警備業は、届出を出せば始められる仕事ではありません。都道府県公安委員会の認定を受けるまで、営業できません。
そして認定が下りるまでに、大阪府では40日かかります。人を採用し、事務所を借り、車両を用意しても、この40日は動きません。
この記事では、大阪府で警備業を始めるときに必要な手続きを、出す順番に沿って整理します。認定申請だけでなく、その前後に発生する3つの届出まで含めています。
※ この記事は2026年9月13日時点の情報です。手数料や様式は改正されることがあるため、申請前に必ず大阪府警察の公式ページでご確認ください。
警備業の認定とは何か
警備業とは、他人の需要に応じて警備業務を行う営業のことです(警備業法 第2条)。
警備業を営もうとする者は、都道府県公安委員会の認定を受けなければなりません(警備業法 第4条)。
ここが他の許認可と違う点です。飲食店の深夜営業のように「届け出てから営業する」のではなく、認定が下りるまで営業そのものができません。
| 根拠法 | 警備業法 第4条、第5条第1項、警備業法施行規則 第2条 |
| 申請先 | 主たる営業所の所在地を管轄する警察署 生活安全課(大阪府公安委員会宛て) |
| 手数料 | 23,000円(大阪府警察事務手数料条例 第10条) |
| 標準処理期間 | 40日(大阪府公安委員会 審査基準・標準処理期間) |
| 有効期間 | 5年(更新申請が必要) |
手続きの詳細は警備業認定申請のページにまとめています。
⚠️ 2024年4月の改正で誤解が多いところ
令和6年(2024年)4月1日に警備業法が改正されました。ここで誤解されやすい点が1つあります。
| ✅ 廃止された | 認定証(紙の証明書の交付) |
| ⚠️ 廃止されていない | 認定の更新制度 |
「認定証が廃止された」という情報だけを読むと、更新も不要になったように見えます。そうではありません。認定の更新は、今までどおり5年ごとに必要です。
また、認定証が廃止された代わりに、新しい義務が加わりました。
- 標識の掲示:事業者が標識を作成し、主たる営業所の見やすい場所に掲示する
- ウェブサイトへの掲示:自社サイトにも掲示する
(常時使用する従業者が5人以下の場合や、ウェブサイトを持たない場合を除く)
認定証の書換え申請・再交付申請は、認定証の廃止にともなってなくなりました。
警備業の4つの区分
警備業務は、警備業法(第2条第1項各号)で4つに区分されています。認定申請では、どの区分を行うかを選んで申請します。
| 区分 | 内容 | 通称 |
|---|---|---|
| 1号 | 事務所・住宅・興行場・駐車場・遊園地等における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務 | 施設警備 |
| 2号 | 人・車両の雑踏する場所、通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務 | 交通誘導・雑踏警備 |
| 3号 | 運搬中の現金・貴金属・美術品等の盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務 | 貴重品運搬警備 |
| 4号 | 人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務 | 身辺警備(ボディガード) |
区分ごとに、次に説明する警備員指導教育責任者の資格が別々に必要です。1号と2号の両方を行うなら、それぞれの資格者証が要ります。
認定を受けられない人(欠格事由)
警備業法 第3条は、認定を受けられない者を定めています。申請者本人だけでなく、法人の役員・警備員指導教育責任者も対象です。
主なものを挙げます。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 禁錮以上の刑(令和7年6月1日以降は拘禁刑以上の刑)に処せられ、または警備業法違反等により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、もしくは執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 最近5年間に、警備業法の規定・処分に違反した者
- 集団的または常習的に暴力的不法行為を行うおそれのある者
- アルコール・麻薬・大麻・あへん・覚醒剤の中毒者
- 心身の障害により警備業務を適正に行うことができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
- 18歳未満の者
- 暴力団員またはその関係者
- 営業所ごと・区分ごとに警備員指導教育責任者を選任すると認められないことについて相当な理由がある者(第9号)
ここで実務上つまずきやすいのが、法人の場合は役員全員分の書類が必要になる点です。役員が5人いれば、5人分の住民票・登記されていないことの証明書・身分証明書・診断書がそろわないと申請できません。
警備員指導教育責任者を決める
警備業者は、営業所ごと・区分ごとに、警備員指導教育責任者を選任しなければなりません(警備業法 第22条第1項)。
| 根拠法 | 警備業法 第22条第1項、第11条第1項、警備業法施行規則 第17条第1項・第2項(別記様式第六号) |
| 届出先 | 営業所の所在地を管轄する警察署 生活安全課防犯保安係 |
| 手数料 | 届出は無料。ただし資格者証の交付申請に9,800円(大阪府警察事務手数料条例 第10条 三の項) |
| 提出時期 | 認定申請時に添付。⚠️欠員が出たときの選任は14日以内、変更届出は変更の日から10日以内(登記事項証明書を添付する場合は20日以内) |
詳しくは警備員指導教育責任者選任届出のページをご覧ください。
⚠️ ここが開業スケジュールの最大のボトルネックです
資格者証は、申請すればもらえるものではありません。警備員指導教育責任者講習を受け、修了する必要があります。
- 講習は都道府県公安委員会が実施します
- 実施回数が限られており、定員があります
- 区分ごとに別の講習です(1号の資格者証で2号の責任者にはなれません)
つまり、講習の日程が開業日を決めます。認定申請の40日より先に、講習の受講枠を押さえる必要があります。
すでに資格者証を持つ人を採用する、という選択肢もあります。ただしその人が欠格事由に該当すると、認定そのものが下りません。
手続きの順番
大阪府で警備業を始めるときの順番を整理します。
| 順番 | 手続き | 期限・所要 | 手数料 |
|---|---|---|---|
| 1 | 定款の事業目的に「警備業」を追加(法人の場合) | 登記の変更が必要 | 登録免許税等 |
| 2 | 警備員指導教育責任者講習の受講・修了 | 日程は公安委員会次第 | 講習費用 |
| 3 | 資格者証の交付申請 | — | 9,800円 |
| 4 | 警備業認定申請 | 標準処理期間40日 | 23,000円 |
| 5 | 認定 | — | — |
| 6 | 服装・護身用具届出 | 業務開始日の前日まで | 無料 |
| 7 | 機械警備を行う場合は機械警備業務開始届出 | 業務開始日の前日まで | 無料 |
| 8 | 営業開始・標識の掲示 | — | — |
1〜3が終わらないと4に進めません。 認定申請の添付書類に、資格者証の写しが含まれるためです。
「40日で開業できる」と考えると足りません。講習の日程を含めて逆算してください。
認定後・営業開始前に出す2つの届出
認定が下りても、すぐに営業できるわけではありません。業務を開始する日の前日までに、届出が要ります。
服装・護身用具届出
警備員に着せる服装と、持たせる護身用具を、あらかじめ届け出ます。
| 根拠法 | 警備業法 第16条第2項、第17条第2項、警備業法施行規則 第28条(変更時は第32条) |
| 届出先 | 主たる営業所の所在地を管轄する警察署 生活安全課(大阪府公安委員会宛て) |
| 手数料 | 無料 |
| 提出時期 | 警備業務を開始する日の前日まで |
服装は、警察官・海上保安官の制服と明確に識別できるものでなければなりません(警備業法 第16条第1項)。護身用具は、都道府県公安委員会規則で種類や規格が制限されています。
変更したときも届出が必要です。詳細は服装・護身用具届出のページにまとめています。
機械警備業務開始届出
センサーで異常を検知し、基地局から警備員を派遣する形態(機械警備)を行う場合に必要です。
| 根拠法 | 警備業法 第40条、警備業法施行規則 第53条 |
| 届出先 | 基地局または待機所の所在地を管轄する警察署 生活安全課 |
| 手数料 | 無料 |
| 提出時期 | 機械警備業務を開始する日の前日まで |
⚠️ 届出先が他の手続きと違います。 認定申請と服装届出は「主たる営業所」の管轄警察署ですが、機械警備業務開始届出は「基地局または待機所」の管轄警察署です。基地局を別の市に置くと、2つの警察署に行くことになります。
機械警備業務管理者の選任も必要です。詳細は機械警備業務開始届出のページをご覧ください。
大阪府での申請窓口と様式
大阪府警察の公式案内と様式は、次の場所にあります。
| 案内ページ | 大阪府警察「警備業法関係の手続き、講習等」 |
| 認定申請の誓約書 | 大阪府警察サイトで配布(PDF) |
| 指導教育責任者選任届(様式第六号) | 大阪府警察サイトで配布(Word) |
| 服装・護身用具届出 | 同上(Word) |
| 機械警備業務開始届出 | 同上(Word) |
申請は警察署の生活安全課で受け付け、手数料は会計課で納付します。窓口の受付時間が変更されることがあるため、行く前に確認してください。
各手続きの様式への直リンクは、許認可を探すの各ページに置いています。
費用のまとめ
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 警備業認定申請 | 23,000円 | 大阪府警察事務手数料条例 第10条 |
| 認定の有効期間の更新 | 23,000円 | 5年ごと |
| 警備員指導教育責任者 資格者証の交付 | 9,800円 | 区分ごとに必要(大阪府警察事務手数料条例 第10条 三の項) |
| 服装・護身用具届出 | 無料 | |
| 機械警備業務開始届出 | 無料 |
このほかに、講習の受講費用、添付書類の取得費用(住民票・登記されていないことの証明書・身分証明書・診断書)、法人の場合は定款変更の登記費用がかかります。
よくある質問
Q. 認定が下りる前に、契約だけ結んでおくことはできますか
警備業法 第4条は「警備業を営んではならない」と定めています。営業活動をどこまで行えるかは個別の判断になるため、管轄の警察署 生活安全課にご確認ください。認定前に警備業務を行うことはできません。
Q. 標準処理期間の40日は、土日を含みますか
標準処理期間は、大阪府公安委員会が公表している審査基準上の期間です。補正が必要になった場合、その期間は算入されません。書類の不備があれば、40日では終わりません。
Q. 1人でも警備業を始められますか
警備業法上、従業員数の下限はありません。ただし営業所ごと・区分ごとに警備員指導教育責任者の選任が必要です。代表者本人が資格者証を取得すれば、要件は満たせます。
Q. 認定証が廃止されたので、更新も不要になったのですか
いいえ。廃止されたのは認定証(紙の証明書)であり、更新制度は継続しています。 認定の更新は、これまでどおり5年ごとに必要です。更新手数料も23,000円です。
Q. 他府県でも営業する場合、認定を取り直す必要がありますか
警備業の認定は、主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会から受けます。他の都道府県で営業所を設ける場合は、その都道府県公安委員会への届出が必要です。手続きの詳細は各都道府県警察にご確認ください。
まとめ
- 警備業は認定を受けるまで営業できません(警備業法 第4条)
- 大阪府の手数料は23,000円、標準処理期間は40日
- ⚠️2024年4月に廃止されたのは「認定証」であり、更新制度は継続しています(5年ごと)
- ⚠️開業日を決めるのは認定の40日ではなく、警備員指導教育責任者講習の日程です
- 認定後、業務開始日の前日までに服装・護身用具届出が必要です
- 機械警備を行う場合は、基地局の管轄警察署に別途届出が必要です
この事業に必要な手続きの一覧
警備業の開業に必要な手続きは、許認可を探すで事業ごとに確認できます。この記事で扱った手続きの個別ページは次のとおりです。
免責事項
本記事は情報提供を目的としています。筆者は行政書士試験の受験中であり、行政書士として登録していません。個別のご相談・手続きの代理は承っておりません。
記載内容は2026年9月13日時点の公表情報にもとづいています。法令・手数料・様式は改正されることがあります。実際の申請にあたっては、管轄の警察署 生活安全課および大阪府警察の公式ページで最新の情報をご確認ください。


