大阪で中古品を売買する事業を始めるとき、必要になるのは古物商許可です。手数料は19,000円、審査には40日ほどかかります。
ただ、大阪にはもう一つの許可があります。金属スクラップを扱うなら、古物商許可とは別に、大阪府の条例に基づく金属くず業許可が必要になることがあります。さらに2026年6月からは、銅のスクラップを買い取る事業者に国の新しい届出制度も始まりました。
この記事では、大阪府公安委員会に出す5つの手続きを、手数料と期間つきで整理します。2026年9月時点の情報です。
大阪で古物商許可が必要になるのはどんなときか
古物商許可は、営利目的で古物を買い取って売るときに必要です(古物営業法 第3条)。
「古物」とは、一度使用された物品、または使用されないまま使用のために取引された物品などを指します。次のような場合が対象になります。
- 中古品の買取店・リサイクルショップを開く
- ネットオークションやフリマアプリで、仕入れた中古品を反復継続して売る
- 中古車・中古バイクを仕入れて販売する
- 委託販売で中古品を預かって売る
⚠️ 自分の不用品を売るだけなら許可は要りません。 「買い取って売る」ことが繰り返し行われるかどうかが分かれ目です。
許可が出るまで営業はできません。許可証が交付されてからの開業になります。
この手続きの詳細は 古物商許可申請 にまとめています。
申請先はどこか|大阪府では警察署の生活安全課に出す
申請書の提出先は、主たる営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課です。宛先は大阪府公安委員会になります。
大阪府警察本部に直接持ち込むのではなく、営業所のある地域の警察署に出します。複数の営業所を持つ場合でも、まず「主たる営業所」を決め、そこを管轄する警察署が窓口になります。
受付は平日の日中のみです。土日祝と年末年始は受け付けていません。
手数料と審査期間はどれくらいか
大阪府公安委員会に出す5つの手続きの、手数料と標準処理期間です。
| 手続き | 手数料 | 標準処理期間 | 有効期間 |
|---|---|---|---|
| 古物商許可 | 19,000円 | 40日 | 無期限(更新なし) |
| 古物市場主許可 | 19,000円 | 50日 | 無期限 |
| 質屋営業許可 | 22,000円 | 50日 | 無期限 |
| 金属くず業許可(大阪府条例) | 7,500円 | 30日 | 無期限 |
| 金属くず行商届出(大阪府条例) | 無料 | 公表なし(届出制) | 5年 |
手数料の根拠は、古物商・古物市場主・質屋が大阪府警察事務手数料条例(第2条・第4条の表)、金属くず業が大阪府金属くず営業条例(第26条の表)です。標準処理期間は大阪府公安委員会の審査基準によります。
古物商許可も金属くず業許可も、有効期間の定めはありません。古物営業法にも大阪府金属くず営業条例にも、更新の規定がないためです。一度取れば、廃業するまで有効です。ただし金属くず行商の届出済の証だけは5年で、こちらは期限があります(条例 第22条第2項)。
⚠️ 更新を忘れると無許可営業になります。 古物商許可と同じ感覚でいると、ここで足をすくわれます。
大阪で見落とされやすい「金属くず業許可」
大阪府には、大阪府金属くず営業条例という独自の条例があります。府内に営業所を設けて金属くずの売買・交換・委託販売を業として行う場合、公安委員会の許可が必要です(条例 第3条第1項)。
重要なのは、これが古物商許可とは別の許可だという点です。
条例上、金属くずは「古物営業法に規定する古物に該当せず、かつ、そのものの本来の生産目的に従って、売買し、交換し、加工し、又は使用されないもの」と定義されています。つまり分かれ目は「まだ本来の用途で使えるかどうか」です。
| 状態 | 必要な許可 |
|---|---|
| 中古のエアコン(まだ使える) | 古物商許可 |
| 切断・破砕された銅線、鉄スクラップ | 金属くず業許可 |
| 解体現場から出た金属を有償で買い取る | 金属くず業許可 |
| 両方を扱う | 両方 |
解体業や建設業から金属を買い取る場合、古物商許可だけでは足りないことがあります。扱うものが「使える中古品」なのか「スクラップ」なのかで、必要な許可が変わります。
詳細は 金属くず業許可申請(大阪府条例) にまとめています。
営業所を持たずに回るなら「金属くず行商届出」
トラックで巡回して金属くずを買い取るなど、営業所を設けずに行商だけを行う場合は、許可ではなく届出になります(条例 第21条)。
手数料はかかりません(条例に行商届出・届出済の証の交付に対する手数料の規定がないため)。届出済の証の有効期間は5年です(条例 第22条第2項)。提出先は、住所地(法人は主たる営業所の所在地)を管轄する警察署です。
許可(7,500円・無期限)と届出(無料・5年)では、費用も期限も違います。営業所を構えるかどうかで、先に確認しておく手続きが変わります。
2026年6月から始まった「特定金属くず買受業」の届出
さらに2026年6月1日、盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律が施行されました。太陽光発電設備の銅線ケーブル盗難などの増加を受けた新しい法律です。
大阪府警察の案内によると、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 主として銅からなる金属くずを買い受ける場合 |
| 届出先 | 営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会 |
| 既に営業していた場合の経過措置 | 2026年8月31日で終了(現在は新規・既存を問わず、営業を始める前の届出が必要) |
| 無届の罰則 | 6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(併科あり) |
| 義務 | 買受けの相手方の本人確認。疑わしいときは警察へ申告 |
⚠️ 古物商許可や産業廃棄物処理業の許可を持っていても、別に届出が必要とされています。銅のスクラップを扱う予定があるなら、大阪府の金属くず業許可とあわせて確認してください。
大阪府警察は専用の案内ページを用意しています。制度が始まって間もないため、最新の扱いは必ず公式ページで確認してください。
古物市場主・質屋営業は、また別の許可
同じ大阪府公安委員会に出す手続きでも、営業の形が違えば別の許可になります。
古物市場主許可(19,000円・50日)は、古物商どうしが売買する市場を主催・開設する場合です。自分が売買するのではなく、場を運営する側になります。
質屋営業許可(22,000円・50日)は、物品を質に取り、期限までに弁済がなければ質物の所有権を取得して処分する営業です。「買い取る」のではなく「預かって貸す」点が古物商と異なります。
開業までの順番
手続きには順番があります。審査期間が長いものから先に動くのが基本です。
- 扱うものを決める — 中古品か、スクラップか、両方か。ここで必要な許可が決まります
- 営業所を決める — 管轄の警察署が決まります。賃貸なら使用承諾の確認も必要です
- 管理者を決める — 営業所ごとに1名必要です
- 許可申請を出す — 古物商40日、金属くず業30日、質屋50日
- 許可証の交付を待つ — 交付前の営業はできません
- 銅スクラップを扱うなら、特定金属くず買受業の届出も確認する
⚠️ 物件の契約を先に済ませてしまうと、審査期間のあいだ家賃だけが出ていきます。 古物商なら40日、質屋なら50日が目安です。
よくある質問
Q. 古物商許可を取れば、金属くずも扱えますか。 いいえ。大阪府内で金属くず(スクラップ)を扱うなら、大阪府金属くず営業条例に基づく金属くず業許可が別に必要になることがあります。古物商許可の対象は「本来の用途で使える中古品」です。
Q. 古物商許可に更新はありますか。 どちらもありません。古物営業法にも大阪府金属くず営業条例にも更新の規定がなく、無期限です。ただし金属くず行商の届出済の証は5年なので、行商だけを行う場合は5年ごとに届け出直しが必要です。
Q. ネットだけで中古品を売る場合も許可は要りますか。 仕入れた中古品を反復継続して売るなら必要です。自分の不用品を売るだけなら要りません。なお、インターネットで取引する場合はURLの届出についても確認してください。
Q. 手数料は不許可でも返ってきますか。 大阪府の手数料は申請時に納めるもので、審査の結果にかかわらず返還されないのが原則です。申請前に要件を確認してください。
Q. 特定金属くず買受業の届出は、いつまでにすればよいですか。 2026年6月1日の施行時点ですでに営業していた事業者の経過措置は、2026年8月31日で終了しました。現在は、新規・既存を問わず営業を始める前に届出が必要です。届出をしないまま買い受けを行うと、無届営業として罰則の対象になります。
まとめ
- 大阪で古物商許可を取るときは、手数料19,000円・審査40日。申請先は営業所を管轄する警察署です
- 金属スクラップを扱うなら、大阪府の金属くず業許可が別に必要になることがあります(7,500円・30日)
- 金属くず業許可にも有効期間はありません。古物商許可と同じく無期限です
- 営業所を持たない行商なら届出(無料・5年)
- 2026年6月から、銅のスクラップを買い取るなら特定金属くず買受業の届出も始まっています
扱うものによって、必要な手続きが変わります。まず「中古品か、スクラップか」を決めてから、どの許可が要るかを確認してください。
この事業に必要な手続きの一覧
古物・リサイクル業を始めるときに必要な手続きは、許認可ラボの一覧 にまとめています。金属くず業については こちら です。
免責事項
この記事は、法令および公的機関が公表している資料をもとにした情報提供です。筆者は行政書士試験の受験中であり、行政書士として登録していません。個別の申請の代理・代行、および個別のご相談は承っておりません。制度は改正されます。実際の申請前には、必ず大阪府警察の公式ページで最新の要件をご確認ください。


