特定建設作業実施届出書とは?大阪市への提出期限(7日前)・規制基準・作業時間の制限を解説

特定建設作業実施届出は作業開始の7日前まで。大阪市では中7日をあけて元請業者が届け出る 建設業

解体工事や基礎工事で、くい打機・ブレーカー・バックホウなどを使う現場では、着工前に特定建設作業実施届出書を出す必要があります。騒音規制法・振動規制法と大阪府の条例にもとづく届出で、大阪市内の工事なら届出先は大阪市環境局です。

大阪市の案内では、届出の期限は作業開始の7日前まで。この「7日前まで」は中7日をあけるという意味で、届出日と作業開始日は数えません。土日や祝日をはさむと、思っていたより早く出す必要があります。

この記事では、大阪市環境局の「特定建設作業の届出と規制のあらまし」をもとに、届出が必要な作業、期限の数え方、出し先と出し方、守るべき騒音・振動の基準をまとめます。2026年10月時点の情報です。

特定建設作業とは

特定建設作業とは、建設工事として行う作業のうち、著しい騒音や振動を発生する作業として法律の施行令や大阪府の条例施行規則で定められたものです。大阪市内では、騒音規制法・振動規制法(以下「法」)と、大阪府生活環境の保全等に関する条例(以下「府条例」)の両方が関係します。

対象になると、次の2つの義務がかかります。

義務中身根拠
届出作業開始の7日前までに届け出る騒音規制法第14条・振動規制法第14条・府条例第93条
基準の遵守騒音・振動の大きさ、作業時間、作業日などの基準を守る騒音規制法第15条・振動規制法第15条・府条例第94条

届出を出したかどうかだけでなく、工事中ずっと基準を守る義務がある点に注意してください。

届出が必要な主な作業

大阪市の「特定建設作業届出一覧表」から、現場でよく使う機械を抜き出しました。法の対象か府条例の対象かで、騒音・振動のどちらの届出になるかが変わります。

作業法(騒音)法(振動)府条例主な条件・例外
くい打機・くい抜機を使う作業○○○もんけん(人力)、圧入式(振動は対象外)、アースオーガーと併用する作業は扱いが分かれる
びょう打機を使う作業○-○インパクトレンチ等は対象外
さく岩機を使う作業(手持ち式ブレーカーを含む)○-○作業地点が連続的に移動する作業で1日の2地点間の最大距離が50mを超えるものは除く
ブレーカーを使う作業(手持ち式を除く)○○○クローラーブレーカー・油圧ブレーカー等
空気圧縮機を使う作業○-○電動機以外の原動機で定格出力15kW以上
コンクリートプラント・アスファルトプラント○-○混練容量0.45㎥以上/混練重量200kg以上
バックホウを使う作業○-○定格出力80kW以上(法は環境大臣が指定する低騒音型を除く)
トラクターショベル・ブルドーザー○-○70kW以上・40kW以上(法は低騒音型を除く)
ショベル系掘削機械(上記以外)--○定格出力20kW超。スケルトンバケットに換装したものを含む
コンクリートカッター--○作業地点が連続的に移動しない作業
舗装版破砕機・鋼球による破壊-○○鋼球は騒音も府条例の対象

バックホウは「法」と「府条例」で線が違う

見落としやすいのが、バックホウなどショベル系掘削機械の扱いです。大阪市のページでは、使うバケットと出力ごとに次のように整理されています。

機械標準バケットスケルトンバケット(掘削)スケルトンバケット(ふるい分け等)
定格出力80kW以上のバックホウ(低騒音型を除く)法の届出法の届出条例の届出
それ以外で定格出力20kW超のショベル系掘削機械条例の届出条例の届出条例の届出
定格出力20kW以下届出不要届出不要届出不要

つまり、低騒音型のバックホウでも、20kWを超えていれば府条例の届出が要るということです。「低騒音型だから届出は要らない」と考えるのは、法だけを見た判断です。なお、アタッチメントをスケルトンバケットに換装したショベル系掘削機械の作業は、2022年10月1日から府条例の規制対象になっています。

届出が要らない場合

  • その作業を開始した日に終わるもの(完全に1日で終わる作業)
  • 工業専用地域の一部(除外地域かどうかは提出先で確認)

1日で終わる作業でも、翌日にまたがれば対象です。工程表を作る段階で、何日にわたるかを確認しておきましょう。

届出の期限は「中7日」

期限は作業開始の7日前までです。大阪市の資料では、「7日前までに」とは「中7日をあける」ことだと注記されています。

大阪市環境局「特定建設作業の届出と規制のあらまし」1ページ。届出手続として、1 届出が必要な建設作業、2 届出義務者(建設工事を施工しようとする元請業者、法人は代表者)、3 届出の提出期限(特定建設作業開始の7日前までに大阪市行政オンラインシステムで電子申請するか、窓口又は郵送で必着)、提出期限例として8日(水)に届け出れば中7日をあけて16日(木)に工事開始、注1「7日前までに」とは「中7日をあける」こと、注2 受付は原則として作業開始の2ヵ月前から、4 届出書類は作業の種類ごとに作成。出典:大阪市環境局 PDF https://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/cmsfiles/contents/0000060/60981/aramashi_tokken_20230401.pdf 掲載ページ https://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000060981.html 2026年10月18日閲覧

出典:大阪市環境局「特定建設作業の届出と規制のあらまし」1ページ(PDF:https://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/cmsfiles/contents/0000060/60981/aramashi_tokken_20230401.pdf/掲載ページ:https://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000060981.html)2026年10月18日閲覧

資料の例では、8日(水)に届け出ると、9日〜15日の7日間をあけて、16日(木)から作業を始められます。

確認点大阪市の案内
数え方届出日と作業開始日の間に7日をあける(中7日)
受付の開始原則として作業開始の2か月前から
窓口・郵送の場合7日前までに受付窓口に必着
郵送の届出日各環境保全監視グループに届いた日。土日・祝休日・年末年始に届いた場合は翌開庁日が受付日になり、そこから中7日後以降でないと作業を始められない

郵送で出す場合は、投函日ではなく到着日で数える点に注意してください。年末年始やゴールデンウィークをはさむ工事は、余裕をもって出すのが安全です。

誰が、どこへ、どうやって出すか

届け出るのは元請業者

届出義務があるのは、建設工事を施工しようとする元請業者です。法人の場合は代表者(代表権を持つ人)が届出者になります。共同企業体(JV)の場合は、JVの名称を書いたうえで、代表会社の所在地・名称・代表者氏名を併記します。

下請業者が実際に機械を動かす場合も、届出は元請業者が出します。届出書には、下請負人の名称・代表者・現場責任者の連絡先を書く欄があります。

届出先は区ごとの環境保全監視グループ

届出先は、作業を行う区を担当する環境保全監視グループです(大阪市環境局環境管理部環境規制課)。

グループ担当する区
北部北区・都島区・淀川区・東淀川区・旭区
東部中央区・天王寺区・浪速区・東成区・生野区・城東区・鶴見区
西部福島区・此花区・西区・港区・大正区・西淀川区
南東部阿倍野区・東住吉区・平野区
南西部住之江区・住吉区・西成区

出し方は電子申請・窓口・郵送

2023年4月1日から、大阪市行政オンラインシステムによる電子申請ができるようになりました。窓口・郵送も引き続き使えます。

項目窓口・郵送の場合
部数作業の種類ごとに2部(正本1部・写し1部)。写しは返却される
郵送正本・写しと、宛名を書いて切手を貼った返信用封筒を同封(料金不足は返却)
単位作業の種類ごとに届出書を作る(ブレーカーとバックホウを使うなら2通)
期間種類ごとに、作業の開始から終了まで一括して出せる(工事期間の制限はない)。警察の許可が必要な工事は許可証の期間

届出書と添付書類

届出書は大阪市の様式(様式8「特定建設作業実施届出書」)です。大阪市環境局のページからダウンロードできます。

書類必要な場合
特定建設作業実施届出書(表紙)必須(作業の種類ごと)
騒音・振動の防止方法(別表)必須。住民への周知方法、防音シート・防音パネル、低騒音型機械の使用などに○をつける
周辺の状況の見取図必須。工事場所のおおむね80m以内にある学校・保育所・病院等を記入
特定建設作業と建設工事の工程表必須。作業休業日を明記し、全ての作業期間を記載
道路使用に関する許可等の書類夜間・日曜・休日に作業する場合
委任状(写し可)届出者に代表権がない場合

種類が違っても添付書類の中身がまったく同じなら、②〜④は1部に省略できます。

道路上で夜間に作業する工事では、警察の道路使用許可と組み合わせることになります。手続きの順番は 公道に足場を出すなら許可は2つ|道路占用許可と道路使用許可の違い にまとめています。

守るべき基準:85デシベル・75デシベルと作業時間

届出をしたうえで、工事中は次の基準を守ります。基準値は作業場所の敷地境界で測った値です。

大阪市環境局「特定建設作業の届出と規制のあらまし」5ページ。特定建設作業を伴う工事の基準:基準値は1号・2号区域とも騒音85デシベル・振動75デシベル、作業可能時刻は1号区域が午前7時〜午後7時・2号区域が午前6時〜午後10時、最大作業時間は1号10時間/日・2号14時間/日、最大作業期間は連続6日間、作業日は日曜その他の休日を除く日。1号区域・2号区域の定義と、基準値は敷地境界における値であること、災害など緊急時の適用除外の注記。出典:大阪市環境局 PDF https://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/cmsfiles/contents/0000060/60981/aramashi_tokken_20230401.pdf 掲載ページ https://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000060981.html 2026年10月18日閲覧

出典:大阪市環境局「特定建設作業の届出と規制のあらまし」5ページ(PDF:https://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/cmsfiles/contents/0000060/60981/aramashi_tokken_20230401.pdf/掲載ページ:https://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000060981.html)2026年10月18日閲覧

項目1号区域2号区域
騒音の基準値85デシベル85デシベル
振動の基準値75デシベル75デシベル
作業できる時刻午前7時〜午後7時午前6時〜午後10時
1日の最大作業時間10時間14時間
最大作業期間連続6日間連続6日間
作業日日曜その他の休日を除く日曜その他の休日を除く

1号区域と2号区域の分け方は次のとおりです。

  • 1号区域:第1・2種中高層住居専用地域、第1・2種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域など。工業地域でも、学校・保育所・病院・入院施設のある診療所・図書館・特別養護老人ホーム・幼保連携型認定こども園の敷地の周囲80m以内は1号区域
  • 2号区域:工業地域などのうち、1号区域に当たらない地域

大阪市内の現場の多くは1号区域です。日曜に重機を動かす工程や、午後7時を過ぎる作業は原則できないと考えて工程を組んでください。災害など非常時に緊急に作業する場合などは、作業時間等の適用除外が設けられています(府条例施行規則第63条)。

届出をしないとどうなるか

大阪市の資料には、罰則として次の規定が紹介されています。

違反罰則
届出をしない・虚偽の届出(騒音規制法)3万円以下の罰金
届出をしない・虚偽の届出(振動規制法・府条例)10万円以下の罰金

罰金の額だけを見ると軽く見えますが、実務で困るのは近隣からの苦情です。届出書の別表では、説明会・各戸説明・周知文の配布・掲示板の設置といった住民への周知方法や、苦情が出たときの対応体制を書きます。届出を作ることが、そのまま近隣対応の準備になります。

解体工事なら、石綿の事前調査も同時に

建物の解体・改造・補修を伴う工事では、元請業者に石綿(アスベスト)の事前調査の義務があり、一定規模以上の工事は調査結果の報告も必要です。大阪市の資料でも、特定建設作業の届出とあわせて案内されています。

解体工事業の登録と石綿の報告については 内装解体の工事に登録は要る?解体工事業登録と建設業許可の違い・アスベスト事前調査の報告義務 で整理しています。

よくある質問

Q. 低騒音型のバックホウなら届出は要りませんか

法(騒音規制法)では、環境大臣が指定する低騒音型の機械を使う作業は対象外です。ただし大阪府の条例では、定格出力20kWを超えるショベル系掘削機械を使う作業が対象になるため、低騒音型でも20kW超なら府条例の届出が必要です。

Q. 下請業者が重機を持ち込む場合、届出は誰が出しますか

元請業者です。届出書には、下請負人の名称・代表者・現場責任者の連絡先を書く欄があります。

Q. 1日だけブレーカーを使う場合も届出が要りますか

その作業を開始した日に終わる作業は、特定建設作業から除かれます。翌日にまたがる場合は対象になります。

Q. 届出は何日前から出せますか

大阪市では、原則として作業開始の2か月前から受け付けています。

Q. 日曜日に作業したい場合はどうすればよいですか

特定建設作業は、日曜その他の休日には原則としてできません。道路工事など、休日・夜間に作業する理由がある場合は、道路使用に関する許可等の書類を添付します。工事の内容によって扱いが変わるため、届出先の環境保全監視グループに事前に確認してください。

安全装置の導入に使える補助金

油圧ショベルやホイールローダーに近接センサーや監視カメラを付ける場合は、建設業労働災害防止協会の高度安全機械等導入支援補助金が使えることがあります。建設業許可を持っていることが条件の補助金です。低騒音型機械への入れ替えや省力化の設備には、省力化投資補助金のカタログ注文型と一般型の違いも確認してください。

この記事で扱った手続き

あわせて読みたい

この事業に必要な手続きの一覧は 許認可ナビ にまとめています。

まとめ

  • くい打機・ブレーカー・80kW以上のバックホウなどを使う工事は、元請業者が作業開始の7日前まで(中7日)に特定建設作業実施届出書を出す
  • 大阪市内は区ごとの環境保全監視グループへ。電子申請(大阪市行政オンラインシステム)・窓口・郵送のいずれも可。郵送は到着日で数える
  • 届出は作業の種類ごと。添付は防止方法・見取図・工程表
  • 低騒音型でも20kW超のショベル系掘削機械は府条例の届出が要る
  • 工事中は85デシベル・75デシベル、1号区域は午前7時〜午後7時・1日10時間・連続6日・日曜休日は作業不可

この記事は制度の内容を整理したものです。個別の工事が届出の対象になるか、除外地域に当たるかは、届出先の環境保全監視グループで確認してください。

免責事項

この記事は、行政書士試験の受験生(行政書士登録はしていません)が、公的機関の公開資料をもとに制度の内容を整理したものです。個別の案件についての相談・書類作成の代行はお受けしていません。最新の情報は各行政機関の案内で確認してください。

参考資料(一次資料)


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