特定技能外国人を受け入れている企業には、出入国在留管理庁への届出義務があります。
この届出は「定期届出」と「随時届出」の2種類に分かれ、それぞれ期限が違います。そして定期届出のほうは、四半期ごとの提出から年1回に統合されました。
この記事では、どの事由でどの届出を出すのかを、様式番号つきで一覧にします。
特定技能の届出は2種類ある
| いつ出すか | 期限 | |
|---|---|---|
| 定期届出 | 年1回、決まった時期に | 毎年5月31日まで |
| 随時届出 | 何かが起きたら | 事由が生じた日から14日以内 |
⚠️ 実務で事故が起きるのは随時届出のほうです。期限が「事由が生じた日から14日以内」なので、気づいたときには過ぎていることがあるからです。
どちらも手数料は無料で、電子届出システムからオンラインで提出できます。
定期届出 ── 毎年5月31日まで
受け入れている特定技能外国人について、就労と支援の実施状況を報告します。
| 内容 | |
|---|---|
| 期限 | 毎年5月31日まで |
| 対象期間 | 前年4月1日〜当年3月31日 |
| 様式 | 参考様式第3-6号(別紙1・別紙2) |
| 提出先 | 所属機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理局・支局 |
| 手数料 | 無料 |
報告する内容
- 従事している業務の内容と場所
- 実労働時間
- 報酬額
- 社会保険の加入状況
- 1号支援計画の履行状況
⚠️ 年1回になったことの副作用
四半期ごとの提出が年1回に統合されたので、事務の負担そのものは軽くなりました。
ただし回数が減ったぶん、忘れやすくなります。3か月に一度やっていた作業は習慣になりますが、年に一度の作業は習慣になりません。
対象期間は前年4月から当年3月なので、期中に記録を溜めておく形にしないと、5月になってから1年分を掘り起こすことになります。
随時届出は6種類(すべて14日以内)
どの事由で、どれを出すのか。一覧にします。
| 何が起きたか | 出す届出 | 様式 |
|---|---|---|
| 報酬改定・労働時間の変更・勤務場所の変更/退職・解雇/再雇用 | 特定技能雇用契約の変更・終了・締結届出 | 第3-1-1号(変更) 第3-1-2号(終了・新規締結) |
| 支援計画の内容変更/支援責任者・担当者の変更/自社支援への切替 | 支援計画変更届出 | 第3-2号 |
| 登録支援機関との委託契約を結んだ・変えた・終えた | 支援委託契約の届出 | 第3-3-1号(変更) 第3-3-2号(締結・終了) |
| 会社都合の退職/本人の行方不明・死亡/1か月以上の就労不能 | 受入れ困難届出 | 第3-4号 |
| 労基署の是正勧告/社会保険・労働保険料の未納/不法就労の発覚 | 基準不適合届出 | 第3-5号 |
| 支援担当者の不在/委託先の倒産・登録取消し/本人が支援を拒む | 支援計画の実施困難届出 | 第3-7号 |
根拠は入管法 第19条の18第1項、施行規則 第19条の17です。なお支援計画の実施困難届出(第3-7号)は、入管法 第19条の18第1項第4号を根拠とします
見落とされやすい3つ
① 基準不適合届出 ── 自分から申告する義務
労働基準関係法令の違反で是正勧告を受けた、社会保険料が滞納になった。こうしたときに、自分から届け出る義務があります(第3-5号)。
⚠️ 「知られたくない」と考えて出さないでいると、届出義務違反が上乗せされます。
② 退職は、届出が2つ必要なことがある
特定技能の外国人が退職した場合、雇用契約の終了として第3-1-2号を出します。
さらに、会社都合の退職や行方不明などの場合は、受入れ困難届出(第3-4号)の対象にもなります。1つ出したから足りる、とは限りません。
③ 登録支援機関に委託していても、義務の主体は受入企業
届出義務そのものは受入企業(特定技能所属機関)にあります。実務上の作成支援を受けることはあっても、義務の主体が移るわけではありません。
そもそも、なぜ届出義務があるのか
特定技能は、受け入れる企業側に支援の義務がある在留資格です。技能実習と違って監理団体がいないぶん、受入企業が直接責任を負います。
届出は、その責任が果たされているかを国が把握するための仕組みです。だから内容が報酬・労働時間・社会保険といった、労働条件の根幹に及びます。
⚠️ 「書類仕事」と考えると精度が落ちます。在留期間の更新などの審査では、受入機関が基準に適合しているかが確認されます。届出義務を適正に履行しているかは、その適合性に関わります。
届出とあわせて確認しておきたい義務
届出だけを守っていても足りません。特定技能所属機関には、次の義務が並行してかかります。
| 義務 | 内容 |
|---|---|
| 1号支援計画の実施 | 義務的支援10項目の実施。自社支援か登録支援機関への委託か |
| 分野別協議会への加入 | 分野ごとの協議会に加入し、必要な協力を行う |
| 帳簿の備付け | 雇用・支援に関する帳簿を作成し、備え置く |
| 社会保険・労働保険の適正加入 | 未納があると基準不適合届出の対象 |
| 同等以上の報酬 | 日本人が同じ業務に従事する場合と同等以上の報酬 |
このうち社会保険料の未納は、そのまま基準不適合届出(第3-5号)の引き金になります。資金繰りが厳しいときほど、届出義務とセットで問題が大きくなります。
14日以内を守るための、実務上のコツ
① 「事由が生じた日」を記録する
14日の起算点は、届出に気づいた日ではなく事由が生じた日です。退職日・契約変更日・是正勧告を受けた日を、その場で記録してください。
② 月末月初をまたぐケースに注意
暦日で数えるので、連休を挟むと実働日はさらに少なくなります。14日は思っているより短いと考えておくのが安全です。
③ 迷ったら出す
該当するか判断がつかない場合、出さずに期限を過ぎるより、出したうえで確認するほうが安全です。手数料はかかりません。
社内でどう回すか
① 定期届出は、4月にカレンダーへ入れる
5月31日が期限なので、4月のうちに予定を入れておきます。対象期間は前年4月から当年3月なので、月次で記録を溜めておく形が現実的です。
② 随時届出は、人事の手順に埋め込む
退職・契約変更・労働時間の変更は、人事が最初に知る情報です。
⚠️ 人事の手続きフローの中に「入管への届出」を入れておかないと、気づくのが遅れます。「14日以内」は暦日で数えるので、月末月初をまたぐと余裕がありません。
③ オンラインで出せる
出入国在留管理庁の電子届出システムからオンラインで提出できます。窓口・郵送も可能です。特定技能所属機関・登録支援機関向けの届出は、専用のシステムが用意されています。
よくある質問
Q. 四半期ごとの届出は、もう出さなくていいのですか?
定期届出は年1回に統合されました。適用の時期については出入国在留管理庁の公式ページでご確認ください。
Q. 随時届出の14日は、営業日ですか?
暦日で数えます。事由が生じた日から14日以内です。
Q. 特定技能の外国人が退職したら、どの届出を出しますか?
雇用契約の終了として第3-1-2号を出します。会社都合の退職や行方不明などの場合は、あわせて受入れ困難届出(第3-4号)の対象になることがあります。
Q. 登録支援機関に支援を委託していれば、届出も代行してもらえますか?
届出義務そのものは受入企業にあります。作成の支援を受けることはできますが、義務の主体は移りません。
Q. 届出に費用はかかりますか?
定期・随時とも手数料は無料です。
Q. 届出を忘れたらどうなりますか?
届出義務違反となります。特定技能所属機関としての適合性に影響しうるため、気づいた時点ですみやかに提出してください。
Q. 支援を自社で行う場合と、委託する場合で届出は変わりますか?
どちらの場合も定期届出と随時届出の義務があります。委託する場合は、支援委託契約の届出(第3-3-1号・第3-3-2号)が追加で必要になります。自社支援に切り替えるときも、支援計画変更届出(第3-2号)の対象です。
Q. 複数の特定技能外国人がいる場合、届出は人数分ですか?
定期届出は受入れ状況をまとめて報告します。随時届出は、事由が生じた外国人について、その都度提出します。
まとめ
- 定期届出は年1回・毎年5月31日まで(対象期間=前年4月〜当年3月)
- 四半期ごとから統合されたので、忘れやすくなったという副作用がある
- 随時届出は6種類、すべて14日以内
- とくに基準不適合届出(是正勧告・保険料未納など)は、自分から出す義務がある
- 退職は第3-1-2号と第3-4号の両方が要ることがある
- 義務の主体は受入企業。登録支援機関に委託しても移らない
- 人事の手続きフローに「入管への届出」を埋め込むのが、いちばん確実
※ 本記事は制度の情報提供を目的としたものです。制度・様式・期限は改正されます。提出前に必ず出入国在留管理庁の公式ページと最新の様式でご確認ください。手続きの代行・個別のご相談は承っておりません。
この記事で出てくる手続き
根拠法・申請先・標準処理期間・手数料・様式を、手続きごとに1ページで整理しています。


