空き地を買いたい、隣の土地の木が越境してきて困っている、相続した土地の隣が誰のものか知りたい。そんなときに使えるのが、法務局の登記記録です。土地の登記記録は、誰でも、理由を書かずに見ることができます。
ただ、調べるときに一番つまずくのが「住所では調べられない」ことです。この記事では、住所から地番を調べる方法と、所有者を見る3つの方法(ネット・証明書・要約書)を、法務局の案内をもとに整理します。2026年10月25日時点の情報です。
調べたあとの証明書の読み方は 登記事項証明書(登記簿謄本)の見本と読み方、窓口・郵送・オンラインの取り方は 登記事項証明書(登記簿謄本)の取り方 で説明しています。
手順は2つ:地番を調べる → 所有者を見る
| 手順 | やること | どこで |
|---|---|---|
| 1 | 地番を調べる(住所=住居表示とは別) | 権利証・法務局の地図・市区町村役場・住居表示地番対照住宅地図 |
| 2 | 地番で所有者を見る | 登記情報提供サービス(ネット)/法務局で登記事項証明書・登記事項要約書 |
手順1:住所ではなく「地番」を調べる
ふだん使う住所(「◯丁目◯番◯号」の住居表示)と、登記で使う地番は別のものです。住居表示が実施された地域では、両者が一致しないことがよくあります。法務局は、地番の確かめ方を次のように案内しています。

地番を確かめる方法は、次のとおりです。
| 方法 | 向いている場面 |
|---|---|
| 登記完了証・登記識別情報通知書・登記済証(権利証) | 自分の土地や、家族の土地を調べるとき |
| 登記所に備え付けられた地図(公図など) | 隣の土地など、周りの地番から探すとき。地図・図面は法務局で見られる |
| 市区町村役場 | 法務局の案内に挙がっている確認先。地番の分かる地図を窓口で見られるかどうかは自治体によって違う |
| 住居表示地番対照住宅地図 | 住所と地番の対応を地図で見られる(発行されていない地域もある) |
法務局は、地番・家屋番号が分からないと、ほかの登記所での交付やオンライン請求を利用できないとしています。まず地番を確かめるのが近道です。
隣の土地を調べるなら、自分の土地の地番が分かれば、公図で隣の地番が分かります。公図の取り方は 公図・地積測量図 のページにまとめています。
手順2:所有者を見る3つの方法
地番が分かれば、所有者を調べられます。目的に合わせて選びます。
| 方法 | 料金 | 形 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 登記情報提供サービス(所有者事項) | 140円 | 画面・PDF | 今の所有者の氏名・住所だけ見たい |
| 登記情報提供サービス(全部事項) | 330円 | 画面・PDF | 抵当権なども含めて全部見たい |
| 登記事項証明書 | 窓口600円/オンライン請求・送付520円/オンライン請求・窓口受取490円 | 紙の証明書 | 役所や取引先に提出する |
| 登記事項要約書 | 500円 | 紙(証明文なし) | 法務局の窓口で、今の要点だけ見たい |
料金は、法務局の案内と法務省「登記手数料について」(令和7年4月1日〜)によります。
いちばん手軽なのは登記情報提供サービス
登記情報提供サービスは、法務局の登記情報を、自宅や会社のパソコンで見られるサービスです(運営は一般財団法人民事法務協会)。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 所有者の氏名・住所だけ(所有者事項) | 1件140円 |
| 登記記録の全部 | 1件330円 |
| 公図・地積測量図などの図面 | 1件360円 |
| 使い方 | 利用者登録をして使う方法と、登録せずに一時利用する方法がある。個人はクレジットカード払い |
| 利用時間 | 平日8:30〜23:00、土日祝日8:30〜18:00(図面は平日8:30〜21:00)。年末年始は使えない |
ただし、登記情報提供サービスの画面やPDFは、証明書としては使えません。役所や取引先に出すなら、法務局で登記事項証明書を取ります。
提出するなら登記事項証明書
登記事項証明書は、誰でも請求できます(不動産登記法119条1項)。全国どこの登記所でも、ほかの地域の土地の証明書を取れます(同条5項)。所有者だけを証明する所有者証明書という種類もあります(不動産登記規則196条1項4号)。
登記の名義が「今の所有者」とは限らない
登記で分かるのは、登記記録上の所有者です。実際の持ち主と違うことがあります。
| よくあるずれ | 理由 |
|---|---|
| 亡くなった人の名前のまま | 相続しても相続登記がされていない。2024年4月1日から相続登記は義務になったが、昔の相続は放置されていることがある |
| 住所が古い | 引っ越しても住所の変更登記がされていない。2026年4月1日から住所等の変更登記も義務になった(変更から2年以内) |
| 会社名が古い | 商号や本店を変えても、不動産の登記を直していない |
法務省は、所有者不明土地の原因の約3分の2が相続登記の未了、約3分の1が住所変更登記の未了といわれていると説明しています。登記の名義と住所は、その時点での手がかりとして扱います。
「その人が持っている土地の一覧」は他人には出ない
2026年2月2日から、所有不動産記録証明制度が始まりました。特定の人が登記簿上の所有者になっている不動産を、一覧にして証明してもらえる制度です。
ただし、請求できるのは本人と、相続人などの一般承継人だけです。他人がどこに土地を持っているかを一覧で調べる制度ではありません。
よくある質問
Q. 他人の土地の所有者を調べてもいいのですか
登記事項証明書は誰でも請求できます(不動産登記法119条1項)。理由を書く必要もありません。
Q. 住所で請求したら断られました
登記は住所(住居表示)ではなく地番で特定します。権利証や法務局の地図、市区町村役場、住居表示地番対照住宅地図で地番を確かめてから請求します。
Q. 所有者の住所が書かれていないことがあると聞きました
DV被害者などから申出があった場合、証明書には現住所の代わりに別の住所(公示用の住所)が書かれることがあります(不動産登記法119条6項)。
Q. 登記情報提供サービスで取ったPDFを、役所に出せますか
出せません。証明書として使えるのは、法務局が発行する登記事項証明書です。
まとめ
- 土地の所有者は、地番が分かれば誰でも調べられる
- 地番は権利証・法務局の地図・市区町村役場・住居表示地番対照住宅地図で確かめる。住所(住居表示)とは別
- 見るだけなら登記情報提供サービス(所有者だけ140円・全部330円)
- 提出するなら登記事項証明書(窓口600円/オンライン請求490円〜)
- 登記の名義は相続や引っ越しで古いままのことがある
- 人ごとの不動産の一覧(所有不動産記録証明書)は本人と相続人だけが請求できる
この記事で扱った手続き
あわせて読みたい
参考資料(一次資料)
- 法務局「不動産登記のよくあるご質問等」(2026年10月25日閲覧)
- 法務局「登記事項証明書の交付を請求するには、どうしたらよいのですか?」(PDF)(2026年10月25日閲覧)
- 法務局「インターネットで登記情報を確認する方法はありますか?」(PDF)(2026年10月25日閲覧)
- 法務省「登記手数料について」(2026年10月25日閲覧)
- 法務省「相続登記の申請義務化に関する概要資料」(パンフレット2026.4版、2026年10月25日閲覧)
- e-Gov法令検索「不動産登記法」(第76条の5・第119条、2026年10月25日閲覧)
- e-Gov法令検索「不動産登記規則」(第196条、2026年10月25日閲覧)


