盛土規制法の許可が要る工事とは?大阪市の規制区域・許可が必要な規模・土石の堆積を解説

大阪市は2025年4月から市内全域が盛土規制法の規制区域。盛土1m超の崖・500㎡超の工事は着手前に許可 建設業

「大阪市内の平らな土地なら、盛土の許可なんて関係ない」。そう考えている工務店や解体業者は少なくありません。しかし大阪市は、2025年4月1日に市内全域を「宅地造成等工事規制区域」に指定しました。

この区域では、宅地造成のための盛土・切土だけでなく、残土の一時的な仮置き(土石の堆積)も、一定の規模を超えると着手前に大阪市長の許可が要ります。

この記事では、大阪市の「宅地造成及び特定盛土等規制法に基づく宅地造成等工事許可申請等の手引き」(令和7年11月)をもとに、許可が要る工事の規模、許可が要らない工事、申請先・手数料・検査までを整理します。2026年10月時点の情報です。

盛土規制法とは

正式名称は「宅地造成及び特定盛土等規制法」です。2021年の熱海市の土石流災害を受けて、旧・宅地造成等規制法を改正したもので、2023年5月26日に施行されました。

大きな特徴は、土地の用途(宅地・農地・森林)にかかわらず、盛土等で人家に被害が出るおそれがある区域を指定して規制する点です。大阪市の手引きは、規制区域では「単なる土捨て行為や土石の一時的な堆積」についても許可が必要だとしています。

項目大阪市の場合
規制区域の指定2025年4月1日に市内全域を宅地造成等工事規制区域に指定
許可権者大阪市長
宅地等(農地以外)の窓口計画調整局開発調整部開発誘導課(本庁舎7階)
農地の窓口経済戦略局産業振興部産業振興課(農業担当)
区域の確認「マップナビおおさか」

なお、大阪市以外の大阪府内(政令市・中核市を除く)は、2024年4月1日から大阪府が規制区域を指定しています。堺市と中核市(豊中・吹田・高槻・枚方・八尾・寝屋川・東大阪)、および茨木・和泉・箕面(市街化区域のみ)は各市が許可権者です。現場の所在地で窓口が変わります。

許可が必要な工事(ア〜キ)

大阪市の手引きは、規制区域内で工事に着手する前に許可を受ける必要がある工事を、アからキの7つに分けています。

大阪市「宅地造成及び特定盛土等規制法に基づく宅地造成等工事許可申請等の手引き」11ページ。3 宅地造成等工事規制区域:本市においては令和7年4月1日に市内全域を宅地造成等工事規制区域に指定した。4 許可の対象となる工事:規制区域内で次のアからキの工事を行う場合は工事に着手する前に許可を受ける必要がある。ア 盛土で高さが1m超の崖を生じるもの、イ 切土で高さが2m超の崖を生じるもの、ウ 盛土と切土を同時に行って2m超の崖を生ずるもの、エ 盛土で高さが2m超となるもの、それぞれの断面図(崖は30度超)。出典:大阪市 PDF https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/cmsfiles/contents/0000642/642410/tebiki_20251104.pdf 掲載ページ https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/page/0000642410.html 2026年10月18日閲覧

出典:大阪市「宅地造成及び特定盛土等規制法に基づく宅地造成等工事許可申請等の手引き」11ページ(PDF:https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/cmsfiles/contents/0000642/642410/tebiki_20251104.pdf/掲載ページ:https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/page/0000642410.html)2026年10月18日閲覧

区分許可が必要な規模
ア 盛土高さ1m超の崖を生じるもの
イ 切土高さ2m超の崖を生じるもの
ウ 盛土と切土を同時に高さ2m超の崖を生じるもの(ア・イに当たらないもの)
エ 盛土高さ2m超となるもの(ア・ウに当たらないもの)
オ 盛土又は切土土地の面積が500㎡超(盛土・切土の高さが30cmを超えないものは除く)
カ 土石の堆積最大堆積の面積が500㎡超(高さ30cmを超えないものは除く)
キ 土石の堆積最大堆積の高さが2m超(面積が300㎡を超えないものは除く)

ここでいう「崖」は、地表面が水平面に対して30度を超える角度をなす土地(硬岩盤を除く)です。盛土の場合、法面が30度を超えて高さが1mを超えれば、面積が小さくても許可の対象になります。

平らな敷地でも当たるのは「オ」と「カ・キ」

都市部の工事で現実に当たりやすいのは、崖を生じる盛土・切土よりも、オ(面積500㎡超)と、カ・キ(土石の堆積)です。

  • 解体後に500㎡を超える敷地を30cmを超えて盛り土・切り土して整地する
  • 工事で出た残土や購入土を、500㎡を超える範囲に仮置きする
  • 残土を2mを超える高さに積み、その面積が300㎡を超える

「宅地造成」のつもりがなくても、規模が大きければ対象になり得ます。

大阪市「宅地造成及び特定盛土等規制法に基づく宅地造成等工事許可申請等の手引き」12ページ。オ 盛土又は切土をする土地の面積が500㎡超となるもの(高さ30cmを超えないものは除く)、カ 土石の堆積で最大堆積の面積が500㎡超となるもの(高さ30cmを超えないものは除く)、キ 土石の堆積で最大堆積の高さが2m超となるもの(面積が300㎡超えないものは除く)の図。5 許可を要しない工事:別表1に示す工事は許可不要。ただし規制対象の場合は土地所有者等に土地の保全努力義務が課され、危険な場合は改善命令等の対象となり得る。出典:大阪市 PDF https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/cmsfiles/contents/0000642/642410/tebiki_20251104.pdf 掲載ページ https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/page/0000642410.html 2026年10月18日閲覧

出典:大阪市「宅地造成及び特定盛土等規制法に基づく宅地造成等工事許可申請等の手引き」12ページ(PDF:https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/cmsfiles/contents/0000642/642410/tebiki_20251104.pdf/掲載ページ:https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/page/0000642410.html)2026年10月18日閲覧

「土石の堆積」とは何か

手引きは、土石の堆積を「宅地又は農地等において行う土石を積み重ねたもので、一定期間の経過後に当該土石を除却するもの」と定義しています。つまり、最終的にどかす前提の仮置きのことです。

土石の堆積に当たらないもの(手引きの例)
試験・検査のための試料の堆積
屋根と壁で囲まれた空間など、閉鎖された場所での堆積
岩石だけを堆積し、勾配が30度以下のもの
土石ではない商品・製品を作る工場の敷地内で、原材料の土石を堆積するもの

ただし、土質改良プラントのように主な製品が土石である工場は、敷地内の原材料・製品の堆積も「土石の堆積」とみなされます。

現場内の仮置きは許可が要らない場合がある

解体・建築の現場で実務上いちばん大事なのがここです。手引きの「許可を要しない工事一覧」(別表1)には、次の項目があります。

工事の施行に付随して行われる土石の堆積であって、当該工事に使用する土石又は当該工事で発生した土石を当該工事の現場又はその付近に堆積するもの

用語大阪市の取扱い(手引き 別表1の注)
工事の施行に付随して行われる主たる本体工事があり、その工事の土石を現場や付近に一時的に置くもの。本体工事の主任技術者等が一体的に管理するもの
工事の現場請負契約図書・施工計画書などに現場として位置づけられた土地。本体工事の土地から離れていても、大阪市内で直線距離10km以内なら現場として扱う
現場の付近主任技術者等が一体的に安全管理でき、容易に到達できる隣地やそれに類する土地
期間本体工事の期間中は許可不要。搬出先の都合などでやむを得ず工事後も続く場合も、引き続き許可不要

逆に言えば、本体工事と関係のないストックヤードや、複数の現場の残土を集める置き場は、この除外に当たりません。500㎡超、または高さ2m超かつ300㎡超になるなら許可が必要です。

ほかに、土石の堆積を行う土地の面積が300㎡を超えないもの、都市計画法の開発許可を受けた造成工事(盛土規制法の許可を受けたものとみなされる)なども許可不要です。ただし許可不要でも、規制区域内であれば土地所有者等に土地を安全に保つ努力義務がかかり、危険な場合は改善命令の対象になり得ます。

建築確認とのつながり

大阪市では、建築確認申請の段階で盛土規制法の確認が組み込まれています。

敷地大阪市の手続き
敷地面積または現況区域面積が500㎡以上で建築すべての計画で「開発・盛土許可要否判定願」を提出(開発許可と盛土許可の要否を一括判定)
500㎡未満で建築、用途変更、大規模修繕など建築主等が許可対象に当たらないことを自ら確認し、その旨を確認申請図書の配置図に記載。判断がつかなければ「盛土許可要否判定願」で判定を受けられる

500㎡以上の敷地では、開発許可が明らかに必要な計画でも、先に要否判定願を出すよう求められています。

許可申請の流れと手数料

許可の基準は、①技術的基準(擁壁・排水施設など)、②工事主の資力・信用、③工事施行者の能力、④土地の権利者全員の同意の4つです。申請の前には、周辺住民への周知(説明会の開催など)も必要です。

項目大阪市の手引き
標準処理期間許可・変更許可ともおおむね14日以内(事前協議・補正の期間は含まない)
許可申請手数料土地の面積で決まる。盛土・切土は500㎡以下 14,300円/500㎡超1,000㎡以下 25,900円/1,000㎡超2,000㎡以下 37,300円 … 100,000㎡超 723,600円。土石の堆積は500㎡以下 12,100円/500㎡超1,000㎡以下 15,100円/1,000㎡超2,000㎡以下 17,800円 … 100,000㎡超 144,200円
土石の堆積の工事期間最大5年

14日はあくまで受付後の標準期間です。事前協議や住民への周知の時間を見込むと、着工のかなり前から準備が必要です。

許可を受けた後の検査と報告

手続き中身
定期報告一定規模以上の工事(盛土で2m超の崖、面積3,000㎡超、土石の堆積で高さ5m超かつ1,500㎡超、または3,000㎡超など)は3か月ごとに工事の状況を報告
中間検査定期報告が必要な規模で、暗渠排水管を入れる工程(特定工程)があるとき、その工程を終えた日から4日以内に申請
完了検査盛土・切土の工事が完了したら4日以内に申請
土石の除却の確認土石の堆積の工事が完了(全て除却)したら4日以内に確認を申請

規制区域の指定時にすでに行っていた工事は、指定の日から21日以内の届出が必要でした。また、高さ2mを超える擁壁などを除却する工事は、着工の14日前までに届け出ます。

無許可で工事をした場合

盛土規制法は、旧法より罰則を大きく強化しています。

違反罰則(法第55条・第60条)
許可を受けずに盛土・切土・土石の堆積の工事をした3年以下の拘禁刑又は1,000万円以下の罰金
法人の業務として行われた場合法人に3億円以下の罰金

検査の未申請や定期報告をしなかった場合にも罰則があります。「どかすつもりの仮置き」でも、規模が大きければ無許可工事になり得る点に注意してください。

よくある質問

Q. 大阪市内の平坦な土地での工事も対象ですか

対象になり得ます。大阪市は市内全域を規制区域に指定しているため、崖を生じない工事でも、盛土・切土の面積が500㎡を超える場合(高さ30cm以下を除く)や、土石の堆積が一定規模を超える場合は許可が必要です。

Q. 解体工事で出たガラや残土を敷地内に置いておく場合は

その工事の現場(または付近)に、その工事の土石を一時的に置くもので、本体工事の主任技術者等が一体的に管理するなら、別表1の「工事の施行に付随して行われる土石の堆積」として許可は要りません。ほかの工事の残土も集める置き場は対象外です。

Q. 申請から許可まで何日かかりますか

標準処理期間はおおむね14日以内です。ただし事前協議や補正の期間は含まれません。

Q. 都市計画法の開発許可を取った工事も別に申請が要りますか

開発許可を受けた造成工事は、盛土規制法の許可を受けたものとみなされます。ただし規模によっては、盛土規制法の中間検査や定期報告の対象になります。

Q. 大阪市以外の大阪府内の工事はどこに出しますか

堺市と中核市(豊中・吹田・高槻・枚方・八尾・寝屋川・東大阪)はその市、茨木・和泉・箕面は市街化区域のみその市、それ以外は大阪府が窓口です。

安全装置の補助金と、関連する手続き

造成や残土の運搬で油圧ショベル・ホイールローダーを使う場合、近接センサーや監視カメラの導入に高度安全機械等導入支援補助金が使えることがあります(建設業許可が条件)。

残土を現場から運び出す場合は、運ぶものが産業廃棄物に当たるかどうかで必要な許可が変わります。現場の廃材を下請が運ぶと無許可になる?産業廃棄物収集運搬業許可が要る境界線 もあわせて確認してください。

この記事で扱った手続き

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この事業に必要な手続きの一覧は 許認可ナビ にまとめています。

まとめ

  • 大阪市は2025年4月1日から市内全域が宅地造成等工事規制区域
  • 許可が要るのは、盛土で1m超の崖、切土で2m超の崖、盛土で2m超、面積500㎡超の盛土・切土、土石の堆積で500㎡超または高さ2m超かつ300㎡超
  • 本体工事の現場(または付近)でのその工事の土石の仮置きは許可不要。別の工事の残土を集める置き場は対象
  • 窓口は計画調整局開発調整部開発誘導課(農地は経済戦略局)。標準処理期間はおおむね14日、手数料は500㎡以下で盛土・切土が14,300円、土石の堆積が12,100円から
  • 無許可工事は3年以下の拘禁刑又は1,000万円以下の罰金、法人は3億円以下の罰金

この記事は制度の内容を整理したものです。個別の工事が許可の対象になるかは、大阪市計画調整局開発調整部開発誘導課で確認してください。

免責事項

この記事は、行政書士試験の受験生(行政書士登録はしていません)が、公的機関の公開資料をもとに制度の内容を整理したものです。個別の案件についての相談・書類作成の代行はお受けしていません。最新の情報は各行政機関の案内で確認してください。

参考資料(一次資料)


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