特定在留カードを見せられたら、企業は何を確認する?|在留カード確認の実務と不法就労防止【2026年9月版】

採用時に在留カードで確認すべき3点(在留資格・在留期限・就労制限の有無)を示した図 ビザ

※本記事は2026年9月時点で公表されている資料に基づく情報提供です。制度・アプリの仕様は変わります。実際の確認手順は出入国在留管理庁の公式案内でご確認ください。


この記事は何の続きか

特定在留カードについては、これまで2本を公開しています。

  • ① 特定在留カードとは?2026年6月開始・在留カードとマイナンバーカード一体化をわかりやすく解説
  • ② 在留カードとマイナンバーカード一体化|手続きスケジュール完全解説
  • ③ 本記事:雇う側は、何をどう確認するか(← 今ここ)

①②はカードを持つ本人に向けた記事でした。

本記事は、そのカードを見せられる側——採用担当者、店長、現場責任者に向けて書きます。


1. まず、なぜ確認するのか

「本人が持ってきたのだから大丈夫だろう」で済ませてはいけない理由が、法律に書かれています。

入管法第73条の2は、事業活動に関して外国人に不法就労活動をさせた者を、 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科もあり)と定めています。

問題は次の第2項です。条文をそのまま引きます。

前項各号に該当する行為をした者は、次の各号のいずれかに該当することを知らないことを理由として、同項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。

つまり、「知らなかった」は原則として通りません。

免れるのは「過失がないとき」だけです。

そして「過失がない」と言うためには、確認したという事実が要ります。

出典:e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」第73条の2 2026-09-07閲覧 https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319

⚠️ ここが本記事でいちばん大事な部分です。

確認は「念のため」ではなく、自社を守るための手続きです。


2. カードで見る3つ

在留カードを見せられたとき、確認するのは次の3点です。

#見るところ何を判断するか
1在留資格その資格で、うちの仕事ができるか
2在留期間(満了日)今も有効か。切れていないか
3就労制限の有無「就労不可」なら資格外活動許可があるか

⚠️ 3つ目でつまずく例が多い

「留学」の方を雇う場合、カードの表面は就労不可です。

この場合、裏面の資格外活動許可を見ます。

許可があれば、原則として週28時間まで働けます。

これは慣行ではなく、出入国管理及び難民認定法施行規則 第19条第5項第1号に 「一週について二十八時間以内」と書かれています。

同じ条文に、学校が学則で定める長期休業期間中は「一日について八時間以内」とも書かれています。

確認する場所は、在留カード裏面の最下部にある「資格外活動許可欄」です。留学生などの包括許可の場合、ここに「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」と印字されています。 なお、カード表面の就労制限欄に「指定書により指定された就労活動のみ可」(在留資格「特定活動」など)と記載されている場合は、カード券面だけでは活動内容が分かりません。必ずパスポートにホチキス留めされている「指定書」を確認し、個別に指定された就労活動の範囲内であるかを確認する必要があります。また、個別の就労先・業務について許可を受けた場合は別途交付される「資格外活動許可書」原本の確認も必要です。

出典:出入国在留管理庁「「在留カード」はどういうカード?(知っておきたい!!在留管理制度あれこれ)」2026-09-07閲覧 https://www.moj.go.jp/isa/applications/faq/newimmiact_4_point.html


3. 特定在留カードの場合はどうするか

2026年6月14日から、在留カードとマイナンバーカードを1枚にした「特定在留カード」の運用が始まりました。

任意の制度なので、持っている人と持っていない人が混在します。

つまり採用の現場では、2種類のカードが出てくることになります。

確認すべき項目(在留資格、在留期間満了日、就労制限の有無)自体は通常の在留カードと同じです。しかし、券面の表示には決定的な違いがあります。 特定在留カード(および2026年6月14日以降の新様式カード)では、券面から「在留期間」「許可の種類」「許可年月日」「交付年月日」の記載が削除され、ICチップ内のみに記録されています。そのため、特定在留カードは券面を目視しただけでは「何年の在留期間が許可されているか」を確認できません。後述する読取アプリ等でICチップを読み取って確認する手順が必須となります。

出典:出入国在留管理庁「在留カード等読取アプリケーション」2026-09-07閲覧 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/rcc-support.html

⚠️ 見慣れないカードが出てきたときに、その場で判断できないのがいちばん危険です。

「見たことがないので後で確認します」と言える体制にしておいてください。


4. 目視だけで終わらせない

券面を見るだけでは、偽造や失効を見抜けません。

公的に用意されている確認手段が2つあります。

① 読み取りアプリ

出入国在留管理庁が、在留カードのICチップを読み取るアプリを提供しています。

券面の記載とICチップの内容が一致するかを確認できます。

アプリの正式名称は「在留カード等読取アプリケーション」で、出入国在留管理庁が公式に無料配布しています。Windows、macOS、Android、iOSに対応しています(iPadは非対応)。 2026年8月19日に機能改修(アップデート)が実施され、新様式の在留カードや特定在留カードのICチップを読み取った際に、券面から省略されていた「在留期間」「許可の種類」「許可年月日」の3項目を画面上に表示できるよう機能が拡充されました。なお、特定在留カードはマイナンバーカード機能を持つため、デジタル庁が配布する「マイナンバーカード対面確認アプリ」(iOS版)でも在留期間等の読み取りが可能です。

出典:出入国在留管理庁「在留カード等読取アプリケーション」2026-09-07閲覧 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/rcc-support.html

② 在留カード番号の失効情報照会

そのカード番号が失効していないかを、ウェブで照会できる仕組みがあります。

紛失や再交付で無効になった番号を確認できます。

正式名称は「在留カード等番号失効情報照会」(出入国在留管理庁)です。ウェブサイト上でカード番号と有効期間満了日を入力することで、その番号が有効か失効しているかを照会できます。また、最新の「在留カード等読取アプリケーション」内からも失効情報照会へ直接連携して照会できるようになっています(※2026年1月5日から新URLへ移行済み)。

出典:出入国在留管理庁「在留カード等読取アプリケーション・在留カード等番号失効情報照会(案内)」2026-09-07閲覧 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/rcc-support.html (照会サービス:https://lapse-immi.moj.go.jp/html/top.html )


5. 採用したあとにやること

確認して採用したら、そこで終わりではありません。

外国人を雇い入れたとき・離職したときは、ハローワークへの届出が必要です。

期限
雇入れ翌月10日まで
離職翌日から起算して10日以内

⚠️ 雇用保険の被保険者になる場合は、資格取得届による届出で兼ねられます。

届出を怠ると罰則の対象になります。


6. 現場で回る形にする

制度を知っていても、現場で運用されなければ意味がありません。

最低限、次の3つを決めておいてください。

  • 誰が確認するか(店長/人事/両方)
  • 何を残すか(確認した日・確認した人・カードの写し。保管ルールも決める)
  • 期限が来る前に誰が気づくか(在留期限の管理表。本人任せにしない)

3つ目が抜けている会社が多くあります。

在留期限が切れると、本人だけでなく雇っている側の問題になります。


まとめ

  • 入管法第73条の2=不法就労をさせた側にも罰則(3年以下の拘禁刑/300万円以下の罰金)
  • ⚠️ 同第2項=「知らなかった」では免れない。免れるのは「過失のないとき」だけ
  • カードで見るのは ①在留資格 ②在留期間 ③就労制限の有無
  • 「就労不可」なら資格外活動許可を見る ── 週28時間(長期休業中は1日8時間)
  • 特定在留カード(2026年6月14日〜・任意)が混在する。見慣れないカードで即断しない
  • 目視だけにしない ── 読み取りアプリと失効情報の照会
  • 採用後はハローワークへの届出(雇入れ=翌月10日/離職=10日以内)
  • 在留期限の管理を本人任せにしない

制度の詳細は、出入国在留管理庁の公式案内でご確認ください。


次はこちら → 特定活動46号とは?日本の大学を出た留学生を採用する企業が押さえる要件と業務範囲

まとめ記事 → 外国人採用のメリット・デメリット:2026年の採用市場を勝ち抜く戦略

️ 飲食店の方へ → 飲食店開業の手続き全体像|物件契約の前にやること・後にやること

️ 建設業の方へ → 建設業で外国人を雇うには?特定技能「建設」の受入要件と3つのステップ


タイトルとURLをコピーしました