特定建設業許可が要るのはいくらから?下請代金5,000万円(建築一式8,000万円)の数え方と大阪府の財産要件

下請に出す合計が5,000万円以上なら特定建設業許可。数え方の3つの注意点 建設業

建設業許可には一般建設業と特定建設業の2つの区分があります。大きな工事を元請で受けるようになると、「うちは特定が要るのか」が問題になります。

結論から言うと、特定建設業許可が要るかどうかは自社が受ける工事の金額ではなく、下請に出す金額で決まります。しかも、その金額は2025年2月1日に引き上げられました。

この記事では、大阪府の手引(令和8年3月版)をもとに、特定建設業許可が要る金額と数え方、取るための要件を整理します。

特定建設業許可が要る金額:5,000万円(建築一式8,000万円)

大阪府「建設業許可申請の手引」1-1ページ。特定建設業とは、発注者から直接請け負う1件の元請工事について、下請人に施工させる額の合計額(税込み)が5,000万円以上(建築一式工事の場合は8,000万円以上)となる場合。注3:元請負人が提供する材料等の価格は含みません。出典:大阪府 PDF https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/8330/kyoka_tebik_r0803.pdf 2026年10月11日閲覧
出典:大阪府「建設業許可申請の手引」1-1ページ「特定建設業と一般建設業」(PDF)2026年10月11日閲覧
特定建設業許可が必要になる下請代金の合計(税込み)
建築一式工事8,000万円以上
それ以外の28業種5,000万円以上

根拠は建設業法 第3条第1項第2号と、建設業法施行令 第2条です。2025年2月1日の改正で、それまでの4,500万円(建築一式7,000万円)から引き上げられました。古い解説記事では4,500万円のままになっていることがあるので注意してください。

数え方の4つの注意点

#注意点内容
1元請の工事だけ発注者から直接請け負った1件の工事について数える。下請として受けた工事は対象外
2下請に出す合計額1社への金額ではなく、その工事で下請に出す額の合計。複数の下請に分けても合算
3税込み消費税を含めた額で判断する
4元請が用意する材料費は入れない元請が提供する材料等の価格は5,000万円に含まない(手引 注3)

もう一つ大事なのが、自社が受ける金額には制限が無いことです。一般建設業の許可でも、発注者から10億円の工事を受けることはできます。自社で施工するか、下請に出すのが5,000万円未満なら、一般建設業で足ります。

また、下請業者がさらに孫請に出す場合、その下請業者は5,000万円以上を孫請に出しても特定建設業の許可は要りません(手引 注2)。特定建設業は「元請として下請に出すとき」の許可です。

「500万円」の判定とは数え方が逆

紛らわしいのが、そもそも建設業許可が要るかどうかの「軽微な工事」の判定(建築一式以外で1件500万円未満など)です。こちらは注文者が材料を提供した場合、その市場価格と運送費を請負代金に加えて判断します。

判定材料費の扱い
許可が要るか(軽微な工事:500万円/建築一式1,500万円)注文者が提供する材料費を加える
特定建設業が要るか(5,000万円/建築一式8,000万円)元請が提供する材料費は含めない

特定建設業を取るための要件

特定建設業は、下請業者を保護するために、一般建設業より財産と技術者の要件が重くなっています。

財産的基礎(4つすべて)

大阪府「建設業許可申請の手引」2-27ページ。特定建設業における財産的基礎:直前の決算期の財務諸表で、ア 欠損の額が資本金の額の20%を超えていない、イ 流動比率75%以上、ウ 資本金2,000万円以上、エ 自己資本4,000万円以上。出典:大阪府 PDF https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/8330/kyoka_tebik_r0803.pdf 2026年10月11日閲覧
出典:大阪府「建設業許可申請の手引」2-27ページ「財産的基礎・金銭的信用を有すること」(PDF)2026年10月11日閲覧
一般建設業特定建設業(直前の決算ですべて)
基準次のいずれか:自己資本500万円以上/500万円以上の資金調達能力(預金残高証明書等)/許可を受けて5年継続営業欠損の額が資本金の20%以下/流動比率75%以上/資本金2,000万円以上/自己資本4,000万円以上

ポイントは直前の決算期の財務諸表で判断されることです。

  • 資本金は、決算時点で足りなくても申請日までに増資すれば基準を満たすものとして扱われます
  • ただし自己資本(純資産)は、財務諸表で満たしている必要があります。増資の特例は資本金だけです

決算が終わってから気づいても、自己資本は次の決算まで変えられません。特定建設業を目指すなら、決算の前から計画しておく必要があります。

営業所技術者(専任技術者)

特定建設業の営業所技術者は、一般建設業より要件が上がります。

方法内容
国家資格1級施工管理技士、一級建築士、技術士など
指導監督的な実務経験一般建設業の技術者の要件を満たしたうえで、発注者から直接請け負った請負代金4,500万円(税込み)以上の工事で、2年以上、工事現場主任者・現場監督者のような立場で指導監督した経験
大臣認定国土交通大臣が同等以上と認定した者

指定建設業7業種(土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)は、指導監督的な実務経験のルートが使えず、1級の国家資格者などに限られます。

なお、指導監督的な実務経験の「4,500万円」は、下請代金の基準(5,000万円)とは別の数字です。混同しないようにしてください。また、発注者側での経験や下請としての経験は含まれません。

経営業務の管理責任者の要件は、一般・特定で共通です。建設業許可の「経営業務の管理責任者」とは を参照してください。

大阪府での申請:手数料と期間

項目内容
申請手数料新規(一般か特定の一方)9万円/一般と特定を同時に新規18万円/般・特新規 9万円(一般を持っている業者が、別の業種で特定を新たに取る場合など)
業種追加・更新5万円(一般と特定の両方は10万円)
納付方法大阪府手数料(POS)納付用連絡票で納付(証紙は廃止)
審査期間受付から許可通知の発送まで30日(土日祝を含む。年末年始等を除く)
許可の有効期間5年

申請手数料は、取下げや不許可になっても還付されません。

よくある質問

Q. 発注者から1億円の工事を受けるには、特定建設業が必要ですか

自社で受ける金額には制限がありません。そのうち下請に出す合計が5,000万円(建築一式8,000万円)未満なら、一般建設業で受けられます。

Q. 下請で2億円の工事を受けて、孫請に6,000万円出します

下請として受けた工事なので、特定建設業の許可は要りません(手引 注2)。特定建設業が要るのは元請の場合です。

Q. 1社に3,000万円、もう1社に2,500万円出す場合は

同じ元請工事で下請に出す合計は5,500万円です。建築一式以外なら5,000万円以上なので、特定建設業が必要です。

Q. 一般建設業の許可を持っていて、同じ業種で特定に切り替えたい

同じ業種で一般から特定に変える場合は、般・特新規の申請になります。財産的基礎(4要件)と営業所技術者の要件を満たしているか、直前の決算書で確認してください。

Q. 特定建設業の許可を取った後、財産要件を割り込んだら

財産的基礎は更新のときに改めて審査されます。更新時の直前の決算で4要件を満たしていないと、特定建設業の更新ができなくなります。

この記事で扱った手続き

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まとめ

  • 特定建設業許可が要るのは、元請工事で下請に出す合計(税込み)が5,000万円以上(建築一式8,000万円以上)のとき。2025年2月1日に引き上げ
  • 元請が用意する材料費は含めない。自社が受ける金額には制限なし。孫請に出す下請業者には不要
  • 財産的基礎は直前の決算で4要件すべて(欠損20%以下・流動比率75%以上・資本金2,000万円以上・自己資本4,000万円以上)。増資の特例は資本金だけ
  • 営業所技術者は1級資格者など。指定建設業7業種は指導監督的実務経験のルートが使えない
  • 大阪府の手数料は新規・般特新規とも9万円、POS納付、審査30日

この記事は制度の内容を整理したものです。個別の工事が特定建設業の対象になるか、要件を満たすかは、大阪府の建設業許可の窓口で確認してください。

参考資料(一次資料)


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