高さ10m以上の足場は30日前に届出|労働安全衛生法88条の計画届と、14日前で足りる工事

高さ10m以上・60日以上の足場は30日前、高さ31m超の建築工事は14日前に労働基準監督署へ届出 建設業

外壁改修や中高層の新築では、足場を組む前に労働基準監督署へ出す届出があります。労働安全衛生法 第88条にもとづく計画の届出です。

道路の許可や建設リサイクル法の届出に比べると目立たないため、「元請がやっていると思っていた」「そもそも知らなかった」が起きやすい手続きです。しかも期限は30日前と長く、直前に気づいても間に合いません。

この記事では、どんな足場・工事で届出が要るのか、期限はいつか、誰が計画を作るのかを整理します。2026年9月時点の情報です。

届出は2種類:「30日前」と「14日前」

労働安全衛生法 第88条の届出は、大きく分けて2種類あります。

機械等設置届建設工事計画届
根拠労働安全衛生法 第88条第1項労働安全衛生法 第88条第3項
対象足場・型枠支保工・架設通路などの設備高さ31mを超える建築物の建設などの仕事(工事)
期限設置・移転・変更の30日前まで仕事の開始の14日前まで
様式様式第20号様式第21号
提出先所轄の労働基準監督署長所轄の労働基準監督署長

このほか、特に大規模な工事(第88条第2項)は30日前までに厚生労働大臣へ届け出ますが、一般の建設会社が関わることはまれです。

ここで間違えやすいのが、「足場は設備なので30日前」という点です。建物の規模が小さくても、足場そのものが一定規模なら30日前の届出が要ります。

この2種類をまとめて見られる資料として、広島労働局 福山労働基準監督署のリーフレットがあります。労働安全衛生法と労働安全衛生規則は全国共通なので、大阪の現場でも同じ基準が適用されます。

広島労働局福山労働基準監督署のリーフレット1ページ目。高さ10m以上で60日以上設置する足場は設置の30日前までに設置届を提出。出典:広島労働局 PDF https://jsite.mhlw.go.jp/hiroshima-roudoukyoku/content/contents/001991619.pdf 掲載ページ https://jsite.mhlw.go.jp/hiroshima-roudoukyoku/kantoku/kantokusho_oshirase/kantoku_00001.html 2026年9月27日閲覧
出典:広島労働局 福山労働基準監督署「現場で使う設備について、設置、移転、変更の30日前までに設置届等を監督署へ提出していますか?」1ページ(PDF/掲載ページ「労働基準監督署からのお知らせ」)2026年9月27日閲覧

30日前:設置届が要る足場・設備

リーフレットの1ページ目に載っている、建設現場で関係の深い設備はこの3つです(労働安全衛生規則 第85条・第86条・別表第7)。

設備届出が要る規模
足場つり足場・張出し足場以外の足場は高さ10m以上のもの。組立てから解体までが60日未満のものは除く
型枠支保工支柱の高さ3.5m以上のもの
架設通路高さ及び長さが10m以上のもの。60日未満のものは除く

要するに、「高さ10m以上」かつ「60日以上置く」足場は届出が要ります。3〜4階建ての外壁改修でも、足場の高さが10mを超え、工期が2か月を超えるなら対象になり得ます。

届け出る内容は、足場なら設置箇所・種類と用途・構造・材質と主要寸法です。大阪労働局は「足場・架設通路概要書」の様式を公開しています。

14日前:建設工事計画届が要る工事

リーフレットの2ページ目は、仕事(工事)そのものの届出です(労働安全衛生規則 第90条)。

同リーフレット2ページ目。高さ31mを超える建築物の建設等は仕事の開始の14日前までに計画届を提出。出典:広島労働局 PDF https://jsite.mhlw.go.jp/hiroshima-roudoukyoku/content/contents/001991619.pdf 掲載ページ https://jsite.mhlw.go.jp/hiroshima-roudoukyoku/kantoku/kantokusho_oshirase/kantoku_00001.html 2026年9月27日閲覧
出典:広島労働局 福山労働基準監督署 同リーフレット2ページ「一定規模の建設工事・土石採取業の仕事について、仕事の開始の14日前までに計画届を監督署へ提出していますか?」(PDF/掲載ページ)2026年9月27日閲覧

建築系の会社に関係が深いものを抜き出すと、次のとおりです。

#工事
1高さ31mを超える建築物・工作物(橋梁を除く)の建設・改造・解体・破壊
2最大支間50m以上の橋梁の建設等
3ずい道等の建設等
4掘削の高さ又は深さが10m以上の地山の掘削
5圧気工法による作業
5-2建築物などに吹き付けられている石綿等の除去・封じ込め・囲い込み
5-3建築物などに張り付けられている石綿等を使った保温材・耐火被覆材等の除去等(粉じんを著しく発散するおそれのあるもの)

添付する図面は、周囲の状況と四隣との関係図、建設物等の概要図(平面・立面・断面)、工事用機械・設備の配置図、工法の概要、労働災害防止の方法と設備の概要、工程表などです。

アスベストの除去工事は、建物の高さに関係なく14日前の計画届の対象になり得ます。解体・改修の現場では、石綿の事前調査・報告とあわせて確認してください。石綿の事前調査の報告は 石綿(アスベスト)事前調査結果の電子報告 にまとめています。

計画は「有資格者」を参画させて作る

この届出の計画は、一定の資格・経験を持つ人(計画参画者)を参画させて作成しなければなりません(労働安全衛生法 第88条第4項、労働安全衛生規則 第92条の3・別表第9)。リーフレットにある足場・型枠支保工の例は次のとおりです。

区分資格・経験の例
経験+研修当該工事の設計監理または施工管理の実務経験3年以上、一級建築士、一級土木施工管理技士、一級建築施工管理技士のいずれか + 建設工事の安全衛生の実務経験3年以上、または厚生労働大臣が定める計画参画者研修の修了
単独でよいもの労働安全コンサルタント(土木・建築)、厚生労働大臣が定める者

届出書には参画者の氏名と経歴の概要を書く欄があります。社内に該当者がいないと、届出の書類を揃えられません。元請・下請のどちらの誰が参画するのか、早めに決めておきましょう。

誰が出すのか

届出をするのは事業者です。ただし、建設工事計画届(第3項)は、数次の請負で行われる工事では元請負人だけに義務がかかります(発注者が自ら工事を行う場合は発注者。第88条第5項)。

一方、足場などの設置届(第1項)には、この「元請だけ」という限定がありません。実務では元請がまとめて出すことが多いものの、足場を設置する専門工事業者がいる場合も含め、誰が届出者になるかを工事の契約段階で決めておくことが大切です。

なお、労働安全衛生マネジメントシステムなどの措置を講じているとして労働基準監督署長の認定を受けた事業者は、設置届が免除されます(第88条第1項ただし書)。

「足場屋さんが出していると思っていた」「元請が出していると思っていた」――この行き違いで、誰も届出をしていなかったという例があります。

届出の後:監督署のチェック

労働基準監督署長は、届け出られた計画が法令に違反すると認めるときは、工事の開始の差止めや計画の変更を命じることができます(第88条第6項)。着工直前に計画の変更を求められると、足場の組み直しや工程の見直しが必要になり、影響は大きくなります。

30日前という期限は、監督署が計画を審査し、必要なら修正を求めるための時間でもあります。ぎりぎりに出すのではなく、余裕をもって提出しましょう。

足場を組む前の届出・許可を一覧にする

足場を組む現場では、労基署への届出以外にも手続きが重なります。

手続き出し先期限の目安
足場の設置届(高さ10m以上・60日以上)労働基準監督署30日前
建設工事計画届(高さ31m超の建築物など)労働基準監督署14日前
道路占用許可(足場が道路にはみ出す)道路管理者(大阪市道なら各工営所)着工の2〜3週間前に申請
道路使用許可(道路で組立・解体の作業)所轄警察署原則7日(休日除く)

道路の許可と労基署の届出は、出し先も期限も別です。道路占用・道路使用の詳細は 道路占用許可申請(道路法第32条) にまとめています。

よくある質問

Q. 高さ10mの足場を1か月だけ組みます。届出は要りますか

リーフレットでは、つり足場・張出し足場以外の足場について、組立てから解体までが60日未満のものは除外とされています。ただし、工期が延びて60日以上になる見込みなら、最初から届出の対象として扱うのが安全です。

Q. つり足場や張出し足場は高さ10m未満でも対象ですか

リーフレットの表では、高さ10m以上という条件は「つり足場、張出し足場以外の足場」にかかっています。つり足場・張出し足場を使う場合は、高さにかかわらず対象になり得るので、所轄の労働基準監督署に確認してください。

Q. 高さ31mを超える建物を建てる場合、足場の設置届も別に要りますか

建設工事計画届(14日前)と足場の設置届(30日前)は別の届出です。両方の要件に当たるなら、両方が必要になります。取扱いは所轄の監督署に確認してください。

Q. 届出をしないとどうなりますか

第88条第1項から第4項までの規定に違反した場合は、50万円以下の罰金の対象です(労働安全衛生法 第120条第1号)。加えて、労働災害が起きた場合には、届出をしていなかったことが安全管理の不備として問われることになります。

Q. 様式はどこで手に入りますか

様式第20号(機械等設置・移転・変更届)と様式第21号(建設工事・土石採取計画届)は、厚生労働省や各労働局のサイトで入手できます。大阪労働局は、足場・架設通路概要書や型わく支保工概要書などの付属様式も公開しています。

この記事で扱った手続き

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まとめ

  • 労働安全衛生法 第88条の届出は、設備の設置届(第1項・30日前)と工事の計画届(第3項・14日前)の2種類
  • 足場は高さ10m以上(つり足場・張出し足場以外)かつ60日以上で設置届。型枠支保工は支柱3.5m以上、架設通路は高さ・長さ10m以上
  • 高さ31mを超える建築物の建設・解体や吹付け石綿等の除去などは、14日前の建設工事計画届
  • 計画は有資格の計画参画者を参画させて作成する
  • 提出先は所轄の労働基準監督署長。道路の許可とは出し先も期限も別

この記事は制度の内容を整理したものです。個別の足場・工事が届出の対象になるかは、現場を管轄する労働基準監督署(大阪府内は大阪労働局管内の各監督署)にご確認ください。

参考資料(一次資料)


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