※本記事は2026年8月時点の建設業法にもとづく一般的な情報提供です。提出書類の様式・部数・窓口は許可行政庁によって異なります。具体的な手続きは許可を受けている行政庁の最新の案内をご確認ください。
建設業許可を取ると、許可を持っている間ずっと、毎年出し続ける届出があります。それが決算変更届(自治体によっては事業年度終了届と呼ばれます)です。
これは「公共工事をやる会社だけ」の話ではありません。建設業許可を持っているすべての会社が対象です。
そもそも建設業許可が必要な工事の範囲については、許可がいらない「軽微な工事」とは?500万円ラインを徹底解説 をご覧ください。
そして、出さないままにしておくと、思っているより重い扱いになります。
結論:毎事業年度が終わって4か月以内
期限は建設業法にはっきり書かれています。
建設業法第11条第2項
許可に係る建設業者は、毎事業年度終了の時における第六条第一項第一号及び第二号に掲げる書類その他国土交通省令で定める書類を、毎事業年度経過後四月以内に、国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。
「決算が終わってから4か月以内」です。3月決算なら7月末、9月決算なら翌年1月末が目安になります。
ここで注意したいのは、税務申告の期限(決算後2か月)とは別物だということです。税理士に決算を任せていても、決算変更届は自動的には出ません。「税務申告が終わった=手続き完了」ではありません。
何を出すのか
建設業法11条2項が指している「6条1項1号・2号の書類」は、条文上こうなっています。
建設業法第6条第1項
一 工事経歴書
二 直前三年の各事業年度における工事施工金額を記載した書面
つまり、その年にどんな工事をいくらで請け負ったかを報告する届出です。ここに、財務諸表や納税証明書など、国土交通省令・各行政庁が定める書類が加わります。
実際の様式・部数・添付書類は許可行政庁ごとに案内が出ていますので、必ずそちらを確認してください。
使用人数が変わったときも、同じ4か月
見落とされやすいのが11条3項です。
建設業法第11条第3項
許可に係る建設業者は、第六条第一項第三号に掲げる書面その他国土交通省令で定める書類の記載事項に変更を生じたときは、毎事業年度経過後四月以内に、その旨を書面で…届け出なければならない。
6条1項3号は「使用人数を記載した書面」です。人数が変わったときは、決算変更届と同じタイミングで届け出ることになります。
出さないとどうなるか
① 罰則の対象になる
ここが最も知られていない点です。
建設業法第50条第1項
次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、六月以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
二 第十一条第一項から第四項まで…の規定による書類を提出せず、又は虚偽の記載をしてこれを提出したとき。
決算変更届(11条2項)の未提出は、この2号にそのまま当たります。
「出し忘れていただけ」「後からまとめて出せばいい」と考えられがちですが、条文上は罰則が用意されている義務です。
虚偽の記載も同じ条文で並んでいます。工事経歴書の数字を実態と違えて書くことは、未提出と同列に扱われています。
② 許可の更新でつまずく
建設業許可は数年ごとに更新が必要です。更新の手続きは、それまでの決算変更届が出そろっていることを前提に組み立てられています。
条文にもその構造が表れています。
建設業法第6条第2項
許可の更新を受けようとする者は、前項の規定にかかわらず、同項第一号から第三号までに掲げる書類を添付することを要しない。
更新のときは、工事経歴書・工事施工金額の書面・使用人数の書面を「改めて添付しなくてよい」とされています。
なぜ添付しなくてよいのか。——毎年の決算変更届で、すでに提出されているはずだからです。
つまり、決算変更届は「更新のときにまとめて出せばいい書類」ではなく、更新手続きが省略されている前提そのものです。たまっていれば、更新の前にすべて出すことになります。
③ 経営事項審査が受けられない
公共工事を発注者から直接請け負おうとするなら、経営事項審査(経審)が必要です。その前提として、決算変更届が提出されていることが求められます。
「今年から公共工事に入りたい」と思って動き出したときに、まず過去数年分の決算変更届から始めることになった——というのは、実際によく起きます。
経審そのものの流れは別記事で扱っています。決算変更届 → 経審 → 入札参加資格審査という順序になります。
④ 誰でも見られる状態になる(=出していないことも分かる)
意外に知られていないのが、提出した書類が公開されるという点です。
建設業法第13条
国土交通大臣又は都道府県知事は、政令の定めるところにより、次に掲げる書類又はこれらの写しを公衆の閲覧に供する閲覧所を設けなければならない。
四 第十一条第二項に規定する第六条第一項第一号及び第二号に掲げる書類
決算変更届の書類は、法律上「公衆の閲覧に供する」ものとされています。
取引先や元請が、その会社の工事実績を確認する手段になっているということです。逆に言えば、出していないことも見えます。
他の届出との期限の違い
建設業法の届出は、期限が3種類に分かれています。混同しやすいので並べて整理します。
| 何が起きたとき | 期限 | 条文 |
|---|---|---|
| 毎事業年度の終了(決算変更届) | 4か月以内 | 11条2項 |
| 使用人数の書面の記載事項が変わった | 4か月以内 | 11条3項 |
| 商号・営業所・資本金など(5条1〜5号)の変更 | 30日以内 | 11条1項 |
| 廃業等(死亡・合併消滅・解散・廃止など) | 30日以内 | 12条 |
| 営業所技術者が置かれなくなり、代わる者がいる | 2週間以内 | 11条4項 |
| 許可基準を満たさなくなった/欠格要件に該当した | 2週間以内 | 11条5項 |
数字の並びには意味があります。
| 期限 | 何を守っているか |
|---|---|
| 2週間 | その会社が今この瞬間、許可の要件を欠いている状態。最も急ぐ |
| 30日 | 会社の外形(商号・営業所・役員など)の変更。取引の相手が誤認しないように |
| 4か月 | 1年分の実績の報告。決算を締めて集計する時間が要るので、いちばん長い |
「急いで知らせないと危ないもの」ほど短い、という順序になっています。
なお、廃業等の届出(12条)を怠った場合は、55条1号により10万円以下の過料とされています。 決算変更届の未提出(50条1項2号)とは、条文も重さも別です。
実務でつまずきやすい3点
① 税理士に任せているから大丈夫、と思っている
決算変更届は行政庁への届出で、税務申告とは別の手続きです。決算書ができあがっただけでは終わりません。
② 工事がなかった年は出さなくていいと思っている
条文は「毎事業年度終了の時における…書類を、毎事業年度経過後四月以内に…提出しなければならない」としています。工事の有無で例外は設けられていません。実績がない年でも、その旨を報告することになります。
③ まとめて出せばいいと思っている
前述のとおり、更新手続きは毎年出ている前提で省略が組まれています(6条2項)。 たまるほど、更新や経審の直前に負担が集中します。
まとめ
- 決算変更届(事業年度終了届)は、毎事業年度経過後4か月以内(建設業法11条2項)
- 出すのは工事経歴書と直前三年の工事施工金額の書面(6条1項1号・2号)+省令等で定める書類
- 使用人数の書面の変更も同じ4か月(11条3項)
- 未提出は50条1項2号で「6月以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金」。虚偽記載も同列
- 許可更新は毎年出ている前提で添付が省略されている(6条2項)
- 経審の前提でもあり、たまっていると公共工事に入る時期が遅れる
- 提出書類は公衆の閲覧に供される(13条4号)
- 期限は 2週間/30日/4か月 の3種類。急を要するものほど短い
決算日が決まっている以上、この手続きの期限は毎年同じ時期に来ます。決算スケジュールに最初から組み込んでおくのが、いちばん確実です。
なお2026年は建設業法自体にも改正の動きがあります。あわせて 改正建設業法で何が変わる?「労務費基準」義務化と工期ルール もご確認ください。
※本記事は公表情報にもとづく一般的な情報提供です。様式・添付書類・提出部数は許可行政庁によって異なります。個別の判断は、許可を受けている行政庁の最新の案内をご確認ください。
参考:
この記事で出てくる手続き
根拠法・申請先・標準処理期間・手数料・様式を、手続きごとに1ページで整理しています。


