マンションの登記事項証明書を初めて取ると、一戸建ての証明書と並び方が違うことに驚きます。最初に「一棟の建物の表示」としてマンション全体の情報が出てきて、自分の部屋の情報はその下にあります。さらに「敷地権」という、一戸建てにはない欄があります。
この記事では、マンション(法律上は「区分建物」)の登記事項証明書で、どこに何が書いてあるかを、法務省が案内資料に載せている登記事項証明書のイメージと、不動産登記規則の決まりをもとに整理します。2026年10月25日時点の情報です。
表題部・甲区・乙区という基本の読み方は 登記事項証明書(登記簿謄本)の見本と読み方、取り方と手数料は 登記事項証明書(登記簿謄本)の取り方 で説明しています。
マンションの表題部は「一棟の建物」と「専有部分」の2段
一戸建ての建物なら、表題部は1つです。マンションの部屋は、表題部が2段になっています。不動産登記規則は、区分建物の表題部の欄を定めています(規則4条3項・別表三)。主な欄は次の4つです(このほかに、部屋の家屋番号の一覧を載せる「専有部分の家屋番号」欄や、附属建物の欄などがあります)。
| 段 | 欄 | 何が書いてあるか |
|---|---|---|
| 一棟の建物の表題部 | 一棟の建物の表示 | マンション全体の所在・建物の名称・構造・床面積、その建物に属する部屋の家屋番号の一覧 |
| 一棟の建物の表題部 | 敷地権の目的である土地の表示 | マンションの敷地になっている土地の所在・地番・地目・地積 |
| 区分建物(部屋)の表題部 | 専有部分の建物の表示 | 部屋の不動産番号・家屋番号・建物の名称・種類・構造・床面積 |
| 区分建物(部屋)の表題部 | 敷地権の表示 | 部屋についている敷地の権利の種類(所有権など)と割合 |
その下の権利部(甲区・乙区)は、部屋ごとです。甲区に所有権、乙区に抵当権などが記録される点は一戸建てと同じです(規則4条4項)。
次の画像は、法務省民事局の案内に載っている、区分建物の登記事項証明書のイメージです。上から「一棟の建物の表示」「敷地権の目的である土地の表示」「専有部分の建物の表示」の順に並んでいるのが分かります。

① 一棟の建物の表示:マンション全体の情報
いちばん上の「専有部分の家屋番号」欄には、そのマンションに属する部屋の家屋番号が全部並びます。イメージでは「3−1−101」「3−1−102」「3−1−201」「3−1−202」の4部屋です。
その下の「一棟の建物の表示」には、マンション全体の所在、建物の名称(イメージでは「ひばりが丘一号館」)、構造(鉄筋コンクリート造陸屋根2階建)、各階の床面積が書かれています。
ここに書かれている床面積は建物全体の床面積です。自分の部屋の広さではありません。部屋の床面積は、下の「専有部分の建物の表示」で見ます。
② 敷地権の目的である土地の表示:マンションが建っている土地
「敷地権の目的である土地の表示」には、マンションの敷地になっている土地が、土地の符号(1、2……)を付けて並びます。イメージでは、符号1の土地が「特別区南都町一丁目3番1」、地目は宅地、地積は350.76㎡です。
敷地が何筆にも分かれているマンションでは、ここに複数の土地が並びます。この符号は、後で見る「敷地権の表示」と対応しています。
③ 専有部分の建物の表示:自分の部屋の情報
ここからが自分の部屋の情報です。
| 欄 | 見るポイント |
|---|---|
| 不動産番号 | 部屋ごとに付く13桁の番号。登記の申請書や証明書の請求書に書くと、所在や家屋番号の記載を省略できる |
| 家屋番号 | 「南都町一丁目3番1の101」のような番号。「101号室」という部屋番号とは別のもの |
| 建物の名称 | 部屋の名称が登記されている場合に書かれる |
| 種類・構造 | 居宅・店舗などの種類と、部屋の構造 |
| 床面積 | 部屋の床面積。マンションの部屋は壁の内側の線で囲んだ面積(内法)で登記される |
床面積は、パンフレットや広告に載っている面積より小さいことがよくあります。不動産登記規則115条が、区分建物の床面積を「壁その他の区画の内側線」で囲んだ面積で定めるとしているためです。一戸建てなど区分建物でない建物は、壁の中心線(壁芯)で測ります。
④ 敷地権の表示:部屋についている土地の権利
部屋の表題部の下のほうに「敷地権の表示」があります。
| 欄 | 中身 |
|---|---|
| 土地の符号 | ②の「敷地権の目的である土地の表示」の符号と対応 |
| 敷地権の種類 | 所有権・賃借権など |
| 敷地権の割合 | その部屋が持つ敷地の割合(「◯◯分の◯◯」の形) |
| 原因及びその日付 | 敷地権が生じた原因と日付 |
ここで、マンションの土地を自分がどれだけ持っているかが分かります。敷地権の種類が「所有権」なら土地の共有持分を、「賃借権」や「地上権」なら土地を借りる権利を持っていることになります。
敷地権は、部屋と切り離して売れない
マンションの部屋を持つ人は、通常、敷地の所有権などを他の部屋の持ち主と共有しています。区分所有法22条は、この敷地の権利(敷地利用権)を、部屋と切り離して処分できないと定めています。ただし、規約で別の定めをしている場合は例外です。
部屋と切り離せない敷地利用権で、登記されたものが「敷地権」です(不動産登記法44条1項9号)。法務局はその仕組みを次のように説明しています。

要点は3つです。
- 部屋の所有権が売買などで移ると、敷地の共有持分も一緒に移る
- 敷地権がある場合、敷地の土地の登記記録に「敷地権である旨」の登記がされる(敷地権が所有権なら甲区、地上権・賃借権なら乙区)
- 各部屋の表題部の敷地権の欄に、敷地権の種類と割合が記録される
このため、敷地権が登記されているマンションでは、部屋を売ったり抵当権を付けたりするとき、土地の権利も部屋の登記記録の中で一緒に動きます。部屋の証明書を1通取れば、土地の権利まで確かめられるのはこのためです。
甲区・乙区は「部屋」の権利
権利部の甲区・乙区は、部屋(専有部分)ごとの記録です。
| 区 | 見ること |
|---|---|
| 甲区 | 部屋の所有者。いちばん下の順位番号の所有者が現在の所有者 |
| 乙区 | 部屋に付いている抵当権など。下線が引かれた記録は抹消済み |
敷地権付きのマンションの抵当権は、部屋と敷地権を一緒に担保にした形で乙区に記録されます。甲区・乙区の基本の読み方は 登記事項証明書(登記簿謄本)の見本と読み方 で説明しています。
部屋の証明書を請求するときの注意
マンションの部屋の登記事項証明書を請求するときは、次の点でつまずきがちです。
| つまずき | どうするか |
|---|---|
| 「101号室」と書いて請求した | 登記で使うのは家屋番号。権利証(登記済証)・登記識別情報通知書で確かめる |
| マンション名を書かなかった | 法務局は、部屋(専有部分)だけの証明書を請求するときはマンション名を書くよう案内している |
| マンション全体の証明書が必要と言われた | すべての部屋の登記記録をまとめた一棟建物全部事項証明書という種類がある(規則196条1項5号)。部屋数が多いと枚数が多くなる |
請求書の地番欄に不動産番号(13桁)を書けば、所在・家屋番号の記載を省略できます。不動産番号は、前に取った証明書の「専有部分の建物の表示」の右上にあります。
よくある質問
Q. マンションの土地の登記事項証明書も別に取る必要がありますか
敷地権が登記されていれば、部屋の証明書の「敷地権の表示」で敷地の権利の種類と割合が分かります。敷地の土地の登記記録には「敷地権である旨」の登記がされているので、土地の所有者を個別に確かめるために土地の証明書を取る必要は、通常ありません。敷地権の登記がないマンションでは、土地の権利は土地の登記記録に記録されるため、土地の証明書も確認します。
Q. 登記の床面積がパンフレットより小さいのはなぜですか
マンションの部屋は、壁の内側の線で囲んだ面積で登記されるためです(不動産登記規則115条)。新築分譲マンションの広告では壁の中心線で測った面積(壁心面積)が使われるのが一般的で、業界の表示ルール(不動産の表示に関する公正競争規約)は、パンフレットに「専有面積が壁心面積である旨及び登記面積はこれより少ない旨」を書くよう定めています。
Q. 家屋番号と部屋番号が違うのはなぜですか
家屋番号は登記所が建物ごとに付ける番号で、部屋番号(○○号室)は建物の管理上の番号です。登記事項証明書は家屋番号で請求します。
Q. 他人のマンションの部屋の証明書も取れますか
取れます。登記事項証明書は誰でも請求できます(不動産登記法119条1項)。
まとめ
- マンションの表題部は「一棟の建物」と「専有部分」の2段。主な欄は「一棟の建物の表示」「敷地権の目的である土地の表示」「専有部分の建物の表示」「敷地権の表示」の4つ
- 一棟の建物の表示の床面積は建物全体。自分の部屋の床面積は専有部分の建物の表示で見る
- 部屋の床面積は壁の内側の線で測る(規則115条)ので、広告の面積より小さくなりやすい
- 敷地権の表示で、部屋についている土地の権利の種類と割合が分かる
- 敷地権は原則として部屋と切り離して処分できない(区分所有法22条)
- 請求は家屋番号か不動産番号で。部屋だけならマンション名も書く
この記事で扱った手続き
あわせて読みたい
参考資料(一次資料)
- 法務局「住宅ローン等を完済した方へ(抵当権の登記の抹消手続のご案内)」(2026年10月25日閲覧)
- 法務省民事局「住宅ローンを完済した方へ(マンション編)」(PDF)(2026年10月25日閲覧)
- 法務局「不動産登記のよくあるご質問等」(2026年10月25日閲覧)
- 法務局「『区分所有建物』、『敷地権』とは、どのようなものですか?」(PDF)(2026年10月25日閲覧)
- 法務局「登記事項証明書の交付を請求するには、どうしたらよいのですか?」(PDF)(2026年10月25日閲覧)
- e-Gov法令検索「不動産登記規則」(第4条・第115条・第196条・別表三、2026年10月25日閲覧)
- e-Gov法令検索「不動産登記法」(第44条・第119条、2026年10月25日閲覧)
- e-Gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律」(第22条、2026年10月25日閲覧)
- 不動産公正取引協議会連合会「不動産の表示に関する公正競争規約」別表1〜10(PDF)(別表6、2026年10月25日閲覧)


