたい高度安全機械等導入支援補助金
60歳以上の作業員の熱中症対策(空調服・スポットクーラー)をしたいエイジフレンドリー補助金(熱中症対策コース)
資材置き場の段差解消や手すりなど、転倒・墜落を防ぐ設備を入れたいエイジフレンドリー補助金(第2段階)
建設業許可がないエイジフレンドリー補助金のみ検討できる

同じ設備の同じ費用に、2つの補助金を重ねて使うことは想定されていません。設備ごとに、どちらの対象になるかを見極めてから申請してください。

よくある質問

Q. 解体工事業の登録しかありません。建災防の補助金は使えますか

使えません。建災防は「申請時において建設業許可を有して期限内であること」を条件にしており、パンフレットでも解体工事業登録のみで建設業許可がない場合は補助金が支出されない例として挙げています。

Q. すでに買った安全装置も対象になりますか

なりません。どちらの補助金も、交付決定を受けた後に購入・発注したものだけが対象です。

Q. 新品の重機を買う場合だけが対象ですか

建災防の補助金は、補助対象機械一覧に載っている型番の安全装置が対象です。新車か既存の機械への取り付けかを含め、型番ごとに一覧で確認してください。

Q. 60歳以上の従業員が1人だけでもエイジフレンドリー補助金は使えますか

役員を除き、労災保険が適用される60歳以上の労働者が常時1名以上いれば対象になり得ます。ほかに1年以上事業を行っていることなどが条件です。

Q. 申請の手続きを社会保険労務士などに代行してもらえますか

エイジフレンドリー補助金のQ&Aでは、申請書の提出代行はできないとされています。申請前にQ&Aを確認してください。

建設業許可とあわせて確認したい記事

建災防の補助金は建設業許可が前提です。許可の要件や、許可を持つと関わる手続きは次の記事で整理しています。

この記事で扱った補助金

ほかの補助金・助成金の締切は 中小企業の補助金・助成金一覧 にまとめています。

まとめ

  • 高度安全機械等導入支援補助金:建設業許可を持つ中小企業向け。重機の安全装置の見積額の1/2、1台上限100万円(監視モニター50万円)、年度内500万円まで。Web仮申請は2027年1月28日まで。ただし9月末の残高は約1,020万円
  • エイジフレンドリー補助金:60歳以上の労働者が常時1名以上いる中小企業向け。補助率1/2〜4/5、上限100万円。2026年11月20日まで(延長後)
  • どちらも交付決定の後に購入する。先に買ったものは対象外

この記事は補助金の内容を整理したものです。最新の受付状況・残高は、建災防とエイジフレンドリー補助金事務センターの案内で確認してください。

免責事項

この記事は、行政書士試験の受験生(行政書士登録はしていません)が、公的機関の公開資料をもとに制度の内容を整理したものです。個別の案件についての相談・書類作成の代行はお受けしていません。最新の情報は各行政機関の案内で確認してください。

参考資料(一次資料)


タイトルとURLをコピーしました