ニュースやSNSで「在留カードが値上げされた」という話を見かけるようになりました。2026年10月1日から、在留手続の手数料が大きく変わったためです。
ただ、この「在留カードの値上げ」という言い方は、少し誤解を含んでいます。上がったのは、在留期間の更新・在留資格の変更・永住の「許可」の手数料です。更新が許可されると新しい在留カードが交付されるので、「在留カードの更新代が上がった」と受け止められています。
一方で、在留カードそのものの手続き(有効期間の更新、紛失したときの再交付など)は、今も無料です。
この記事では、10月1日から変わった手数料と変わらない手数料、窓口とオンラインでの払い方、そして留学生・会社員・家族滞在の典型的なケースでいくらになるかを、出入国在留管理庁の資料と政令の条文にもとづいて整理します。2026年10月4日時点の情報です。
何が変わったのか(10月1日施行)
今回の改定は、出入国管理及び難民認定法施行令の改正(令和8年政令第268号)によるものです。2026年8月28日に公布され、10月1日に施行されました。
いちばん大きな変化は、在留期間の更新と在留資格の変更の手数料が、一律6,000円から「許可される在留期間」で決まる7段階に変わったことです。
| 許可される在留期間 | 窓口(収入印紙) | オンライン(本体) | オンラインの決済手数料 | オンラインの支払総額 |
|---|---|---|---|---|
| 3月以下 | 10,000円 | 10,000円 | 330円 | 10,330円 |
| 3月超6月以下 | 18,000円 | 15,000円 | 330円 | 15,330円 |
| 6月超1年未満 | 25,000円 | 21,000円 | 330円 | 21,330円 |
| 1年 | 33,000円 | 27,000円 | 330円 | 27,330円 |
| 1年超3年未満 | 48,000円 | 42,000円 | 330円 | 42,330円 |
| 3年以上5年未満 | 64,000円 | 56,000円 | 550円 | 56,550円 |
| 5年以上 | 75,000円 | 65,000円 | 550円 | 65,550円 |
出典:出入国管理及び難民認定法施行令 第25条第1項第1号/出入国在留管理庁「オンライン申請における手数料額及び手数料納付方法について」(2026-10-04確認)
ポイントは、金額を決めるのは「申請したい期間」ではなく「実際に許可された期間」だということです。3年を希望して1年の許可になれば、1年の33,000円(オンラインは27,000円)になります。
もう一つ大きく変わったのが永住許可です。10,000円から200,000円になりました。永住許可は窓口での申請です。
手続きごとの申請先・様式は、許可ナビの在留期間更新許可申請、在留資格変更許可申請、永住許可申請にまとめています。
変わらなかった手続き(在留カード関連は無料のまま)
ここが、上位の解説記事ではあまり触れられていない部分です。「在留カード」という名前のつく手続きの多くは、今回の改定の対象外です。
| 手続き | 10月1日以降の手数料 | 改定 |
|---|---|---|
| 在留カードの有効期間の更新(永住者・16歳未満など) | 無料 | 対象外 |
| 紛失・盗難による在留カードの再交付 | 無料 | 対象外 |
| 汚損・毀損による在留カードの再交付 | 無料 | 対象外 |
| 交換を希望する場合の在留カードの再交付 | 1,900円 | 据え置き |
| 在留資格取得許可(日本で生まれた子など) | 無料 | 対象外 |
| 資格外活動許可(留学生のアルバイトなど) | 無料 | 対象外 |
出典:出入国在留管理庁「在留許可手数料の額の改定等について」、出入国管理及び難民認定法施行令 第25条の2第4号(在留カードの交付 1,900円)(2026-10-04確認)
つまり、永住者の方が7年ごとに行う在留カードの有効期間の更新は、今も無料です。「在留カードの更新にも何万円もかかるのでは」という心配は要りません。
在留カードをなくしたとき・壊れたときの再交付も無料です。自分の都合で交換したい場合だけ、1,900円がかかります。
金額は同じでも、オンラインで払うと手数料が増えた手続き
再入国許可と就労資格証明書は、手数料の本体は改定前と同じです。ただし、オンラインで申請した場合の払い方が変わり、決済手数料220円がかかるようになりました。
| 手続き | 窓口(収入印紙) | オンライン(本体) | 決済手数料 | オンラインの支払総額 |
|---|---|---|---|---|
| 再入国許可(1回) | 4,000円 | 3,500円 | 220円 | 3,720円 |
| 再入国許可(数次) | 7,000円 | 6,500円 | 220円 | 6,720円 |
| 就労資格証明書 | 2,000円 | 1,600円 | 220円 | 1,820円 |
出典:出入国管理及び難民認定法施行令 第25条第1項第3号・第4号、第25条の2第3号/出入国在留管理庁「オンライン申請における手数料額及び手数料納付方法について」(2026-10-04確認)
一時帰国の前に申請する再入国許可は、オンラインでも窓口より安いままです。転職のときに使う就労資格証明書も同じです。
払い方も変わった:窓口は収入印紙、オンラインはコンビニ・銀行
金額と同じくらい大事なのが、払い方の変更です。
| 申請の方法 | 払い方 | 使えないもの | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 窓口 | 収入印紙(現金で購入) | キャッシュレス | 高額になったため、審査完了の通知はがきの金額の印紙を、大きな郵便局などで事前に買っておくことが勧められています |
| オンライン | コンビニ決済または銀行決済(Pay-easy・ネットバンキング) | 収入印紙・クレジットカード・QRコード決済 | 審査が終わるとメールで決済の案内が届きます。紙の納入通知書は送られてきません |
出典:出入国在留管理庁「オンライン申請における手数料額及び手数料納付方法について」「収入印紙の購入について」(2026-10-04確認)
⚠️ オンライン申請では、収入印紙はもう使えません。以前の感覚で印紙を買ってしまうと、使い道がなくなります。また、クレジットカードやPayPayなどのQRコード決済にも対応していません。
9月30日までに申請した人はどうなるか
9月30日までに受け付けられた申請は、許可が10月1日以降になっても、改定前の手数料で済みます(一律6,000円、オンライン5,500円、永住10,000円)。
出入国在留管理庁のQ&Aには、次のように書かれています。
令和8年10月1日より前に在留資格の変更の許可や在留期間の更新の許可、あるいは永住許可の申請をしていた外国人の方が同日以後に許可を受ける場合に納付していただく在留許可手数料の額は、改正前の額となります。
基準になるのは「申請が受け付けられた日」です。許可の通知が10月に届いても、受付が9月なら旧額です。
また、9月30日までに受け付けられたオンライン申請は、払い方も以前のまま(収入印紙)です。
典型的なケースでいくらになるか
実際の負担を、よくある3つのケースで比べます。
| ケース | 改定前 | 10月以降(窓口) | 10月以降(オンライン・決済手数料込み) |
|---|---|---|---|
| 留学生の1年更新 | 6,000円(オンライン5,500円) | 33,000円 | 27,330円 |
| 会社員(技術・人文知識・国際業務)の3年更新 | 6,000円(オンライン5,500円) | 64,000円 | 56,550円 |
| 家族滞在の1年更新(1人あたり) | 6,000円(オンライン5,500円) | 33,000円 | 27,330円 |
家族滞在は人数分かかります。たとえば配偶者と子ども2人の計3人が同時に1年の更新になると、オンラインでも27,330円×3人=81,990円、窓口なら99,000円です。
オンラインと窓口の差は、1年の更新で5,670円、3年以上5年未満で7,450円あります。オンライン申請が使える場合は、オンラインのほうが安くなります。
手数料が減額・免除される場合
生活保護を受ける人に準じるほど生活に困っていて、人道上の配慮が必要な人については、手数料が減額される場合があります。減額後の額は、在留資格の変更・在留期間の更新が10,000円、永住許可が20,000円です。
⚠️ ただし、減額はオンライン申請では受け付けていません。減額を求めるときは、疎明資料(収入を示す書類など)を持って窓口で申請する必要があります。
出典:出入国在留管理庁「令和8年10月1日以降における在留許可手数料の減額措置又は免除措置について」(2026-10-04確認)
手数料が上がったことで気をつけたいこと
- 許可された期間で金額が決まるので、「3年を希望したのに1年になった」場合、差額が出るのではなく、その時点の期間の額を払います。
- 会社が手数料を負担するかは、会社ごとの決まりです。法令上の納付者は申請者本人です。外国人社員を雇っている会社は、今回の改定に合わせて社内の取り扱いを確認しておくと、更新のたびに慌てずに済みます(企業向けの整理は在留申請の手数料改定|企業がやることにまとめています)。
- 更新の審査では、税金や社会保険の納付状況も見られます(詳しくは在留資格の更新・変更で税金と社会保険の未納はNG)。手数料が高くなった分、不許可になったときの影響も大きくなります。
よくある質問
Q. 在留カードの有効期間を更新するのにも、何万円もかかりますか? A. かかりません。永住者や16歳未満の方が行う在留カードの有効期間の更新は、10月1日以降も無料です。数万円かかるのは、在留期間の更新(在留資格そのものの期間の延長)です。
Q. 在留カードをなくしました。再交付にお金はかかりますか? A. 紛失・盗難、汚損・毀損による再交付は無料です。自分の都合で交換を希望する場合だけ1,900円がかかります。
Q. 9月中に申請して、許可が10月に出ました。新しい手数料ですか? A. いいえ。9月30日までに受け付けられた申請は、許可が10月1日以降でも改定前の額(6,000円、オンライン5,500円)です。
Q. オンライン申請で収入印紙は使えますか? A. 10月1日以降に受け付けられたオンライン申請では使えません。コンビニ決済か銀行決済(Pay-easy・ネットバンキング)で払います。クレジットカードやQRコード決済にも対応していません。
Q. 再入国許可の手数料も上がりましたか? A. 手数料の本体は改定前と同じです(1回4,000円、数次7,000円。オンラインはそれぞれ3,500円・6,500円)。オンラインの場合は、決済手数料220円が加わります。
まとめ
- 「在留カードの値上げ」と言われているのは、在留期間の更新・在留資格の変更・永住の許可手数料の改定
- 更新・変更は許可された期間で決まる7段階(窓口10,000円〜75,000円、オンラインは本体10,000円〜65,000円+決済手数料)。永住は200,000円
- 在留カードの有効期間の更新、紛失・汚損による再交付は無料のまま。交換希望の再交付は1,900円で据え置き
- 再入国許可・就労資格証明書は本体据え置き、オンラインのみ決済手数料220円
- 窓口は収入印紙、オンラインはコンビニ・銀行決済(印紙・クレジット・QRは不可)
- 9月30日までに受け付けられた申請は旧額
改定前に書いた解説は、在留資格の更新・変更手数料が値上げ(ガイド)、在留カードとマイナンバーカードの一体化は特定在留カードとは?にまとめています。
この事業に必要な手続きの一覧
在留手続の申請先・様式・手数料は、許認可ナビで手続きごとに確認できます。
免責事項
本記事は、出入国在留管理庁の公表資料と法令にもとづく一般的な情報提供です。筆者は行政書士試験の受験中で、行政書士として登録していません。個別の申請の代理や相談はお受けしていません。手数料や納付方法は変わることがあります。申請の前に、必ず出入国在留管理庁の最新の案内をご確認ください。
参考資料(一次資料)
- 出入国在留管理庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」https://www.moj.go.jp/isa/01_00644.html
- 出入国在留管理庁「オンライン申請における手数料額及び手数料納付方法について」https://www.moj.go.jp/isa/11_00107.html
- 出入国在留管理庁「令和8年10月1日以降における在留許可手数料の減額措置又は免除措置について」https://www.moj.go.jp/isa/10_00273.html
- 出入国在留管理庁「在留許可手数料の額の改定等に関するQ&A」https://www.moj.go.jp/isa/applications/faq/01_00650.html
- 出入国在留管理庁「収入印紙の購入について」https://www.moj.go.jp/isa/01_00646.html
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法施行令」第25条・第25条の2 https://laws.e-gov.go.jp/law/410CO0000000178


