大阪府で不動産業を始めるには、宅地建物取引業の免許が要ります。審査は5週間、手数料は33,000円です。
ただし、この5週間だけを見て逆算すると間に合いません。免許の前に済ませておく手続きがあり、そして免許通知が届いた日はゴールではないからです。
この記事では、大阪府知事免許を取って営業を始めるまでの流れを、期間と費用つきで整理します。
大阪府で宅建業免許を取るまでの全体像
| やること | 窓口 | 期間・費用 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 宅地建物取引士の資格登録 | 大阪府 建築振興課 | 5週間・37,000円 |
| 2 | 宅地建物取引士証の交付 | 大阪府宅地建物取引士センター | 4,500円(+法定講習) |
| 3 | 専任の宅地建物取引士を設置 | 免許申請書に添付 | 無料 |
| 4 | 事務所を用意する | — | — |
| 5 | 免許を申請する | 大阪府 建築振興課(咲洲庁舎2階) | 5週間・33,000円 |
| 6 | 免許通知が届く | — | — |
| 7 | 営業保証金を供託 or 保証協会へ加入 | 法務局 or 保証協会 | 3〜4週間 |
| 8 | 供託済届出 → 免許証が交付される | 大阪府 建築振興課 | 免許通知から3か月以内 |
営業開始予定日の2〜3か月前に動き出すのが目安です。審査5週間に加えて、供託・保証協会の手続きに3〜4週間かかるためです。
免許の前に、人の登録が終わっていないと申請できない
宅建業の免許を受けるすべての事務所に、専任の宅地建物取引士を置く必要があります(宅地建物取引業法 第31条の3第1項)。
⚠️ ここでよくある誤解が「宅建試験に合格していれば足りる」というものです。合格しただけでは取引士ではありません。次の2つが必要です。
① 宅地建物取引士の資格登録(5週間・37,000円)
試験合格者が登録を受ける手続きです。2年以上の実務経験、または登録実務講習の修了が要件になります(宅地建物取引業法 第18条第1項)。
大阪府の標準処理期間は5週間(年末年始・大型連休を除く)。登録は一生涯有効で、更新は不要です。
② 宅地建物取引士証の交付(4,500円)
実際に重要事項説明などを行い、専任取引士に就くには取引士証が要ります(同法 第22条の2第1項)。
⚠️ 試験合格から1年を超えている場合、知事が指定する法定講習の受講が義務です。受講料は12,000〜16,500円程度が別途かかります。取引士証の有効期間は5年で、更新時にも法定講習が必要です。
③ 「5人に1人」を、開業後も維持する
専任取引士は、業務に従事する者5名につき1名以上の割合で置きます。
見落とされやすいのは、これが開業後もずっと求められる点です。退職などで足りなくなった場合、2週間以内に必要な措置を執らなければなりません(同条第3項)。「次の採用が決まるまで」という猶予はありません。
免許申請 ── 大阪府知事免許か、大臣免許か
大阪府内にのみ事務所を置くなら「大阪府知事免許」です。2つ以上の都道府県に事務所を置く場合は国土交通大臣免許になり、申請先が変わります。
| 内容 | |
|---|---|
| 根拠法 | 宅地建物取引業法 第3条第1項・第4条・第5条 |
| 申請先 | 大阪府 都市整備部 建築指導室 建築振興課 宅建業免許グループ(咲洲庁舎2階) |
| 様式 | 免許申請書(第1面〜第4面、様式第1号) |
| 標準処理期間 | 5週間(書類受付後。補正日数は含まない) |
| 手数料 | 33,000円 |
| 有効期間 | 5年(満了日の90日前〜30日前に更新申請。更新も33,000円) |
⚠️ 手数料の納め方が変わっています。大阪府の証紙は廃止済みで、手数料POS納付連絡票により咲洲庁舎1階のPOSレジ等で納付します(現金・キャッシュレス可)。古い解説記事は証紙のままになっていることがあるので注意してください。
また、審査の5週間に補正の日数は含まれません。書類に不備があればその分だけ延びます。
免許通知が届いてからが本番 ── 営業保証金の3か月
審査が終わると、免許通知のはがきが事務所に届きます。ただし、この時点では免許証はまだ交付されていません。
営業を始めるには、次のどちらかを済ませて届け出る必要があります(宅地建物取引業法 第25条)。
選択肢A:法務局へ直接供託する
| 金額 | |
|---|---|
| 主たる事務所 | 1,000万円 |
| 従たる事務所(1店につき) | 500万円 |
選択肢B:保証協会に加入する
| 金額 | |
|---|---|
| 弁済業務保証金分担金(主たる事務所) | 60万円 |
| 同(従たる事務所1店につき) | 30万円 |
| 入会金・年会費など | おおむね100万〜150万円(協会・年度により変わります) |
どちらを選ぶか
開業時の実務では、多くの事業者が保証協会を選びます。理由は単純で、初期に動かす現金が1,000万円と150万円前後では、事業計画への影響がまったく違うからです。
ただし、分担金は協会を退会すれば返還される性質のものである一方、入会金や年会費は戻りません。事業の見通しによって判断が変わる部分です。
⚠️ 入会金・年会費は協会や年度によって変わります。加入予定の協会に直接ご確認ください。
3か月を過ぎると免許が取り消される
どちらを選んでも、免許通知の日から3か月以内に届出を済ませる必要があります。3か月を経過しても届出がない場合、催告を経て免許取消処分の対象となります(同条第7項)。
なお、この届出は窓口に持参すると、届出書・納付証明書等と引き換えにその場で免許証が交付されます。ここでようやく営業を開始できます。
費用はいくらかかるか
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 宅地建物取引士の資格登録 | 37,000円 |
| 宅地建物取引士証の交付 | 4,500円(+法定講習12,000〜16,500円程度) |
| 免許申請 | 33,000円 |
| 保証協会を選ぶ場合 | 分担金60万円 + 入会金・年会費等おおむね100万〜150万円 |
| 直接供託を選ぶ場合 | 1,000万円 |
このほか、事務所の設備・登記事項証明書などの添付書類の実費がかかります。
5年後に来る更新を、いま知っておく
免許の有効期間は5年です。更新申請は有効期間満了日の90日前から30日前までに行います。手数料は新規と同じ33,000円です。
⚠️ この「90日前から30日前まで」が原則の窓です。ただし30日前を過ぎたら即失効、ではありません。宅地建物取引業法 第3条第4項により、有効期間の満了日までに申請が受理されていれば、処分が決まるまで従前の免許が有効に続きます(みなし継続)。
⚠️ とはいえ満了日を1日でも過ぎると完全に失効します。失効すると新規で取り直しになり、営業保証金の手続きからやり直しです。
また、大阪府では30日を切るとオンライン申請が使えず、窓口へ持参することになります。原則どおり90日前〜30日前に出すのが安全です。
取引士証も別に5年で更新があり、こちらは更新のたびに法定講習の受講が必要です。免許の更新と取引士証の更新は時期がずれるので、それぞれ管理してください。
つまずきやすい5点
① 「合格=取引士」ではない
資格登録には2年以上の実務経験、または登録実務講習の修了が要ります。実務経験がない場合、講習の日程を先に押さえる必要があります。
② 取引士証の法定講習を見落とす
合格から1年を超えていると法定講習が必須です。ここを見落とすと、免許申請の前提が崩れます。
③ 免許通知を免許証と勘違いする
免許通知は「審査が通った」というお知らせで、営業できる証ではありません。営業保証金の届出と引き換えに免許証が交付されます。
④ 保証協会の入会金を見込んでいない
分担金60万円だけを見て資金計画を立てると足りません。入会金・年会費等でおおむね100万〜150万円が別にかかります。
⑤ 専任取引士が欠けた状態を放置する
2週間以内の措置義務があります。人が抜けることは事前に読めないので、余裕のある人員構成にしておくのが安全です。
よくある質問
Q. 免許通知が届けば、すぐ営業を始めていいですか?
いいえ。営業保証金の供託または保証協会への加入と、その届出を済ませて免許証の交付を受けるまで、宅建業を営むことはできません。
Q. 宅建試験に合格していれば、専任取引士になれますか?
なれません。資格登録(2年以上の実務経験または登録実務講習の修了が必要)と、取引士証の交付を受けてはじめて取引士です。
Q. 供託と保証協会は、あとから変更できますか?
制度上は切り替えが可能ですが、手続きと費用が別途かかります。開業時にどちらで進めるかを決めておくほうが実務的です。
Q. 審査の5週間に、書類の補正期間は含まれますか?
含まれません。書類に不備があればその分だけ延びます。逆算するときは余裕を見てください。
Q. 専任の宅建士が急に辞めたら、営業を止めなければいけませんか?
2週間以内に必要な措置を執る義務があります(法第31条の3第3項)。人数を満たさない状態を放置することはできません。
Q. 大阪と東京の両方に事務所を置く場合は?
2つ以上の都道府県に事務所を設置する場合は、大阪府知事免許ではなく国土交通大臣免許になります。申請先が変わります。
まとめ
- 順番は ①取引士の資格登録 → ②取引士証 → ③専任取引士の設置 → ④免許申請 → ⑤営業保証金
- 免許の審査は5週間・33,000円。ただし補正期間は含まない
- 免許通知はゴールではない。営業保証金の届出まで終えて、はじめて営業できる
- 3か月を過ぎると免許取消処分の対象
- 供託1,000万円か、保証協会(分担金60万円+入会金等)か。初期資金の設計が変わる
- 大阪府の証紙は廃止済み。手数料はPOS納付
- 動き出すのは営業開始予定日の2〜3か月前
※ 本記事は制度の情報提供を目的としたものです。金額・期間・要件は改正されます。申請前に必ず大阪府および所管の窓口でご確認ください。手続きの代行・個別のご相談は承っておりません。
この記事で出てくる手続き
根拠法・申請先・標準処理期間・手数料・様式を、手続きごとに1ページで整理しています。


