マンションの登記事項証明書を取ったら、床面積がパンフレットの数字より小さかった。よくある話です。登記のミスではありません。測り方が違うのです。
マンションの部屋は、登記では壁の内側の線で測ります(内法・うちのり)。一方、広告やパンフレットでは壁の中心線で測った面積(壁芯・へきしん)がよく使われます。
この差は、見た目の数字の違いだけでは終わりません。住宅ローン控除の「50㎡以上」は登記事項証明書の床面積で判定されるので、広告で50㎡を少し超える部屋は、登記では50㎡を下回ることがあります。この記事では、その仕組みを不動産登記規則と国税庁の手引きをもとに整理します。2026年10月25日時点の情報です。
登記事項証明書の床面積がどこに書かれているかは、登記事項証明書(登記簿謄本)の見本と読み方 で確認できます。証明書の取り方は 登記事項証明書(登記簿謄本)の取り方 にまとめています。
登記の床面積は「不動産登記規則115条」で決まっている
建物の床面積の測り方は、不動産登記規則115条が定めています。
| 建物 | 登記の床面積の測り方 | 呼び方 |
|---|---|---|
| 区分建物(マンションの部屋など) | 各階ごとに、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積 | 内法(うちのり) |
| それ以外の建物(一戸建てなど) | 各階ごとに、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積 | 壁芯(へきしん) |
どちらも平方メートル単位で、1平方メートルの100分の1未満は切り捨てます(規則115条)。
つまり、マンションの部屋だけが内法で登記されます。
一方、新築分譲マンションの広告では、壁の中心線で測った壁心面積で専有面積を表示するのが一般的です。不動産業界の表示ルール(不動産の表示に関する公正競争規約)は、新築分譲マンションのパンフレットに「専有面積が壁心面積である旨及び登記面積はこれより少ない旨」を書くよう定めています(同規約 別表6)。パンフレットの面積の欄の近くに、この一文が小さく書かれているはずです。一戸建ては登記も壁芯なので、マンションのような「広告と登記の差」は、壁の測り方の違いとしては生じません。
壁芯と内法の差は「壁の厚みの半分」
壁芯は、壁の厚みの真ん中に線を引いて測ります。内法は、壁の内側の面に線を引いて測ります。内法は、壁芯より壁の厚みの半分ずつ内側を測ることになります。
計算例(模式):壁芯で測ると縦7m×横10mの部屋で、周りの壁の厚みがどこも20cmの場合
| 測り方 | 縦 | 横 | 面積 |
|---|---|---|---|
| 壁芯 | 7.00m | 10.00m | 70.00㎡ |
| 内法 | 6.80m(7.00−0.10×2) | 9.80m(10.00−0.10×2) | 66.64㎡ |
この例では、約3.4㎡(約5%)小さくなります。実際の差は、壁や柱の厚み・部屋の形で変わります。
マンション全体の床面積は壁芯
マンションの登記事項証明書には、一棟の建物の床面積も書かれています。一棟の建物は区分建物ではないので、こちらは壁芯で測った面積です。同じ証明書の中で、建物全体は壁芯、部屋は内法と、測り方が違う数字が並んでいます。
自分の部屋の登記の床面積は、「専有部分の建物の表示」の床面積欄で見ます。
住宅ローン控除の「50㎡」は登記の面積で判定
床面積の差が一番効いてくるのが、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)です。国税庁の手引きは、床面積を次のように説明しています。

要点は次のとおりです。
- 住宅ローン控除の床面積は、登記事項証明書に表示されている床面積
- マンションなど区分所有の住宅は、登記事項証明書上の専有部分の床面積
- 令和7年分の手引きの適用要件は、床面積(登記事項証明書に表示されているもの)が50㎡以上(合計所得金額2,000万円以下)。新築住宅などで、合計所得金額1,000万円以下などの条件を満たす場合は40㎡以上50㎡未満でも対象になる
マンションの部屋は内法で登記されるので、広告の壁芯面積ではなく、内法の登記面積で判定されることになります。
広告で「50㎡台前半」の部屋は要注意
広告やパンフレットの面積と、登記の面積の関係を整理すると次のようになります。
| 広告の面積(壁芯の場合) | 登記の面積(内法) | 50㎡要件 |
|---|---|---|
| 55㎡ | 50㎡を超えることが多い | 満たすことが多い |
| 51〜53㎡ | 50㎡を下回ることがある | 登記で確認が必要 |
| 49㎡以下 | 50㎡未満 | 満たさない(40㎡以上の特例に当たるかを確認) |
上の計算例のように、内法は壁芯より数%小さくなります。広告で50㎡を少し超える程度の部屋は、登記の面積で50㎡を下回るおそれがあります。
確かめる方法は2つです。
| 確かめ方 | 中身 |
|---|---|
| パンフレット・重要事項説明書の面積の注記を見る | 「壁心面積である旨・登記面積はこれより少ない旨」や「登記簿面積」「内法」などの書き方を確認する |
| 登記事項証明書の床面積を見る | 中古マンションなら、買う前に専有部分の床面積を登記で確かめられる |
新築マンションは、完成して登記されるまで登記の面積が出ないので、売主に登記面積の見込みを確かめておくと安心です。
よくある質問
Q. 登記の床面積が広告より小さいのは、登記の誤りですか
いいえ。マンションの部屋は、不動産登記規則115条で壁の内側の線で測ると決まっています。広告などで多い壁芯の面積より小さくなるのが普通です。
Q. 一戸建ても登記の面積は小さくなりますか
一戸建てなど区分建物でない建物は、登記も壁の中心線(壁芯)で測ります。マンションのような壁芯と内法の差は生じません。
Q. 住宅ローン控除の50㎡は、どの面積で判定しますか
登記事項証明書に表示されている床面積です。マンションは専有部分の床面積で判定します(国税庁の手引き)。
Q. バルコニーは床面積に入りますか
登記の床面積は、壁その他の区画で囲まれた部分で測ります。マンションのバルコニーは通常、専有部分の床面積に含まれません。
まとめ
- 登記の床面積は不動産登記規則115条で決まっている
- マンションの部屋=内法(壁の内側の線)、一戸建てなど=壁芯(壁の中心線)
- 広告・パンフレットでは壁芯の面積がよく使われるため、マンションは登記の方が小さい
- 差の目安は壁の厚みの半分ずつ。計算例では70㎡が66.64㎡(約5%減)
- 住宅ローン控除の50㎡は登記事項証明書の床面積で判定。マンションは専有部分の面積
- 広告で50㎡台前半の部屋は、登記の面積を必ず確かめる
この記事で扱った手続き
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参考資料(一次資料)
- e-Gov法令検索「不動産登記規則」(第115条、2026年10月25日閲覧)
- 国税庁「令和7年分 確定申告の手引き|(特定増改築等)住宅借入金等特別控除」(2026年10月25日閲覧)
- 国税庁「令和7年分 住宅借入金等特別控除を受けられる方へ(新築・購入用)」(PDF)(2026年10月25日閲覧)
- 法務局「住宅ローン等を完済した方へ(抵当権の登記の抹消手続のご案内)」(区分建物の登記事項証明書のイメージ、2026年10月25日閲覧)
- 不動産公正取引協議会連合会「不動産の表示に関する公正競争規約」別表1〜10(PDF)(別表6、2026年10月25日閲覧)

