深夜0時を過ぎてお酒を出す店の届出については、深夜0時以降にお酒を出す店が、契約前に確認すべき3つ にまとめました。そこで必ず次に出てくるのが、この疑問です。
「うちの店は、接待をしていることになるのか」
スナック、ラウンジ、ガールズバー、コンセプトカフェ。この線引きを間違えると、届出は出しているのに無許可営業という状態になります。そして実務で摘発が多いのは、まさにこのパターンです。
この記事では、大阪で店を開く前提で、3つの営業形態の分かれ方と、風俗営業1号許可の手続きを整理します。2026年9月時点の情報です。
分かれ道は3つある
まず、自分の店がどれに当たるのかを確定させます。判断材料は3つです。
| 質問 | Yes なら |
|---|---|
| 客に「接待」をするか | 風俗営業1号許可(接待飲食等営業) |
| 接待はしないが、深夜0時以降に酒を主として出すか | 深夜酒類提供飲食店営業開始届出 |
| 深夜0時以降に酒を出し、かつ客に「遊興」をさせるか | 特定遊興飲食店営業許可 |
3つは重なりません。接待をする時点で、深夜酒類の届出では足りません。
そして大事なのは、この3つはいずれも、保健所の飲食店営業許可とは別だということです。飲食店営業許可は食品衛生法、こちらは風営法。どちらも必要です。
| 根拠法 | 窓口 | 種別 | |
|---|---|---|---|
| 飲食店営業許可 | 食品衛生法 | 保健所(大阪市は各生活衛生監視事務所) | 許可 |
| 風俗営業1号 | 風営法 | 警察署(生活安全課)経由・大阪府公安委員会 | 許可 |
| 深夜酒類提供飲食店 | 風営法 | 同上 | 届出 |
| 特定遊興飲食店 | 風営法 | 同上 | 許可 |
「接待」は、思っているより広い
風営法でいう接待とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことです(風営法第2条第3項)。警察庁の解釈運用基準では、具体的な行為が示されています。
おおよそ、次のようなものが接待に当たると整理されています。
- 特定少数の客のそばに座って、継続的に談笑する
- お酌をする、水割りを作る
- 客と一緒にカラオケを歌う、客の歌に手拍子や拍手をする
- 客のダンスの相手をする
- ゲームやショーなどで客の遊戯の相手をする
「お酌はしていません」では足りません
接待の判断は、お酌という行為の有無だけで決まりません。
特定の客の隣に長く座って話し相手をしていれば、それだけで接待と評価され得ます。
逆に、注文を取る・料理を運ぶ・グラスを下げるといった通常の接客は接待ではありません。
カウンター越しに全員へ等しく話しかけるバーと、特定の客の横に座って盛り上げる店は、法律上まったく別の営業です。
手続きの位置づけは 風俗営業許可(第1号営業:接待飲食等営業) にまとめています。
届出だけで接待をすると、どうなるか
実務でもっとも多い事故がこれです。
深夜酒類提供飲食店営業の届出を出して営業を始めた。人手が足りないので、スタッフが客の席に座って話し相手をするようになった。カラオケで一緒に歌うようになった。
この時点で、無許可の風俗営業です。
届出を出していることは、免罪符になりません。届出が有効なのは「接待をしない営業」についてだけだからです。
無許可で風俗営業を営んだ場合の法定刑は、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはその併科です(風営法第49条第1号)。
立入りで見られるのは、書類ではなく店内です
警察の立入りでは、申請書の記載ではなく、そのとき現場で何が行われているかが見られます。
「うちは届出だから接待はしない」という方針は、現場の全スタッフに徹底されて初めて意味を持ちます。
風俗営業1号許可は、場所で決まる部分が大きい
1号許可でいちばん重要なのは、物件です。内装や運営方針は後から変えられますが、場所は変えられません。
見られるのは主に次の3点です。
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 用途地域 | 住居系の用途地域では営業できません。商業地域等に限られます |
| 保全対象施設からの距離 | 学校・図書館・病院・有床診療所・児童福祉施設(認可保育所・幼保連携型認定こども園を含む)の敷地から、おおむね100m以内は営業所を設けられません。その施設が商業地域にある場合は、おおむね50m以内(大阪府の施行条例第2条) |
| 営業所の構造・設備 | 客室の床面積、見通しを妨げる設備、照度、区画(1㎡を超える他から見通せない場所を作らない)など |
保全対象施設は、地図を見ただけでは分かりません。認可保育所や診療所は、看板が小さく、外観からは判別しにくいことがあります。物件を決める前に、現地と管轄の警察署で確認するのが唯一の安全策です。
契約してからでは遅い
距離制限に引っかかる物件は、どれだけ内装にお金をかけても許可が下りません。
居抜きで「前も同じような店だった」という物件でも、前の店の許可がそのまま使えるわけではありません。
居抜き契約の確認点は 居抜き物件の造作譲渡で失敗しないために にまとめています。
大阪での費用と期間
| 申請先 | 店舗所在地を管轄する警察署(生活安全課)経由、大阪府公安委員会 |
| 手数料 | 24,000円 |
| 標準処理期間 | 55日 |
| 有効期間 | 無期限(更新制度なし。相続・合併・分割・事業譲渡による地位承継の承認制度あり) |
| 様式 | 別記様式第1号その1・その2(A)(許可申請書)、別記様式第2号その1・その2(A)(営業の方法) |
55日という数字の意味は、「許可が下りるまで1日も営業できない」ということです。
深夜酒類の届出が「営業開始の10日前まで」で済むのとは、時間の重みがまったく違います。物件の家賃は、この55日間も発生します。資金計画には、許可が下りるまでの2か月分の固定費を必ず入れてください。
図面が最大の関門
申請書類の中で、作るのに時間がかかるのは図面です。
- 営業所の平面図(客室ごとの面積の求積を含む)
- 求積図(客室面積・営業所面積の計算根拠)
- 照明・音響設備の配置図
- 周辺の用途地域図・保全対象施設の位置図
求積は、内装業者が作った図面をそのまま出せるものではありません。風営法の考え方で客室を区切り、面積を計算し直す必要があります。ここで時間を取られて、55日のカウント開始が遅れるケースが非常に多いです。
深夜酒類の届出でも同じ求積図が要りますが、1号許可のほうが構造・設備の基準が細かい分、作業量は増えます。
開店後も続く義務がある
許可が下りたら終わりではありません。
- 営業所ごとに管理者を選任し、選任から14日以内に届け出る(風営法第24条)
- 18歳未満の者を客として立ち入らせない(保護者同伴でも時間制限があります)
- 18歳未満の者を接待業務に従事させない
- 営業時間の制限を守る(原則として午前0時まで。大阪府の条例で指定された地域では午前1時まで)
- 従業者名簿の備付け、変更事項の届出
年少者の確認を怠ったときの処分は重いです。年齢確認の運用は、開店前にルールとして決めておく必要があります。
深夜に「遊興」させるなら、また別の許可
接待はしない。けれど深夜0時以降に、DJ、ライブ演奏、ショー、ダンスなどで客に楽しんでもらう。この場合は 特定遊興飲食店営業許可 になります。
| 接待 | 深夜0時以降の酒 | 遊興 | |
|---|---|---|---|
| 風俗営業1号 | あり | 原則として不可(営業時間の制限) | — |
| 深夜酒類提供飲食店 | なし | あり | なし |
| 特定遊興飲食店 | なし | あり | あり |
特定遊興飲食店営業も、大阪では手数料24,000円・標準処理期間55日です。詳細は 特定遊興飲食店営業許可申請 にまとめています。
「深夜にライブをやるだけ」のつもりが、この許可に当たることがあります。営業形態を決める段階で確認してください。
よくある質問
Q. ガールズバーは、届出と許可のどちらですか
店名では決まりません。カウンター内で接客し、特定の客のそばに座らないのであれば深夜酒類の届出で足りる可能性があります。一方で、客席に座って話し相手をする運用であれば1号許可が必要です。実際の運営方法で判断されます。
Q. コンセプトカフェ(コンカフェ)はどうなりますか
これも運営方法次第です。撮影・チェキ・一緒にゲームをするといったサービスが遊戯の相手に当たれば接待と評価され得ます。深夜営業をしない昼間の営業であっても、接待があれば1号許可が必要です。接待の有無は、営業時間とは無関係に判断されます。
Q. 飲食店営業許可だけで始めて、後から風俗営業の許可を取れますか
風俗営業1号の許可申請では、飲食店営業許可を受けていることが前提になります。順番としては保健所が先です。保健所側の基準は 大阪市の飲食店営業許可、保健所の検査で落ちるのはどこか にまとめています。
Q. 深夜酒類の届出を出した店が、1号許可へ切り替えることはできますか
できますが、切り替えは新規の許可申請です。標準処理期間55日はそのままかかります。また、届出をしている営業を廃止する手続きも必要になります。後から切り替えるより、最初にどちらで行くかを決めたほうが費用も時間も少なくて済みます。
Q. 許可が下りる前に、内装工事を始めてよいですか
工事自体は可能ですが、図面どおりに作らないと許可が下りません。申請図面と現況が違えば、作り直しになります。内装業者と申請図面を必ず共有してください。また、店舗の内装解体・改修には別の法令(建設リサイクル法・アスベストの事前調査)がかかる場合があります。
この記事で扱った手続き
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まとめ
- 分かれ道は 「接待をするか」「深夜0時以降に酒を出すか」「遊興をさせるか」 の3つ
- 接待をするなら、届出では足りず1号許可。届出を出していても、接待をすれば無許可営業になる
- 接待はお酌だけではない。特定の客のそばで継続的に談笑する、一緒に歌う、遊戯の相手をするも接待
- 1号許可は場所で決まる部分が大きい。保全対象施設からおおむね100m以内(商業地域にある施設はおおむね50m以内)は営業所を設けられない
- 無許可営業の法定刑は2年以下の懲役または200万円以下の罰金
- 大阪は手数料24,000円・標準処理期間55日。その55日は1日も営業できない
- 開店後も管理者の選任・年少者の制限・営業時間の制限が続く
この記事は制度の内容を整理したものです。自分の店の営業形態がどれに当たるかは、店舗所在地を管轄する警察署の生活安全課にご確認ください。


