カフェやバーでBGMを流すには?著作権の手続きが要る場合・要らない場合とJASRACの申込み

店舗面積500平方メートルまでのBGM使用料は年額6,000円(税別)。手続きが要らない3つの場合 飲食店

カフェやバーを開くとき、内装や食器と同じくらい雰囲気を左右するのが店内のBGMです。

ただ、店で音楽を流すことには、著作権の手続きが関わります。「自分で買ったCDだから」「月額で配信サービスを払っているから」では済まないことがあります。

一方で、手続きがまったく要らない流し方もあります。この記事では、飲食店でBGMを流すときに手続きが要る場合・要らない場合と、JASRACへの申込みの流れを整理します。2026年9月時点の情報です。

なぜ店のBGMに著作権の手続きが要るのか

著作権法は、作詞家・作曲家などの権利者に、著作物を公衆に直接聞かせることを目的として演奏する権利(演奏権)を認めています(著作権法 第22条)。そして、ここでいう「演奏」には、CDなどの録音物を再生することも含まれます。

お店は不特定多数のお客さんが出入りする場所です。そこでBGMとして曲を流すことは、公衆に聞かせるための演奏にあたります。そのため、原則として権利者の許諾が必要になります。

多くの楽曲の演奏権は、一般社団法人 日本音楽著作権協会(JASRAC)が管理しています。JASRACの管理楽曲をBGMとして流すなら、JASRACとの利用許諾契約を結び、使用料を払うのが基本の形です。

位置づけは BGM音楽著作権利用許諾契約(JASRAC等) にもまとめています。

JASRACのBGM使用料:500㎡までなら年額6,000円

「著作権の手続き」と聞くと高額に思えますが、実際の金額を見ておきましょう。JASRACの案内「各種施設でのBGM」です。

JASRAC「各種施設でのBGM」1ページ目。店舗面積500平方メートルまでの年額使用料は6,000円(別途消費税)。出典:JASRAC PDF https://www.jasrac.or.jp/users/facilities/pdf/facility12.pdf 掲載ページ https://www.jasrac.or.jp/users/facilities/ 2026年9月27日閲覧
出典:一般社団法人 日本音楽著作権協会(JASRAC)「各種施設でのBGM」1ページ(PDF/掲載ページ「各種営業施設・教室等での演奏・上映」)2026年9月27日閲覧

CDなどの録音物や有線放送等でJASRAC管理楽曲をBGMとして使う場合の年額使用料(別途消費税相当額を加算)は、店舗面積に応じて次のとおりです。

区分店舗面積年額使用料(税別)
1500㎡まで6,000円
21,000㎡まで10,000円
33,000㎡まで20,000円
46,000㎡まで30,000円
59,000㎡まで40,000円
69,000㎡を超える場合50,000円

一般的なカフェやバーは、ほとんどが区分1(500㎡まで)に入ります。年額6,000円(税別)、つまり月500円程度です。このほか、1か月単位(500㎡まで月額1,200円)や1曲1回単位の使用料も定められています。

契約すると、契約店であることを示すステッカーが交付されます。

個人向けの配信サービスを流すのは別の問題

よくあるのが、スマートフォンの個人向け音楽配信サービスをそのまま店のスピーカーで流すケースです。

ここには2つの問題が重なります。

  • 著作権の問題:JASRAC管理楽曲を店で流すなら、上の使用料の手続きが要る
  • サービスの利用規約の問題:個人向けの配信サービスは、利用規約で私的な利用に限っているものが多い

JASRACと契約して使用料を払っても、配信サービスの規約で店舗での利用が認められていなければ、規約違反の状態は残ります。店で使うなら、店舗での利用を認めた業務用のBGMサービスを選ぶか、CDなど適法に使える音源を用意するのが確実です。利用するサービスの規約は、必ずご自身で確認してください。

また、市販のCDや配信で入手した音源を、CD-Rや携帯音楽プレーヤーなど別の媒体にコピーして流す場合は、演奏とは別に複製の手続きも必要になるとJASRACは案内しています。

手続きが要らない3つの場合

JASRACの同じ案内には、手続きが不要なBGMの利用方法もはっきり書かれています。

JASRAC「各種施設でのBGM」3ページ目。テレビやラジオの放送をそのまま流す場合や、有線音楽放送など音源提供事業者から提供を受けている場合は手続き不要。出典:JASRAC PDF https://www.jasrac.or.jp/users/facilities/pdf/facility12.pdf 掲載ページ https://www.jasrac.or.jp/users/facilities/ 2026年9月27日閲覧
出典:JASRAC「各種施設でのBGM」3ページ「JASRACへの許諾手続きが不要なBGMの利用方法」(PDF/掲載ページ)2026年9月27日閲覧

飲食店に関係するものを整理すると、次の3つです。

#手続きが要らない場合注意点
1テレビやラジオの放送をそのまま流す(著作権法 第38条第3項)インターネットラジオ、放送を録音して流す、家庭用受信装置以外を使う場合は、原則として手続きが必要
2有線音楽放送など、BGMの音源提供事業者から音源の提供を受けているJASRACと契約した事業者が、店に代わって使用料を払っている。有線とCDを両方流す場合も、店が個別に手続きする必要はない
3カラオケや生演奏などで、すでにJASRACと契約しているBGMの契約だけでは、BGM以外の音楽利用(生演奏など)はできない

このほか、著作権が消滅した楽曲やJASRACが演奏利用を管理していない楽曲だけを流す場合も、JASRACへの手続きは不要です(管理していない楽曲は、その権利者に確認が必要です)。

業務用のBGMサービスを契約すれば、それだけで店側の手続きが済むことが多い、というのは覚えておいてよい点です。

JASRACへの申込み:BGMだけならオンライン

BGMだけを利用する場合は、JASRACのサイトからオンラインで申請できます。カラオケや生演奏など、BGM以外の利用もある場合は書類での手続きになります。

申込みで押さえておく点は次のとおりです。

項目内容
契約名義人店の経営者(店長やスタッフではない)
使用料の単位原則として一演奏場所(1店舗)ごと
複数店舗チェーン店などは、担当支部に相談すると一括で契約できる
申込みの時期BGMの利用を始める前

利用方法を変える場合(BGM契約の店で生演奏を始めるなど)は、JASRACの担当支部に連絡します。

バー・スナックでカラオケや生演奏をするなら

BGMとは別に、カラオケや生演奏をする店は、それぞれの利用方法に応じた手続きがJASRACで定められています。すでにカラオケや生演奏で契約していれば、BGMの手続きは不要です(上の表の3)。

深夜0時以降にお酒を出す店や、お客さんを接待する店は、音楽とは別に警察の手続きが必要です。深夜0時以降にお酒を出す店が、契約前に確認すべき3つ と スナックやラウンジを開くには?風俗営業1号許可と深夜酒類届出の違い にまとめています。

開業準備のどこで決めるか

BGMは開店直前に決めがちですが、音響設備やサービス契約とセットで考えると無駄がありません。

時期やること
内装の設計段階スピーカーの配置・配線を決める(業務用BGMサービスを使うなら受信機器の置き場所も)
開業1か月前流し方を決める(業務用BGMサービス/CD等+JASRAC契約/テレビ・ラジオ)
開業前必要ならJASRACにオンライン申請
開業後生演奏やカラオケを始めるなら、利用方法の変更を連絡

営業許可など開業全体の流れは 大阪市で飲食店を開業するには?必要な手続きの流れ・費用・期間を解説 にまとめています。

よくある質問

Q. 小さなカフェでも手続きは必要ですか

店の大きさで手続きの要否は変わりません。JASRAC管理楽曲をCDや配信音源で流すなら、原則として手続きが必要です。ただし、店舗面積500㎡までなら年額6,000円(税別)と、使用料は最も低い区分になります。

Q. 従業員しかいないバックヤードで流すのは

JASRACの使用料規定では、事務所・工場などで主として従業員のみを対象とした利用は、当分の間使用料免除とされています。お客さんに聞こえる客席で流すのとは扱いが違います。

Q. 店でテレビをつけっぱなしにしています

テレビやラジオの放送を家庭用の受信装置でそのまま流すだけなら、JASRACへの手続きは不要とされています。ただし、放送を録画・録音して流す場合や、家庭用以外の大型の受信装置を使う場合などは、原則として手続きが必要です。

Q. 有線放送を契約していますが、CDも流したいです

JASRACと契約している音源提供事業者から音源の提供を受けているなら、有線とCDの両方をBGMとして流しても、店が個別に手続きする必要はないと案内されています。契約している事業者がJASRACと契約しているかは、JASRACの一覧で確認できます。

Q. 手続きをせずにBGMを流していました

気づいた時点で、JASRACに申し込んでください。利用開始時期などによって扱いが変わることがあるため、状況をそのまま伝えて相談するのが確実です。

この記事で扱った手続き

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まとめ

  • 店でBGMを流すことは、著作権法上の演奏にあたり、原則として権利者の許諾が必要(第22条)
  • JASRACのBGM使用料は、店舗面積500㎡までなら年額6,000円(税別)
  • テレビ・ラジオをそのまま流す/有線放送など音源提供事業者と契約している/カラオケ等ですでにJASRACと契約している場合は、JASRACへの手続き不要
  • 個人向け配信サービスは、利用規約で私的利用に限っていることが多い。店では業務用サービスを選ぶ
  • BGMだけならJASRACにオンライン申請。契約名義人は店の経営者

この記事は制度の内容を整理したものです。個別の利用方法が手続きの対象になるか、使用料がいくらになるかは、JASRACにご確認ください。

参考資料(一次資料)


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