開業したばかりで補助金は使える?大阪の事業者が申請できる制度と条件を解説

開業直後に補助金が使えるかどうかの条件 補助金・助成金

「開業に使える補助金」を調べると、たくさんの制度が出てきます。ただ、実際に公募要領を読むと、開業の準備中や、従業員がいない段階で使えるものはほとんどありません。

2026年9月時点で、大阪の事業者が対象になりうる制度について、一つずつ要件を確認しました。この記事は「どの制度があるか」ではなく、「誰なら使えるのか」を整理したものです。

結論|開業準備中に使える補助金は、ほぼ無い

先に結論です。

制度開業準備中・従業員なしで使えるか決め手になる条件
ものづくり補助金使えない申請時に従業員が1名以上必要
業務改善助成金(大阪)使えない雇入れ後6か月を経過した従業員の賃上げが前提
エイジフレンドリー補助金使えない60歳以上を常時1名以上雇用していること
働き方改革推進支援助成金使えない開業時の基本設備は対象外と要領に明記
高度安全機械等導入支援補助金使えない申請時に建設業許可を持っていること
酒類業振興支援事業費補助金条件つきで可酒類の製造免許または販売業免許が必要(従業員なしでも可)
小規模事業者持続化補助金<共同・協業型>使えない申請できるのは商工会などの支援機関。事業者は参加する側

補助金は「これから始める人」ではなく、すでに事業を営んでいて、人を雇っている事業者を想定した制度が多いためです。

⚠️ 補助金をあてにして開業計画を立てると、資金計画が崩れます。 設備の購入費を補助金で賄うつもりだった、という前提は、いったん外して考えてください。

どの制度にも共通する落とし穴|交付決定の前に発注しない

要件以前に、全ての制度に共通する決まりがあります。

交付決定の通知を受け取る前に発注・契約・支払いをすると、補助の対象になりません。

先に店舗の工事を契約したり、厨房機器を買ったりしてから申請しても、1円も出ません。ものづくり補助金の公募要領には「交付決定日前の発注・契約・購入は、いかなる理由があっても補助対象外」と書かれています。かつてあった事前着手の制度も廃止されています。

正しい順番はこうです。

“` 申請 → 審査 → 採択 → 交付決定の通知 → 発注・契約 → 支払い → 実績報告 → 入金 “`

開業の準備は先に進めたくなりますが、補助金を使うつもりがあるなら、発注の前に申請の段取りを確認してください。

さらに、補助金は後払いです。いったん自分で全額を支払い、実績報告を経てから入金されます。手元の資金が要る点も見落とされがちです。

「従業員がいるか」で使える制度が変わる

要件を見ていくと、多くの制度が従業員の存在を前提にしています。

制度従業員について求めていること
ものづくり補助金申請時に1名以上(公式FAQで「0名は申請できない」と明記)
業務改善助成金雇入れ後6か月を経過した雇用保険被保険者の賃金を引き上げること
エイジフレンドリー補助金60歳以上の労働者を常時1名以上雇用
働き方改革推進支援助成金労働者の雇用と労災保険の加入

一人で始める事業、家族だけで回す事業、役員しかいない法人は、この時点で対象から外れます。

逆に言えば、人を雇った時点で、使える制度が出てきます。 ただしその場合、雇用に伴う手続きが先に必要です。

人を雇ったら、10日以内・5日以内の届出がある

補助金の前に、雇用に伴う届出があります。期限が短いものが多いので、先に押さえてください。

手続き提出先期限
労働保険 保険関係成立届労働基準監督署成立日から10日以内
雇用保険適用事業所設置届ハローワーク設置の翌日から10日以内
健康保険・厚生年金保険 新規適用届年金事務所事実発生から5日以内

労働保険は、正社員・パート・アルバイトを問わず1人でも雇えば必要です。雇用保険は、週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある人が対象になります。

⚠️ 業務改善助成金は「雇用保険被保険者」の賃上げが条件です。 つまり雇用保険の手続きを済ませていないと、そもそも土俵に上がれません。届出は補助金の前提でもあります。

開業そのものの届出も忘れずに

事業を始めたこと自体の届出もあります。

手続き提出先期限
個人事業の開業・廃業等届出書所轄の税務署開業日から1か月以内
法人設立届出書(国税・府税・市税)税務署・大阪府税事務所・大阪市市税事務所設立の日以後2か月以内(地方税は15日〜2か月以内)

法人の場合、税務署だけでなく大阪府と大阪市にも出す必要があります。国税と地方税で提出先が分かれる点が見落とされやすいところです。

そもそも「中小企業」に当たるか|業種で線引きが違う

どの制度も対象を中小企業に限っています。ただ、中小企業の範囲は業種で違います。

業種資本金または 従業員数
製造業・建設業・運輸業・その他3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下

「資本金または従業員数」なので、どちらかを満たせば該当します。開業したばかりの事業者は、ほぼ全てこの範囲に入ります。規模で落ちることは少なく、落ちるのは「従業員がいるか」「許認可があるか」のほうです。

何に使えるのか|対象外の経費に注意

補助金は「事業に使うお金なら何でも」ではありません。対象外の経費が細かく決まっています。

制度主な対象経費⚠️対象外
ものづくり補助金機械装置・システム構築費(単価50万円以上が必須)、技術導入費、外注費、クラウド利用料建物、家賃、通信費、汎用パソコン、事務用品、車両、自社の人件費
業務改善助成金POSレジ、受発注システム、厨房機器、配膳ロボット、自動洗髪機など広告宣伝費、家賃・光熱費、同等性能への買い替え、LED交換だけの経費削減
働き方改革推進支援助成金労務管理ソフト、労働能率を高める設備事業に最低限必要な範囲の設備、新たに始める事業のための設備
エイジフレンドリー補助金昇降装置、アシストスーツ、段差解消工事、熱中症対策装備—
高度安全機械等導入支援補助金安全装置つきの指定建設機械(上限50〜100万円/台)—

⚠️ 開業でいちばんお金がかかる「内装工事」と「家賃」は、多くの制度で対象外です。 ものづくり補助金は建物・家賃とも対象外、働き方改革推進支援助成金は「事業経営に最低限必要な範囲の設備」を対象外と明記しています。

つまり「開業資金の足しにする」という使い方は、制度の想定と合っていません。

大阪市・大阪府の創業支援は、国のデータベースに載っていない

国の補助金検索サイト(jGrants)で調べると、2026年9月時点で受付中の制度は374件ありました。そのうち「創業」「開業」「起業」「持続化」「小規模事業者」を名前に含むものは16件です。

⚠️ その16件に、大阪府・大阪市の制度は1件もありませんでした。 該当したのは埼玉・神奈川・石川・広島・福岡・三重・愛知・奈良・長野の自治体と、全国対象の3件です。

自治体独自の創業支援がある地域は少なくありませんが、国のデータベースだけを見ていると、地元の制度は見つかりません。 大阪で開業するなら、市区町村の産業振興課や商工会議所に直接確認するほうが確実です。

例外|従業員がいなくても使える場合

「従業員なしでは無理」と書きましたが、例外もあります。

酒類業振興支援事業費補助金は、従業員が0名でも申請できるとされています。給与支給総額の要件は、法人なら役員報酬、個人事業主なら青色申告決算書の所得金額で計算できるためです。

ただし別の条件があります。申請時に酒類製造免許または酒類販売業免許を持っていることです。免許のない飲食店が単独で申請することはできません。

⚠️ ここでも許認可が先です。補助金の条件に「建設業許可」「酒類の免許」が出てくるように、許認可を取っていないと申請できない制度があります。

開業のどの段階で、何ができるか

時系列で整理すると、次のようになります。

段階補助金について、できること
開業を決める〜物件を探す制度を調べる。発注はまだしない
工事・設備の準備設備投資の補助金を検討するなら、発注の前に申請する
営業開始許認可を取得。これが後の補助金の要件になることがある
人を雇う労働保険・雇用保険の届出。ここで使える制度が増える
雇用から6か月業務改善助成金などの土俵に乗る

補助金は、事業が動き出してから効いてくるものだと考えるのが現実的です。

大阪の事業者が対象になりうる制度は、開業で使える補助金一覧 に、締切と条件をまとめています。

よくある質問

Q. 開業前でも補助金は申請できますか。 制度によります。ただし多くの制度が申請時点で従業員の雇用や許認可の取得を求めるため、開業準備の段階で使えるものは限られます。申請できたとしても、交付決定の前に発注すると対象外になります。

Q. 個人事業主でも申請できますか。 制度上は個人事業主も対象です。ただし「従業員が1名以上」という要件があると、一人で事業をしている場合は対象外になります。ものづくり補助金がこれに当たります。

Q. 補助金はいつ振り込まれますか。 事業を実施し、実績報告をして確定したあとです。先に自分で支払う必要があります。 補助金を前提に支払い計画を組むと、資金繰りが厳しくなります。

Q. 複数の補助金を同時に使えますか。 同じ経費に対して国の複数の補助金を重ねて受けることは、原則できません。制度ごとに重複排除の仕組みがあります。

Q. 従業員を雇えば、すぐに業務改善助成金を使えますか。 すぐには使えません。事業場内最低賃金の判断が雇入れ後6か月を経過した雇用保険被保険者を基準とするためです。雇用してから一定の期間が必要です。

まとめ

  • 開業の準備中や従業員がいない段階で使える補助金は、ほとんどありません
  • 交付決定の前に発注・契約・支払いをすると、どの制度でも対象外になります
  • 補助金は後払いです。先に自分で支払う資金が要ります
  • 人を雇うと使える制度が増えます。ただし労働保険・雇用保険の届出(10日以内)が前提です
  • 許認可が補助金の条件になっていることがあります(建設業許可・酒類の免許など)

制度を数えるより、自分が条件を満たしているかを先に確かめてください。

この事業に必要な手続きの一覧

開業のときに必要な許可・届出は、許認可ラボ で事業ごとに整理しています。補助金は 開業で使える補助金一覧 にまとめました。

免責事項

この記事は、各制度の公募要領および公的機関が公表している資料をもとにした情報提供です。筆者は行政書士試験の受験中であり、行政書士として登録していません。個別の申請の代理・代行、および個別のご相談は承っておりません。制度は改正され、公募回ごとに要件が変わることがあります。申請前には必ず各制度の公募要領で最新の要件をご確認ください。

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