「ごみの回収の仕事を始めたい」「解体現場の廃材を自社で運びたい」──廃棄物を他人から預かって運ぶには、廃棄物処理法の許可が要ります。
ただし、許可は1種類ではありません。ごみの種類(一般廃棄物か産業廃棄物か)と、運ぶ範囲によって、申請先が大阪市になったり大阪府になったりします。
この記事では、大阪で収集運搬の許可を取るときの申請先の分かれ目と、飲食店などの事業者がごみを出すときに気をつけることを整理します。
建設現場の廃材を下請が運ぶケースは、現場の廃材を下請が運ぶと無許可になる? で詳しく書いています。
まず、ごみの種類で許可が分かれる
| 一般廃棄物 | 産業廃棄物 | |
|---|---|---|
| 何か | 産業廃棄物以外の廃棄物(家庭ごみ、事業所から出る生ごみ・紙くず等の一部) | 事業活動に伴って出る廃棄物のうち、法令で定めた20種類 |
| 収集運搬業の許可 | 市町村長(廃棄物処理法 第7条第1項) | 都道府県知事、または政令市の長(同法 第14条第1項) |
| 大阪で言うと | 大阪市内なら大阪市長 | 大阪府知事か大阪市長など(次の章) |
同じ「紙くず」「木くず」でも、どちらになるかは出す業種で変わります。大阪市の案内では、建設業の工事(建築・改築・解体)で出る紙くず・木くず・繊維くずは産業廃棄物、事務所や店から出るものは事業系一般廃棄物とされています。
一般廃棄物の収集運搬:申請先は大阪市
大阪市内で一般廃棄物を収集運搬する仕事をするには、大阪市長の許可が必要です。担当は大阪市 環境局 事業部 一般廃棄物指導課です。申請手数料は1件につき10,000円です(大阪市廃棄物条例 第32条)。
ただし、一般廃棄物の許可は、申請すれば誰でも取れるものではありません。廃棄物処理法は、市町村長が許可できる条件をいくつか定めています(第7条第5項)。施設や申請者の能力、欠格要件のほかに、次の2つがあります。
| 許可の基準(第7条第5項) | 意味 |
|---|---|
| 第1号 市町村による収集・運搬が困難であること | 市の収集や既存の許可業者で足りていれば、許可されない |
| 第2号 申請内容が一般廃棄物処理計画に適合すること | 市の処理計画に合わない申請は許可されない |
一般廃棄物の処理は市町村の責任とされているため、市の計画が許可の前提になります。新しく始めたい場合は、申請書を作る前に一般廃棄物指導課へ相談して、受け付けているかを確認するのが先です。
産業廃棄物の収集運搬:大阪市内だけなら大阪市、市外へ出るなら大阪府
産業廃棄物の収集運搬業(積替え・保管を含まない)は、運ぶ範囲が一つの政令市の区域を越えるかどうかで申請先が決まります。大阪府の手引には、次の表があります。

| 運ぶ範囲(積み降ろしの場所) | 大阪府の許可 | 大阪市(政令市)の許可 |
|---|---|---|
| 大阪市内だけで完結する | 不要 | 必要 |
| 大阪市の外にまたがる | 必要 | 取得不可(不要) |
ここでいう政令市には、大阪市・堺市・東大阪市・高槻市・豊中市・枚方市・八尾市・寝屋川市・吹田市が含まれます(手引の注記)。必要なのは積み降ろしをする自治体の許可で、通過するだけの自治体の許可は要りません。
たとえば、大阪市内の現場から大阪市内の処分場へ運ぶだけなら大阪市長の許可、大阪市内の現場から堺市や府外の処分場へ運ぶなら大阪府知事の許可(府外は、その府県の許可も)になります。「大阪府の許可があれば大阪市内も運べる」のは、運ぶ範囲が市外にまたがる場合です。
積替え・保管を含む収集運搬業の場合は、積替保管場所がある政令市の許可も別に必要です。
産業廃棄物の許可を取るときの要点
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請手数料(新規) | 81,000円(大阪府・政令市とも。更新73,000円、変更71,000円) |
| 納付方法 | 大阪府は手数料納付窓口(現金・キャッシュレス)、大阪市は後日振込 |
| 講習会 | 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)の講習会(新規・収集運搬課程)の修了が必要 |
| 許可の有効期間 | 5年(優良認定を受けると7年) |
| 提出部数 | 正本1部・副本1部 |
講習会の日程や修了証については 許可申請に関する講習会(収集・運搬課程)修了証 にまとめています。講習は予約が埋まりやすいので、許可を取ると決めたら最初に申し込みます。
店や事務所がごみを出すとき:飲食店は2種類に分かれる
収集運搬の許可を取る側だけでなく、ごみを出す事業者側にもルールがあります。飲食店の開業準備でつまずきやすいところです。
大阪市の案内では、事業者は事業活動に伴って出た廃棄物を自らの責任で適正に処理すること(廃棄物処理法 第3条第1項)、ここでいう事業者には飲食店も含まれることが書かれています。
飲食店から出るごみは、次のように分かれます。
| ごみ | 区分 | 委託できる相手 |
|---|---|---|
| 厨芥ごみ・残飯・茶葉・魚のあらなど | 事業系一般廃棄物 | 大阪市の一般廃棄物収集運搬業許可業者 |
| リサイクルに向かない紙くず | 事業系一般廃棄物 | 同上 |
| 弁当容器などの廃プラスチック、空き缶などの金属くず | 産業廃棄物 | その品目を扱える産業廃棄物処理業者 |
| 古紙・金属くず・空きびん・古繊維 | (再生利用) | 専ら再生利用の目的となる廃棄物を扱う再生資源事業者にも委託できる |
大阪市の案内には、従業員が昼食で出す弁当容器や空き缶も「事業活動に伴って」出た廃棄物になる、という例まで書かれています。家庭ごみの集積所に出すことはできません。
つまり飲食店は、生ごみは一般廃棄物の許可業者、プラスチックや缶は産業廃棄物の許可業者と、2種類の業者と契約するのが基本になります。1社が両方の許可を持っていることもあるので、見積もりの際にどちらの許可を持っているかを確認してください。
また大阪市では、資源化できる紙類は焼却工場で受け入れていません(2013年10月から)。段ボールや新聞は、許可業者か再生資源事業者に回収を頼みます。
一定の要件を満たせば、大阪市内の事業者が自分で焼却工場にごみを持ち込むこともできます(有料)。
飲食店の開業手続き全体は 大阪市で飲食店を開業するには? にまとめています。
よくある質問
Q. 産業廃棄物の許可を持っていれば、一般廃棄物も運べますか
運べません。一般廃棄物は市町村長の許可、産業廃棄物は都道府県知事(政令市長)の許可で、別の許可です。飲食店の生ごみを運ぶには一般廃棄物の許可が必要です。
Q. 自分の会社のごみを自分で運ぶのにも許可は要りますか
自社の廃棄物を自ら運ぶ場合は、収集運搬業の許可は要りません。許可が要るのは他人の廃棄物を運ぶ場合です。ただし建設工事では、下請が運ぶと「元請の廃棄物=他人の廃棄物」になるため注意が必要です(下請が運ぶと無許可になる?)。
Q. 大阪府の許可で、京都や兵庫の現場も運べますか
運べません。積み降ろしをする府県(政令市)ごとに許可が要ります。
Q. 大阪市の一般廃棄物の許可は、申請すれば取れますか
廃棄物処理法上、市の収集で足りていない(収集が困難である)ことと、市の一般廃棄物処理計画に合うことが許可の条件です。まず大阪市環境局 一般廃棄物指導課に相談してください。
Q. 無許可の業者にごみの処理を頼んだらどうなりますか
許可の無い業者に委託すると、委託した事業者側も委託基準違反になります。契約の前に許可証の写しで、許可の種類・品目・有効期限を確認してください。
この記事で扱った手続き
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まとめ
- 一般廃棄物の収集運搬は市町村長(大阪市内なら大阪市長)、産業廃棄物は都道府県知事または政令市長の許可
- 産業廃棄物は、運ぶ範囲が大阪市内で完結すれば大阪市長、市外にまたがれば大阪府知事。通過するだけの自治体の許可は不要
- 産廃の新規手数料は81,000円、JWセンターの講習会修了が必要、許可は5年
- 一般廃棄物の許可は、市の収集で足りていないこと・処理計画に合うことが条件。まず市に相談
- 飲食店は、生ごみ=一般廃棄物、廃プラ・空き缶=産業廃棄物。業者の許可の種類を確認して契約する
この記事は制度の内容を整理したものです。個別の廃棄物の区分や許可の要否は、大阪府・大阪市の担当窓口で確認してください。
参考資料(一次資料)
- e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(2026年10月11日閲覧)
- 大阪府「(特別管理)産業廃棄物収集運搬業(積替え又は保管を含まない)許可申請の手引」(PDF)(2026年10月11日閲覧)
- 大阪市「事業系ごみの分け方・出し方」(2026年10月11日閲覧)
- 大阪市「大阪市廃棄物の減量推進及び適正処理並びに生活環境の清潔保持に関する条例」(2026年10月11日閲覧)
- 大阪市「事業部一般廃棄物指導課の要綱・要領等」(2026年10月11日閲覧)


